【JICA地球ひろば 2023年度国際理解教育/開発教育指導者研修】-学校制服の在り方から性の多様性について考える-

2023.10.20

 8月5日(土)6日(日)、JICA地球ひろばが主催する2023年度国際理解教育/開発教育指導者研修に山口市立小郡中学校の末村和也先生が参加されました。本研修は、国際理解教育/開発教育授業の素材選びや授業づくりのポイントなどを実践者やアドバイザーからの講演、意見交換などを通して学びを深め、学校内で実践することを目的としています。山口市立小郡中学校では、3年2組社会科の授業内にて、「子どもの権利をどう守っていくか」をテーマに、ジェンダー平等の観点から学校制服の在り方について考え、性の多様性を実現していくためにできることをグローバルな視点から追究する授業を行いました。

LGBTQの課題との出会い、生徒たちに身近な学校制服の在り方について

 授業実践の導入部分では、毎年4月頃に東京で開催される東京レインボープライドの様子が紹介され、何をしているのかを生徒同士で考え、自由に発言する時間がありました。LGBTQの定義について先生から説明があった後、自分たちの学校にLGBTQの人たちが学校生活の中で不便に感じることは何かを話し合いました。トイレや水泳、髪型や修学旅行の時など、どんな場面で不便を感じるのか、生徒の皆さんは真剣に考え、積極的に発言している様子でした。
 不便さを感じる項目の中から、学校で現在検討している制服の改定をテーマに絞り、女子生徒がスカートとズボンを選択できる他中学校の事例紹介がありました。生徒の皆さんは、自分の学校制服と比べて、具体的に自分たちの今の制服のどこを変更していく必要があるのか考えていました。まずは、タブレットで自分の意見を自由に投稿し、先生が回答のグラフ化をした統計データを全体共有した後、各班に分かれて意見を出し合いました。「色やデザインはそのままでいいのかな?」「制服を着る頻度は公式行事の時だけにした方がいいのでは?」「男子生徒もスカートを選択できるようにしよう」など、生徒の皆さんからは様々な角度から多くの意見が出て、先生からは生徒たちの意見を更に深堀りする問いかけや、他班の生徒がそれに対してどう思ったか率直に思ったことを言葉にして伝える時間がありました。

LGBTQの定義について理解する

各班で学校制服の在り方について意見を出し合う

性の多様性に向き合い、自分たちがどうあるべきかを考える

 自分たちの制服がどうあるべきかを考えたあとは、LGBTQの課題に対して世界の制服はどうなっているのか、各国の制服事例を取り上げながら紹介がありました。宗教や文化的背景から制服の形や色が使用されていること、日本だけではなく、他地域でも同様に共通の課題があること、世界が抱えているLBGTQの課題についてどう向き合い、自分たちがこれから何をしていく必要があるのかを考えました。最後の振り返りの時間では、「日常を変えていくことは難しい。でも、向き合うことで成長していけると思う。男女の格差を制度的になくしていくことや環境づくりが大切」と言った気づきがあり、学校制服という身近なテーマから、私たち世界の抱えている課題、それにどう向き合っていくかを考える時間になりました。

なぜそう思ったか、意見を聞いて自分はどう思ったかを共有し合う

振り返りの時間

(報告:JICA山口デスク 水野 美加)

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