【授業実践紹介】国境も時差も超えてつながる「もうひとつの日本」-ラパス日本語学校との交流-(AICJ中学校)

2022年3月31日

【画像】広島県広島市にあるAICJ中学・高等学校で教鞭をとる福島未希先生は、2021年度JICA中国の教師国内研修に参加されました。同研修のプログラムとして2021年8月に行われた南米パラグアイにある「ラパス日本語学校」とオンラインでつながったことをきっかけに、自身の所属校の生徒と日本語学校の中学生との交流を企画しました。学校の行事や国の祭日など年間の予定が大きく異なる中で両校の先生方が工夫を凝らし、手紙やビデオレターでの相互理解からスタート。そして、2022年3月13日(日)日本時間の朝8時、オンラインでの交流授業が実現しました。
最初にラパス日本語学校長の河野亜子先生の挨拶がありました。河野先生はかつてJICAボランティアとして同校に日本語教師として派遣され、その後、広島県からパラグアイへ移住された方のご子弟と結婚されたそうで、広島県と縁が深いと話してくれました。そして「わずか1時間でのオンライン交流は容易ではないかもしれないが、知ろうとする姿勢が大事」と、やや緊張気味の生徒たちに笑顔で語ってくれました。
そしてAICJ中学・高等学校のDavid Cooper校長先生はなんとスペイン語で挨拶してくれました。とても流暢な語り口に、パラグアイの生徒は驚きの表情を見せていました。

同じこと、違うこと。知ることから始まる相互交流

ラパス日本語学校の生徒によるパラグアイの食文化紹介

AICJ中学校の生徒による広島県の紹介

この日までに、ラパス、広島それぞれの中学生は、母国を紹介するプレゼンテーションを準備してきました。まずはラパスの中学生が、パラグアイの概要、経済と主要産業である農業について、そして日系社会について、詳しく解説してくれました。特に、パラグアイの主要農作物である大豆は日系人が持ち込んだもので、パラグアイの農業を今も支えていること、パラグアイの伝統的な遊びの中には「ケンケンパ」など日系人が伝えた日本の遊びも残っていることなど、日本人が伝えたものが現地の文化として根付いていることを知る機会になりました。
AICJ中学校の生徒は、観光地として人気の高い宮島、そして世界各国から多くの人が訪問する原爆ドームなど、広島県のさまざまな場所を紹介してくれました。
お互いの国紹介のあとは、ブレイクアウトルームを使って少人数でフリートークの時間です。最初はお互い少し緊張していたようですが、好きなアニメ、流行っている音楽、気になる芸能人など、身近な話題から笑顔が広がっていったようです。参加したAICJ中学校の生徒からは「まだまだ聞きたいことがたくさんあったが、お互い緊張して聞けなかった。また機会があったらぜひ話したい」「以前は『ラパスに住んでいる日系の人』というイメージだったが、今日話すことができて『普通に近くにいる日本の友人』という感覚になった」「今回で終わりではなく、これからも自分たちで企画して交流を続けていきたいし、もっと海外の人とつながっていきたい」といった感想が上がりました。
青年海外協力隊にも参加経験のある福島先生は、「生徒にはもっと視野を広げて世界に飛び立っていってほしい。その面白さを知るきっかけをこれからも作ってあげたい」と語ってくれました。
両校の交流は始まったばかり。時差も国境もオンラインの緊張感も乗り越えて、これからも笑顔で対話する時間を積み重ねていってください。