地域理解プログラム・廃棄物が“資源”に変わる現場へ ― JICA留学生が体験した日本の循環型社会 ―
2026.05.28
持続可能な社会の実現に向けて、世界中で課題となっている「廃棄物問題」。
こうした課題解決のヒントを学ぶため、JICA中部では、5月15日(金)に愛知県豊川市にある加山興業株式会社を訪問し、JICA留学生を対象としたプログラムを実施しました。
日本における廃棄物処理の歴史や制度の変遷についての講義からプログラムはスタート。高度経済成長期以降、環境や公衆衛生への影響を背景に制度整備が進み、現在では「廃棄物を減らし、資源として活用する」循環型社会の実現が目指されていることを学びました。
今回訪問した加山興業(愛知県豊川市)では、こうした理念を実践し、高度な選別技術と再資源化によって約83%という高いリサイクル率を達成。銅の回収や古紙や廃プラスチックを主原料とした固形燃料(RPF)の製造、さらにはAI技術の活用などにより、効率的な資源循環を実現しています。また、同社はJICAの中小企業海外展開支援事業を活用して、ラオスでのビジネス展開を通じた廃棄物管理改善に取り組んでいます。
続いて訪れたのは「千両リサイクルプラント」。木くずや廃棄物がどのように選別され、再利用されていくのかを間近で見学しました。
「異物が混入した場合はどうするのか?」
「この木材は燃料になるのか、それとも製紙用か?」留学生たちは積極的に質問を投げかけ、現場レベルの工夫や技術への理解を深めていました。
また、固形燃料RPFを手に取って「廃棄物がエネルギーに変わる」ことを肌で感じていました。
隣接する区域には、養蜂施設が設置され、環境の健全性を示す指標としてミツバチが活用されていました。多くの参加者が廃棄物処理と隣り合わせにミツバチが育つ環境が実現していることに感心していました。
市田リサイクルプラントでは、さらに実践的な学びが行われました。太陽光パネルのリサイクル工程やAI選別機の見学に加え、OA機器の手作業による解体にも挑戦。電動ドライバーを使いながら、機器を分解し、部材ごとに分別していく作業に参加者は真剣な表情で取り組みました。
「これまで修理をしたことはあるが、分解は初めて」という声もあり、廃棄物が資源へと変わるプロセスを実体験する貴重な機会となりました。
意見発表では、各国の状況と比較しながら活発な議論が行われました。
エジプトからの参加者は、「自国では廃棄物が多く、リサイクルの可能性は大きいが、回収コストが課題」と指摘。日本との違いを踏まえながら、技術や仕組みの応用可能性について考えを深めていました。
今回の研修を通じて、参加者は「廃棄物=資源」という視点だけでなく、企業が地域や環境とどのように関わり、社会に貢献しているかについても学びました。
日本の取り組みは、そのまま他国に適用できるとは限りません。しかし、「現場で見て、体験し、対話する」ことで得た学びは、各国の課題解決に向けたヒントとなります。
今後もJICA中部では、こうした実践的な学びの機会を通じて、持続可能な未来づくりに貢献していきます。