長期研修員(タイ王国)インタビュー

2020年度 課題別研修『海上保安政策プログラム』

2021年8月23日

インド太平洋地域から海上保安機関の初級幹部職員が集まる「海上保安政策プログラム」の研修員として、タイ王国から参加しているWorawit Poolperm, AKA Gornさんにプログラムや日本での暮らし、また母国について教えていただきました。

ご自身と母国について教えてください

Gornさん

マッサマンカレー
(肉とジャガイモとピーナッツのカレー)
写真提供:JICA中国スタッフ

はじめまして、Worawit Poolperm, AKA Gornと申します。
タイ北東部のウボンラーチャターニー出身です。
今回二度目の来日です。8年前、タイ海軍兵学校在学中に訓練で日本に寄港しましたが、数日間の滞在でした。

タイは文化と美味しい食べ物と笑顔に富んだ国です。
私は食べることが好きなので、タイ料理自慢をしたいと思います。

2020年、CNNトラベルが発表している「世界の美食トップ50(CNN Travel The World’s 50 Best Foods)」の第1位に「マッサマンカレー」が選ばれました。
他にも、8位にトムヤムクン(エビの辛酸っぱいスープ)、46位にソムタム(パパイヤのサラダ)とカオニャオ(タイのもち米)がランクインしました。

これらは日本のレストランなどでも食べることができますが、本場の味とは少し違うので、是非実際にタイに来て召し上がっていただきたいですね。

海上保安政策プログラムではどこで何を学んでいますか?

海上保安大学校(広島県呉市)のシミュレーションセンターでの授業の様子

スタディツアーの様子 1
(研修を共にするメンバー・中央がGornさん)

スタディツアーの様子 2

このプログラムでは約1年間日本に滞在します。
2020年9月に来日し、JICA筑波にコロナ感染症対策の検疫のため2週間滞在しました。
その後、東京・六本木にある政策研究大学院大学(GRIPS)へ約5か月間留学しました。大学は好立地で、建物も近代的で素晴らしく、私が知っている中で最高のキャンパスでした。図書館も規模・技術ともに先進的で、大学内のすべての施設が教育環境として最適な場でした。

今年の4月からは、ひろしま国際プラザに滞在し、海上保安大学校(JCGA)に通学しています。
JCGAは呉湾のすぐ隣にあり、海の絶景を眺めることができます。船舶操縦に関する実践的な授業を受けたり、訓練出航する際の運航計画を立てたりしました。
JCGAのシミュレーションセンターでは、Bridge Resource Management(BRM)についてシミュレーター装置を使って学びました。同様の装置をタイ海軍兵学校在学中にも使用した経験がありますが、その時使用したものより最新で大きかったのが印象的でした。日本の訓練方法を知ることができ、大変貴重な経験となりました。 

また、8月に参加した海上保安大学校練習船「こじま」に乗り込んで4日間で約3,900kmを移動しながら海上保安庁の基地を訪ねて回るスタディツアーはとても素晴らしく、今までの人生で一番印象に残る研修でした。参加できたことに大変感謝しています。

プログラムを通じて、政策研究大学院大学の修士課程を修了するための研究論文の提出があります。
広島に来てからは研究論文の提出期限が迫ってきていたので、その執筆作業がとても大変でした。夜中の三時まで勉強することもありました。
論文のトピックを決めるのにも時間が掛かりましたし、決定後も膨大な関連書籍を読んで勉強して書き上げなければなりませんでした。今までそういった経験がなかった私には大きなチャレンジでした。

日本の好きな場所はありますか?

インタビューの様子

日本のあらゆる場所が大好きです。
東京スカイツリーの頂上から広島の田園風景まで全てが美しく、日本人の自国愛をとてもよく理解できます。
日本人は公共の場も綺麗に使用します。使用した後はきれいに掃除して帰ります。そういう教育を受け躾がされているので、どこを見ても美しいから好きです。

カルチャーショックを受けることがありましたか?

たくさんあります。まずは、日本人は公の場で礼儀正しく静かなことに驚きました。
他にはスーパーでの生の食材、特にフルーツや野菜がディスプレイ用のレプリカに見えるほど美しく清潔に見えるように包装・陳列されていることにいつも驚きます。

日本の好きな文化はありますか?

日本の子どもがとても自立している様子を見るのが好きです。
毎日子どもたちが制服を着て・大きな鞄を持って一人で電車に乗って通学したり、友達と会ったりするのを目にします。タイでは起こり得ない魅力的な光景です。素晴らしい自己規律・順応性・自信を感じます。

印象的な日本人はいますか?

子育てをされている方々が私にとって最も印象的です。
規律正しく組織化された日本の社会は、子どもをその洗練されたコミュニティの一員にするための献身的な子育てによって成り立っていると感じるからです。
良い社会は「家族」という小さな単位から構成されます。ですから、日本の社会での子育てにはたくさんのプレッシャーもあると思いますが、日本の親御さん達の懸命な子育てという素晴らしい仕事に感謝し、頑張っていただきたいと思います。

日本の皆様にメッセージをお願いします

JICA、政策研究大学院大学、海上保安庁、海上保安大学校などすべて関係団体に大変感謝しています。

また、この研修・来日を通じて、私は日本文化・日本食・日本の風景に大変魅了されました。
努力を続け「日本の精神」を失わないで欲しいです。日本の歴史・職人技・規範によって唯一無二の特異性を生み出しています。
素晴らしい「日本の精神」を直接体験させてくださったことを大変感謝しております。



Gornさんの生活や1日の様子を詳しく下記リンクで詳しくご紹介しています。