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【草の根事業紹介】ボリビア国バジェグランデ市におけるごみリサイクル推進のための住民エンパワーメントプロジェクト(草の根パートナー型)

#11 住み続けられるまちづくりを
SDGs
#12 つくる責任、つかう責任
SDGs
#17 パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs

2024.05.28

DIFARの歩み ~ボリビアの人々にとって“本当に必要な”支援を~

DIFARが活動する地域のボリビアの子供たち。この笑顔のためにDIFARの活動は始まりました。

NPO法人DIFAR(Desarrollo Integral de la Familia Rural)は、2003年から南米ボリビアで活動する団体です。設立者であり現在も代表を務める瀧本里子さんは青年海外協力隊員として2001年1月から2年間、ボリビア・サンタクルス県の農村地域で野菜栽培の技術支援を行う隊員として活動しました。現地で貧困の実態に直面した瀧本さんは、2年間の任期終了後、「ボリビアの人々にとって“本当に必要な”支援をしていきたい」と単身ボリビアに戻ることを決意。家族や知人からの支援を募りながら準備を進め、2003年にDIFARとしての活動をスタートしました。その後、貧困地域での家庭菜園、家畜飼育普及、エコロジカルサニテーショントイレ(環境衛生式トイレ)建設の支援など、常に現地の人々が必要とすることを大切にしながら活動を拡大していきました。2008年頃からは、生ごみの回収および堆肥化事業にも着手し、その活動は現地ボリビアでも先駆的な取り組みと評価され、自治体からの協力要請を受けるようになりました。これを受けて実施されたのがJICA草の根技術協力事業(パートナー型)「バジェグランデ市を対象にしたごみリサイクルプロジェクト」(2013~2018年、以下フェーズ1)です。このフェーズ1を通して、分別やリサイクル、堆肥づくりなどといった分野で技術移転がなされ、最終的には技術移転を受けた人材で構成される「廃棄物課」がバジェグランデ市役所に設置されるに至りました。また、地域住民のごみ分別についても、当初は40世帯から啓発を開始しましたが、プロジェクト終了時には1000近い世帯が分別に参加、さらには市内のマーケットや学校などでも分別が実施されるようになるなど飛躍的な成果をあげました。

学校における環境教育の充実 ~学校菜園、日本式掃除活動~

このフェーズ1の成果を受け継ぎ更なる発展を目指すのが、2021年に開始し、現在実施中のJICA草の根技術協力事業(パートナー型)「バジェグランデ市におけるごみリサイクル推進のための住民エンパワーメントプロジェクト」(2021~2026年、以下フェーズ2)です。フェーズ2では、引き続きバジェグランデ市役所における人材育成に取り組むとともに、学校と連携した環境教育にも力を入れています。家庭から回収した生ごみでできた堆肥を使った学校菜園活動は子供たちにも好評です。レタスやラディッシュなど、これまで様々な野菜を収穫してきました。また、ボリビアの学校では、通常清掃担当の職員が雇用され、子どもたち自身が教室を掃除する習慣は元々ありませんでしたが、プロジェクトでは、日本式の掃除活動をバジェグランデ市内の小学校に導入し、自分たちの使う場所は自分たちで掃除をする、という基本的なことを子供に学んでもらうようにしています。

コンポストを活用した学校菜園で野菜を収穫する子供たち

学校で日本式の掃除に取り組むボリビアの子供たち

新たな取り組み ~市民団体との連携~

 フェーズ2からの新たな取り組みとしては、パン屋協会や交通機関協会など人々の暮らしと直結した市民団体との連携による住民の意識啓発活動があります。プロジェクトが実施されているバジェグランデは美味しいパンで有名ですが、パン屋では日々大量のプラスチック袋が消費されています。少しでもプラスチックの利用を削減するために、パンを購入する際にエコバックを持っていったらポイントがもらえる「En mi bolsa, por favor =マイバックにお願いします!」というキャンペーンを実施しています。また、ボリビアではどこに行くにもバスが主要な交通手段ですが、ごみは窓からポイ捨てされたり、車内に放置されている状況でした。そこで交通機関協会と連携し、「Carretera no es un basurero = 道路はゴミ箱じゃないよ!」というキャンペーンを実施。車内の各席に分別用の袋を設置し、窓からポイ捨てしないように呼び掛けています。長年染みついた習慣や人々の意識を変えていくことは容易なことではありませんが、今後も地道な働きかけを続けていきます。

「En mi bolsa, por favor =マイバックにお願いします!」キャンペーン ポイントをもらって嬉しそうな子供たち

交通機関協会との連携では、バスの各席にごみの分別袋を設置。ポイ捨ての抑制に努めています。

盛り上がりを見せる活動 ~スポGOMI~

さらに、DIFARが力を入れている活動の一つに「スポGOMI」があります。「スポGOMI」はゴミ拾いに一定のルールを設けてスポーツとして競い合い、楽しみながら環境への意識を高めようという取り組みです。2024年4月にはサンタクルス県マイラナ市で、地域のボランティア250名以上を動員して実施され、なんと1300キロものゴミが集められました。

大勢の住民を動員したスポGOMIの様子

DIFARのこれまでのスポGOMIの取り組みは、スポGOMIの運営団体(一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブ)からも高く評価され、2025年に予定されているスポGOMIワールドカップの予選がボリビアでも開催されることが決まっています。今後はJICA海外協力隊との連携も視野に入れ、より活発に活動が展開される見込みです。

 「ボリビアの人々にとって“本当に必要な”支援をしていきたい」という瀧本さんの思いから始まったDIFARの活動は、現地の人々に広く受け入れられ、支えられ、大きなインパクトをもたらしています。これからもオリジナリティ溢れる活動が継続されますので、皆さんもこのプロジェクトに是非ご注目ください!!

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