【実施報告】オンライン開催 2020年度第1回国際教育研修会

2020年7月20日

・日時:2020年7月4日(土)、5日(土) いずれも13:00~15:30
・参加者:45名
・実施方法:オンライン会議システム「Zoom」を使ってのワークショップ

教室で考える多文化共生

オンラインワークショップの様子

異なる立場の方が参加され、「多文化」なワークショップになりました

 教員や学生、広く国際教育に関心のある方々を対象に毎年行っている国際教育研修会、今年の第1回はオンラインで開催しました。どこからでも参加できるオンラインの特長から、中国5県はもちろん、兵庫、福岡、鹿児島、そしてハワイからご参加くださった方もいらっしゃいました。学生から教員、地域で多文化共生活動に従事されている社会人など様々な立場の方がお申込みくださり、2日間で45名の参加がありました。
今回の講師は、かながわ開発教育センター(K-DEC)の木下理仁さん。開発教育のファシリテーターとして多様なテーマの教材を作成され、神奈川県で長く外国人支援や地域の国際化にも携わってこられました。

 日本における外国人在住者の数や推移などを知った後で、「外国から来た転校生」という短い動画を見ていきました。日本にいたら日本のルールに従うべきなのか、自国の文化は異国の地でも尊重されるべきなのか。ブラジルからの転校生と日本の女子生徒が、とても身近な問題で衝突する動画を見た参加者は、「自分がその場にいたらどう行動するか」を考え、議論していきました。経験豊かな教員は、日本の教育現場に特有の背景もまじえてリアルな声を伝えてくれ、現在広島の大学で学ぶ留学生は、自身が日本で暮らす中で直面した異文化体験を交えて、意見を述べてくれました。まさに、オンライン上の議論そのものが多文化で、多様な価値観が飛び交う機会になりました。

 後半は「『多文化共生』の社会をつくる9つの方法」というワークシートにそって、議論していきました。「国際交流イベントの開催」「多言語の相談窓口をつくる」など、多文化共生の社会づくりのための取り組み方法が並ぶ中で、一番必要なものはなにか、最初にすべきことはどれか、参加者は個々に考えをまとめ、グループでも意見交換していきました。木下先生は、過去に同じ教材で行ったワークショップでのエピソードを用いて、多文化共生社会に必要な項目は、国や社会といった前提が異なれば変わることを教えてくださいました。そして、研修会の最後には、多文化共生や多様性につながる動画や本などをたくさんご紹介くださいました。
参加者にとっては、自身が多様な社会をあらためて考え、年齢や立場の異なる他の参加者の意見を聞く機会となっただけでなく、このテーマを教室にいる児童・生徒にどんな教材を用いてどう伝えるか、「『教室で考える多文化共生』を考える」貴重な機会となったようです。

 終了後のアンケートでは、「実際に、教室で使えそうな情報が多くて参考になった」「異文化理解を学ぼうと思っていたが、自国の文化理解をうまく説明できないことに気づいた」「状況やなにを縦軸にするかによって、社会の取り組みの優先順位も変動すると分かった」「グループごとのディスカッションで、バックグランドの違う方々と考えをシェア出来たことが良かった」といった感想が上がりました。
 オンラインでの研修会はJICA中国としては初めてでしたが、木下さんの穏やかな語り口と参加者の皆さんの積極性に助けられ、気づきと学びの多い貴重な時間となったようです。
 このコロナ禍で私たちの日常も大きく変わりつつありますが、JICA中国はこれからも、多様なスタイルで学びの機会を提供していきます。ご期待ください!