【実施報告】2019年度高校生国際協力体験プログラム

2019年8月13日

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2019年7月27日(土)から28日(日)の2日間、JICA中国で高校生国際協力体験プログラムを実施しました。
毎回大好評のこのプログラム、今年は中国5県から22校44名の高校生が参加しました。JICA中国に到着した当初こそ少し緊張していた様子でしたが、すぐに他校の生徒とも打ち解けあい、自然と笑顔があふれ始めました。

SDGsと難民問題-世界の課題を「自分事」にするために-

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SDGsを考えるワークショップ

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ゲストの葉沢さんと木村さん

はじめに、山口県国際協力推進員より国際協力についての講義がありました。開発途上国が抱える課題やJICAが行う支援について、また青年海外協力隊をはじめとするボランティアについて考えていきました。
次に、鳥取県国際協力推進員による「SDGs(持続可能な開発のための目標)」についての講義とワークショップです。SDGsは地球規模の課題だけでなく、日本はもちろん、地域や学校などでも活用できる指標です。今回は「SDGsババ抜き」を通して理解を深めたのち、身の回りにある課題や問題とSDGsの17の目標がどのようにつながっているか、グループごとに考えていきました。1日目の後半は、2名のゲストによる難民問題を考える時間でした。木村宣子さんは広島県でインドシナ難民の支援活動に長年従事されてきました。木村さんの、日本における難民問題についての分かりやすい講義から、現在の日本では難民認定がとても難しいこと、かつては日本も東南アジアからの難民を各地で受け入れていた時代があったことなどを学びました。もう1名のゲスト、葉沢徳勇さんはカンボジア出身。かつて難民として来日し、日本に帰化され、現在では家族でカンボジア料理店を営んでいます。来日直後の暮らしや苦労したこと、母国への想いなどを、来日前の写真を見せながら日本語で語ってくれました。高校生は、真剣なまなざしでお二人の話を聞き、遠い国の話に思える難民問題が実は私たちの日常とつながっていることを知りました。
夕食のあとは、ネパールとシリアのJICA研修員も加わり、SDGsカードを使ったチーム対抗のゲームを行いました。引率の先生方も参加され、外の気温に負けない位に熱い時間を過ごしました。

アクションプラン作成-様々な立場からの難民支援-

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インタビューで課題を見つける

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アクションプランの発表

2日目は、前日に学んだ難民に関する現状や課題をふまえ、難民支援のアクションプランをグループで作成しました。
ゲスト講師の望月奏さんは、ヨルダンのザータリ難民キャンプで活動を行った元青年海外協力隊員。参加者はアクティビティを通して難民の気持ちを疑似体験し、望月さんの体験談を聞くことで、難民問題の現状をさらに深く理解しました。そのあとに登場したのは、難民に成りきった引率の先生方4名。年齢や性別、住む国や環境の異なる4名それぞれに生徒はインタビューをし、彼らが抱える悩みを聞き出し、課題を見出していきました。多くの情報を分析しながら、4名のうち誰をどのように支援するのか、グループでの活発なディスカッションが続きました。
アクションプラン完成後は発表です。自分たちの計画をプレゼンし、聞く側も批判的視点を持ちながら聞き、時には鋭い質問もとび、全員が楽しみながらも真剣そのものでした。
発表の後、自身の協力隊体験をふまえて進行してくれた望月さんは、イスラム教の挨拶を解説してくれました。イスラム教徒がよく使う挨拶の言葉である「アッサラームアライクム」は「あなたの上に平安を」という意味です。その返答となる「ワ・アライクム・サラーム」には「あなたの上にも平安を」という意味が込められています。本来平和を愛する人々の地で、長く紛争が続く現状に胸を痛める望月さんの気持ちは、参加した高校生に強く響き、遠い国の問題を私たちにつながる課題としてとらえることができたようです。
「誰ひとり取り残さない」をスローガンに動き出したSDGsの目標達成年は2030年。今回参加してくれた高校生にとって、このプログラムが糧となり、世界をより良く変えていく一員であり続けてくれることを願ってやみません。ご参加下さった高校生のみなさん、どうもありがとうございました!