JICAメキシコ研修員が亀城小学校を訪問! ~国境を越え、心でつながる国際交流~
2026.07.08
5月26日、日本における経営管理の理論や改善基本技法、さらには関連する技術や文化を学ぶため来日中のメキシコ研修員10名が、愛知県刈谷市立亀城小学校を訪問しました。今回の訪問では、小学校教育(給食や清掃活動等)の体験を通じて、日本の初等教育が、社会や産業現場における組織運営の基盤となっている点への理解を深めることを目的としました。
研修員たちを最初に迎えたのは、子どもたちによる元気いっぱいの「¡Hola!(オラ!)」のあいさつ。児童一人一人の手には、色鮮やかな手作りのメキシコ国旗が握られていました。歓迎ムードに、研修員たちの表情は一気にほころび、笑顔で手を振り返していました。校内には、メキシコ国旗や、メキシコの伝統行事「死者の日」を象徴する骸骨の装飾などが並び、学校全体が“メキシコ一色”に。子どもたちだけでなく、教職員も一丸となって準備してきたことが伝わる空間に、研修員たちは驚きと感動を隠せない様子でした。
交流会のはじめは、メキシコ研修員による文化紹介です。
メキシコの歴史や国旗の意味、「死者の日」の文化について紹介されると、児童たちは食い入るように耳を傾けていました。異国の文化に触れる子どもたちの目は、好奇心で輝いていました。
さらに、研修員がウクレレを手に取り、メキシコの歴史や伝統を歌った「シエリト・リンド」を披露。体育館には優しい音色と美しい歌声が響き渡り、児童たちは静かに聴き入っていました。
続いて行われたのは、児童による亀城・刈谷紹介です。
刈谷市の伝統行事「万燈祭(まんどまつり)」を紹介するため、児童たちは竹と和紙でつくられた張子人形を担ぎ、笛や太鼓に合わせて舞いを披露しました。「わっしょい!わっしょい!」体育館に響き渡る掛け声。国も言葉も違いますが、研修員たちは自然と笑顔があふれ、体を動かしていました。まさに“国際交流”という言葉そのものを形にしたような瞬間でした。
交流の後半では、4年生が中心に企画した「おもてなしテーマパーク」が開かれました。
会場には4つの体験ブースが設けられ、子どもたちは「日本を楽しんでもらいたい」という思いを込めて、研修員たちを案内しました。
「日本のお茶文化体験」では、お茶や作法を紹介。さらに児童による箏の演奏も披露され、日本文化の奥深さを五感で感じられる時間となりました。
そして大いに盛り上がったのが、「ソーラン節」のブースです。子どもたちによる迫力満点の演舞に、研修員たちも法被を着て参加。最初は戸惑いながらも、次第に笑顔で踊り始めていました。
「おもてなしテーマパーク」は、企画だけでなく、運営そのものも子どもたちの手によって行われました。研修員を各ブースへ案内する係、体験内容を説明する係、そして全体の司会進行。子どもたちはそれぞれの役割を担い、自分たちで時計を見ながら、次に何をするべきかを考え、主体的に行動していました。メキシコ研修員たちも驚いた様子で「日本の子どもたちは、自分たちで時間を見て行動し、互いに協力しながら行動していて、本当に素晴らしい」そんな感想も聞かれ、日本の学校教育が大切にしている主体性を、実際の姿を通して感じてもらう機会となりました。それは、彼らが日本で学び、自国での活動に活かしてもらう日本産業の組織運営の基盤とも言えるものです。
さらに、メキシコ研修員たちは、日本の学校文化を実際に体験しました。
まず体験したのは、日本ならではの「学校給食」です。研修員たちが特に驚いていたのは、子どもたちの準備の早さと動きの良さでした。給食当番がてきぱきと配膳を進め、周囲の児童も自然に協力しながら準備を進める姿に、研修員たちは感心した様子でした。系統的に整えられた当番活動、子どもたち自身が主体的に動く姿。日本の学校文化の特徴でもある「協力して生活をつくる力」が、研修員たちの目にはとても新鮮に映ったようです。
和やかな雰囲気の中で給食を楽しんでいると、ある児童が研修員に質問しました。
「メキシコの給食は、どんな感じですか?」
すると研修員は笑顔で、
「メキシコには日本のような給食はないんだよ。お家の人が作ったお弁当を持ってくるんだ。」と紹介しました。
子どもたちは「えー!」と目を丸くし、日本との違いに驚いた様子。当たり前だと思っていた学校生活が、実は世界では当たり前ではないんだ。そんな気づきにあふれた瞬間でした。
学校訪問の締めくくりとして、研修員たちが実際に授業へ参加しました。
4年生の書写の授業では、児童たちが研修員の隣に座り、筆の持ち方や文字の書き方を、一画一画丁寧に教えていました。言葉が十分に通じなくても、子どもたちは身振り手振りを交えながら、一生懸命に伝えようとしていました。そして完成した作品を見せ合うと、教室には自然と拍手と笑顔が広がりました。
研修員たちの嬉しそうな表情に、児童たちも達成感いっぱいの表情を浮かべていました。
学校訪問を終え、研修員たちは門を後にし、最寄り駅へ向かっていました。
すると、その途中で思いがけない出来事が起こります。下校していた子どもたちが、研修員たちの姿を見つけると、「バイバーイ!」「またねー!」と声を上げながら、駆け寄ってきたのです。その瞬間、それまで少し疲れた表情を見せていた研修員たちの顔に、再び大きな笑顔が広がりました。
わずか1日の交流ですが、国境も、国籍も、言葉の壁も越えて、子どもたちと研修員たちの間には、確かな“つながり”が生まれていました。今回の交流は、子どもたちにとって、世界の広さや異文化の魅力を肌で感じる貴重な機会となりました。そして同時に、“相手を思う気持ち”こそが国際交流の原点であることを、誰もが実感した、心温まる一日となりました。