デジタルフォーラム「外国人の受入れと新たな地域づくりに向けた連携の在り方」を開催しました!


2024.08.26
共生社会の実現に向け、2021年度より名古屋出入国在留管理局とJICA北陸、JICA中部の共催でオンラインでのフォーラムを実施しています。
今般、家族帯同可能な在留資格「特定技能2号」の分野が拡大されたことにより、日本に長期滞在する外国人労働者とその家族が大幅に増加するなど、在留外国人の態様が変わっていくことが予想されます。これを背景に、3回目となった2023年度は、外国人住民も含めた新たな地域づくりの在り方について考えるフォーラムを2024年2月9日(金)に実施しました。
第1部では、静岡県立大学国際関係学部教授 高畑 幸氏から「技能労働者とその家族の定住支援 ~官民産学と地域で考える~」と題し、講演いただきました。
現在の日本の外国人材受入れ状況を、外国人住民の増加の背景や地域の特性を踏まえご説明いただきました。また、2019年の改正入管法の施行で特定技能1号、2号の在留資格が新たに創設され、技能実習から特定技能に在留資格の移行が可能となったり、専門的知識を持つ労働者の増加に伴い、その家族の随伴が増えることが予想されること、技能実習制度と特定技能制度の在り方に関する有識者会議の最終報告に関する情報を含め、技能実習制度・特定技能制度についても詳しく説明いただきました。
日本で働くことができ、家族で日本に暮らすことができる在留資格を得ることが増え、長期的に日本に滞在することが可能となることから、生活者として教育、医療、福祉など様々な場面で新たな課題が発生することが見込まれる中で、官民産学と地域社会の連携の必要性について言及されました。
第2部のパネルディスカションでは、「外国人の受入れと新たな地域づくりに向けた連携の在り方」と題して、外国人の雇用や定住支援に関わる5名のパネリストを迎え、それぞれの取り組みの共有を通じて、連携のあり方を考えました。
コーディネーター:高畑 幸氏(静岡県立大学国際関係学部教授)
パネリスト:(五十音順)
加納 岳人氏(コンクリートポンプ株式会社 代表取締役社長)
澤村 美喜氏(エコ・プロジェクト協同組合 副理事長)
坂本 久海子氏(NPO法人愛伝舎 理事長)
モハマド・シャイリル氏(NPO法人マレーシア国際交流協会 理事長)
森 優也氏(磐田市自治デザイン課ダイバーシティ推進室 主事)
■コンクリートポンプ株式会社 代表取締役社長 加納 岳人氏からは、外国人従業員の受け入れに関して気を付けていることや特定技能2号取得にあたり課題となったことなどお話をいただきました。同社では外国人従業員の長期雇用を目指し、加納社長自ら中国語を勉強し各種の検定を支える等、公私にわたって信頼関係の構築に努められている様子が印象的でした。
■エコ・プロジェクト協同組合 副理事長 澤村 美喜氏からは、多くの監理団体や登録支援機関が外部に依頼している行政手続きや日本語教育を自社で実施したり、充実した相談体制を構築するなど、同組合の特徴や取り組みを具体的にお話いただきました。
■NPO法人愛伝舎 理事長 坂本 久海子氏からは、約20年にわたり外国人住民支援に関わってきたご経験から、行政機関やNPO、支援団体、企業との連携による包括的な支援の必要性を言及されました。また、多言語情報は増えているものの、外国人住民に届くまでには課題がある現状や行政の縦割りについて、外国人や現場の声を反映できる多文化共生社会づくりの体制構築など課題についても言及されました。
■NPO法人マレーシア国際交流協会 理事長 モハマド・シャイリル氏は、協会設立の目的や外国人も日本人も住みやすい環境や社会をつくるための活動についてご説明いただきました。日本とマレーシアの交流事業や地域の留学生と地域の住民の交流から、外国人も地域住民の一員として、地域に貢献していく社会を作りたいとお話されました。
■磐田市自治デザイン課ダイバーシティ推進室 主事 森 優也氏からは、同市における外国人居住状況と取り組みをご説明いただきました。また、近年の傾向から、一時的な受け入れ対応ではなく、持続可能な外国人受け入れ環境整備の必要性に言及されました。一方、同市実施のアンケートによると、日本語教育に関する外国人住民の高い意欲に反し、外国人を受入れている企業側の日本語教育に対する関心の低さのギャップがあることが明らかとなり、連携に際し、共通認識を持つことの重要性にも言及されました。
パネルディスカッションでは、①外国人の定住支援、②呼び寄せた家族の日本語教育や学校教育、③安心安全のまちづくり、④官民産学と地域の連携をテーマに、現状や課題、その解決に向けた取り組みについてお話いただきました。
日本が選ばれる国になるため、さらには日本の中で選ばれる地域になるためには、自治体、企業、支援団体、教育機関、地域住民の「連携」が不可欠であると改めて考える機会となりました。
リンク先にこのフォーラムの録画を公開しておりますので、ぜひご覧ください!
今後もJICA中部では、このような多文化共生に関するセミナーやシンポジウムを開催していきます
チラシ
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