【山口県】 第3回大学等訪問 国立宇部工業高等専門学校
2024.11.22
みんなで集合写真
今年度3回目となる大学訪問では、山口大学工学部のJICA研修員2名が宇部工業高等専門学校(宇部高専)を訪れました。外国籍の学生を多数抱え、さらに短期留学で滞在中の学生もいて、国際色豊かな宇部高専を今回訪れたのは、インドネシアのバユさんと東ティモールのレアンドロさんです。山口大学工学部と宇部高専の敷地は隣接していますが、宇部高専内に入るのは2人とも初めて。会場に着くと、座談会でファシリテーター役をしてくれる学生が笑顔で迎えてくれました。そしてなんと、出迎えてくれた学生のお父様がインドネシア国籍ということで、意外なところでインドネシア語を披露されたバユさんは感激している様子でした。
今回の大学訪問イベントは「JICA研修員、日本でエンジニアリングを極める!~東ティモールとインドネシアのエンジニアによるグローバル座談会」と題し、お国紹介と研究内容について話すことになっています。イベントの準備は宇部高専の学生主導で進められてきました。司会進行も参加者募集も学生が行い、ポスターも学生制作という力の入れようです。
「こんにちはー」「Nice to meet you!」授業を終えた学生が、会場に次々と入ってきました。外国人へ話しかけることに慣れた様子の学生もいれば、ちょっと照れながらの学生もいます。中にはベナンからの学生も。制服の学生は1~3年生。私服は4・5年生と専攻の学生で、国際交流が盛んな宇部高専の中でも、物質工学科や経営情報学科など多彩な学科から、特に海外に興味のある学生たち16人がそろいました。
最初に自己紹介をしたのはバユさん。この秋から奥さんと小さいお子さん二人がインドネシアから日本へ来て、にぎやかな生活が始まったと言います。インドネシアではプログラマーとして働いた後、政府機関に入庁。山口大学では、これまで政府機関で研究してきた内容を発展させて、環境問題の解決につなげたい、と意気込みを語りました。
次はレアンドロさん。東ティモールの英語表記はTimor Lesteですが、Timor(テトゥン語)もLeste(ポルトガル語)も東という意味なのだとか。「(Timor Lesteの意味は)ヒガシ、ヒガシです」と、にっこり笑って教えてくれました。レアンドロさんが、国に3歳から15歳まで6人の子どもを抱えるパパだと紹介すると、学生たちも先生もびっくり。さすが合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産むとされる子供の数)アジアで2位(2021年)の国の方!レアンドロさんの専門は土木工学で、2014年に山口大学で修士を取得し、その後国立東ティモール大学で教鞭を執っていました。再来日した現在は、山口大学で環境にやさしく、費用対効果の高いコンクリートの研究を進めています。学生の前に立って話すのは久しぶりというレアンドロさん。指導者としての血が騒いだのか嬉しそうでした。
2人のお国紹介スライドには専門用語が次々と出てきましたが、エンジニアの先輩として語る研修員の話に、学生たちは時々周りと目を合わせて確認しながら聞き入っていました。
後半は、研修員を中心に2グループに分かれて座談会となりました。レアンドロさんのグループでは、日本と東ティモールの暮らしについて話がはずんでいました。「教育のシステムが整っていないから、充分な教育を受けられない子どもたちが多くいるんだよ」とレアンドロさん。学生たちは真剣に耳を傾けていました。「技術の進んだ日本に来て、高度な研究に携われることに感謝しています。国に帰ったら、また東ティモールの発展に貢献したいです」と抱負を語っていました。そのほか、東ティモールのお祭りや年末の過ごし方など、さすが2度目の来日のレアンドロさん、日本と似たところ、違うところを話してくれました。
バユさんのグループでは、プログラマーだったというバユさんに対し、経営管理と情報技術を学びパソコンに詳しい経営情報学科の学生が「プログラムはどんな言語で書くのですか?」と質問していました。「当時はVisual BasicとかJAVAとか。Pythonも使っていました」と、パソコンを使う人同士の楽しい、そしてちょっと専門的な会話で盛り上がっていました。また、「インドネシアに帰ったら、何をするのですか?」という素朴な質問も。「今は、職場から日本で研究する許可を得て学べているんだよ。だから、研究が終わったら、元の職場に戻ります」と答えるバユさんに、「いつまで?」「その研究がどんなことの役に立つのですか?」など、様々な質問が向けられました。バユさんは、「自分が研究しているのは、センシングという技術なんだけど、例えば衛星って知ってるよね。多くのデータを蓄積して、気象とか津波の推測につながるんだよ」と学生に対し分かりやすく説明していました。
座談会の時間が終わってからも、二人をそれぞれ囲んで学生の小さな輪ができ、しばらく会話が続いていました。「研究する分野が違うから、どんな話ができるか不安でしたが、パソコンの話題になって、色々聞けて楽しかったです!」と話してくれる学生もいました。お互いの学校が隣接していることもあり、これをきっかけに今後も温かい交流が続くとうれしいです。 宇部高専のみなさま、ありがとうございました!
バユさんの研究が海の環境を救うことにつながります。
レアンドロさん(左から3番目)のグループの座談会
バユさん(右から3番目)のグループの座談会
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