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【活動報告】瀬戸内ミカン畑農家のために生まれた技術を学びに ネパールから日本へ!環境に配慮にした物資輸送技術(モノラック)を学ぶ ネパール国より民間企業の4名が来日

2024.07.10

2024年6月17日(月)~21日(金)の5日間にわたり、 JICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業」の一環でネパールの民間企業から4名が来日し株式会社ニッカリ(岡山市)のモノレール、「モノラック」(同社モノレール製品名)を視察しました。18日(火)にはJICA中国職員と国内OJT中の新入職員が、ひろしま遊学の森 広島市森林公園と島根県の工事現場における導入状況の視察に同行しました。

ネパールからの招聘者とモノラックの前で記念撮影 @ひろしま遊学の森

「モノラック」は当初、日本国内で山間地にあるミカン農家の重労働、危険作業軽減のために開発されました。株式会社ニッカリは国内シェアのトップを占め、45度の傾斜で3トンまで運搬可能な技術を有しています。また、特殊な安全装置搭載により、人も荷物も運ぶことができる点も大きな特徴の一つです。

ネパールは国土の多くを山岳や丘陵地が占め、人荷の運搬が困難な山間地帯農業や斜面災害に対し脆弱な工事現場などモノレールを活用できる環境が多くあります。株式会社ニッカリはモノラックのネパール導入を目指し、2023年度よりJICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業」を通して「モノラック導入にかかるビジネス化実証事業 」を実施しています。

6月18日(火)は、午前にひろしま遊学の森 広島市森林公園での電動モノラック(アトラクション/人運搬としての利用)、午後に島根県におけるエンジン式3トンモノラックの工事利用現場を視察しました。

ひろしま遊学の森では、電動モノラックが展望台までの移動手段として利用されています。モノラックは人の足で登るには急な斜面を、木の根や岩肌がむき出しになる中を登っていきます。レールの角度が30度に満たない箇所でも、乗ってみるとかなり急に感じられます。

ネパールからの招聘者は電気式モノラックの電気を供給する仕組み、ブレーキのセンサーの稼働方法等、モノラックをしっかりと観察されながら、かなり詳しい質問をされていました。特に気になったのは電力消費量です。ネパールでは停電が起きることも多く、電気は貴重であるため、電気式導入に向けて重要なポイントです。

森林公園のモノラック 下山の様子

午後の視察先、島根県の工事現場で使用されているのは荷物運搬用のエンジン式モノラックです。3トンまで運搬可能なこの機種は人が乗るスペースは操縦席のみ、この現場では地中の水を抜くボーリング工事に利用されています。レールのすぐ横には民家があり、工事用に道路を敷くことが困難な現場ではモノラックなしの作業は考えられないと工事関係者は言います。

「これこそがネパールに必要なものだ」と話すのはネパールから来日したラム・クマールさんです。「3トンの機体は初めて見た」「水力発電などに使えるのではないか」とネパールでの実用化に向けた展望を語ります。ほかにも山道での人の移動や農作物の運搬など、様々な活躍の場がありそうです。

3トンモノラック@島根県

走行の様子を視察するネパールからの招聘者

2023年6月からスタートしたモノラック導入を目指したネパールでの調査は、今年9月に終了予定です。遠くない未来、岡山県でミカン農家のために開発されたモノラックが、ネパールの人々の生活をより良くする日がやって来ることを目指して調査は続きます。

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