【実施報告】2018年度高校生国際協力体験プログラム

2018年8月28日

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2018年7月28日(土)から29日(日)の2日間、JICA中国で高校生国際協力体験プログラムを実施しました。
毎回大好評のこのプログラム、今年も個人参加を含む28校45名もの参加が予定されていましたが、7月初旬に発生した豪雨とプログラム当日の台風の影響から当初よりも少ない人数での実施となりました。しかし、参加された高校生は、JICA中国に到着した当初こそ少し緊張していた様子でしたが、すぐに他校の生徒とも打ち解けあい、自然と笑顔があふれ始めました。

SDGsってなに?-世界共通の目標を「自分事」にするために-

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SDGsを身近にとらえる

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サプライズゲストのキスティナさん

はじめに、岡山県国際協力推進員より国際協力についての講義がありました。紛争や飢餓、環境や格差の問題など、開発途上国が抱える課題やJICAが行う事業についての分かりやすい解説と、「開発」という言葉の本来の意味から、支援のあり方や青年海外協力隊をはじめとするボランティアについて考えていきました。
次に、グループごとに配られたカードのイラストが何を表しているか、を想像するところからスタートしたワークショップでは「持続可能な開発のための目標(SDGs)」について知りました。SDGsは地球規模の課題だけでなく、日本はもちろん、地域や学校など身近なところでも活用できる指標です。しかし、それが国連が定めたゴール、と聞くと遠い話に思えてしまいがち。そこで、どこにでも目にするような町の風景写真を通して、身の回りにあるSDGsを考えていきました。参加者からは「SDGsについて学校でも少し勉強したが、正直難しくて理解できなかった。今回、身近な写真を通じて考えたことで理解が深まり、大事なことなんだと感じることができた」といった感想が上がりました。
1日目の後半は、具体的に国を想定し、SDGs17の目標にそってその国の課題を考え、理解する時間でした。想定した国は東南アジアのマレーシア。参加者は2日目に、青年海外協力隊員としてマレーシアに派遣される、という想定のもとにアクションプランを作成する予定になっています。そのために現地の課題を知る時間、として、たくさんの質問をグループごとに出していきました。質問を出し尽くしたところでサプライズゲストの登場です。広島県在住のマレーシア人キスティナさんにお越しいただき、マレーシアに関するミニ講義の後、参加者は自分たちが考えた質問を次々にぶつけていきました。マレーシアにおける女性の社会進出は?他民族国家で上手に共生するコツと問題点は?経済発展や技術向上について模範としている国は?など、難しい質問にも、キスティナさんは分かりやすく答えてくれました。そして参加者全員、彼女の流暢な日本語に驚くとともにマレーシアについても関心を持ったようで「いつか行ってみたい」「より詳しく自分でも調べてみたい」といった声が上がりました。

お楽しみプログラム:JICA研修員との交流!

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研修員との集合写真

夕食のあとは、参加者とJICA研修員との交流が行われました。
最初はお互い緊張気味だった研修員と高校生でしたが、グループのメンバー全員が手をつなぎ、輪になった状態から目をつぶって指定された形をつくるゲームで一気に緊張が解け、あちこちで笑い声が上がっていました。また、世界各国の国旗に使われている色を使った「色鬼」には引率の先生方も参加され、全員が所せましと体育館中をかけ回り、外の気温に負けない位に熱い時間を過ごしました。

「なりきり青年海外協力隊」-SDGsにそって課題を解決する-

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インタビューで課題を見つける

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アクションプランの発表

2日目は、前日に学んだSDGsやマレーシアの知識を活かし、青年海外協力隊員になりきって、2年間のアクションプランをグループで作成しました。
舞台はマレーシアのサバ州。ここで2年間、環境に配慮しながら村を活性化させるのが今回のミッションです。引率の先生とスタッフはマレーシアの住民になりきり、協力隊員になりきった高校生へ、現地の情報や自身の想い、考えを述べていきます。参加者は、聞き取り内容から重要な問題や情報を抽出し、課題を見出し、日本人ボランティアがわずか2年間でできる現実的な計画を立てなければいけません。多くの情報とSDGs17のゴールを照らし合わせながら、グループでの活発なディスカッションは続きました。
アクションプラン完成後は発表です。自分たちの計画を説得力があるようにプレゼンし、聞く側も批判的視点を持ちながら聞き、あいまいな内容には鋭い質問もとび、全員が楽しみながらも真剣そのものでした。
発表の後、自身の協力隊体験をふまえて進行を行った山口県国際協力推進員は、「どの地域にも大切な『風土』がある。その地で長く暮らす人々が『土』なら、2年間だけのボランティアは『風』、土着の人とよそ者がつながってこそ、素晴らしい『風土』が完成する」と話し、「遠い国の問題を高校生がゼロから真剣に考えてくれたことが嬉しいし、現地の人もこれを聞いたら感謝するだろう」と笑顔でコメントしました。
今年は西日本を襲った豪雨災害のため、残念ながら参加できなかった方もいらっしゃいましたが、このプログラムへの参加希望者は年々増えています。今の若者は内向き傾向と言われますが、国内外問わず、社会の問題に目を向け、自分事に考えて行動に移そうとしている高校生がそれだけ多い、ということでしょう。このプログラムに興味関心を寄せて下さった方、交通事情など不便な状況の中でもお越しくださった高校生のみなさん、ありがとうございました!