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【出前講座 実施レポート】助産師として活動したガボンという国、そこで感じた「命」について-広島市立大塚中学校1年-

#1 貧困をなくそう
SDGs
#3 すべての人に健康と福祉を
SDGs
#4 質の高い教育をみんなに
SDGs

2024.12.04

生徒に問いかけながら話を進める延原さん

心を育む道徳の時間「心の参観日」。ガボンを通して、広がる世界観

2024年10月30日(水)、広島市立大塚中学校1年生と保護者を対象に行われた道徳の授業「心の参観日」。今年は、JICA海外協力隊としてアフリカのガボン共和国に派遣され、助産師として活動した延原真理奈さんが講師として登壇しました。
「心の参観日」は広島市内の中学校で行われている取り組みで、心を育む学びの時間として、毎年様々な講師を招いて実施されている道徳の授業のひとつです。今回は、延原さんのガボンでの1年半の暮らしや、現地での活動を通して感じた「命」についてお話を聞いていきます。

はじめに「助産師という仕事を知っていますか?」という延原さんの問いかけに、生徒や保護者から沢山の手が挙がりました。その後、地図を見せながらアフリカ大陸を探し、アフリカのイメージについて聞いていきます。「発展途上国が多い」「貧富の差が大きい」「砂漠が多い」「自然が多い」等、生徒のみなさんのイメージは様々です。そんなアフリカのイメージから、ガボンの紹介に入っていきました。

日本との時差や気候についてクイズが出ると、生徒のみなさんは近くの人と相談しながら、積極的に手を挙げて答えていきます。食についてのクイズでは、日本とは大きく異なる食文化に、会場からは「えー!」という声も聞こえてきました。
また、ガボンにいる象のマルミミゾウは、世界の動物園では3頭しか飼育されていないとされ、実はそのうち1頭が広島市安佐動物公園にいるそうです。思いがけないガボンとのつながりに、生徒のみなさんは驚いた様子でした。

助産師隊員として、母子手帳の使い方を指導していた延原さん。現在では多くの国で使われている母子手帳ですが、実は世界で初めて誕生したのが日本でした。ガボンでは、赤ちゃんの成長を記録する成長曲線を記入する際、数を数えられない人やグラフの書き方が分からない人が多く、はじめ延原さんは戸惑ったと言います。そして、「どの分野でも“教育”が大切なんです」と伝えてくれました。

その後、平均寿命、識字率、新生児死亡率、無国籍の人がいるという問題など、様々な現地での課題について話を進めていきます。しかし、日本とガボンを比べた時、医療が発達している日本の方が100%良いかと聞かれたら、そうとは言い難い、と延原さんは話しました。
日本では、出産後の子育ての孤立等が原因で産後うつになり、命を絶ってしまうお母さんが多くいる一方、ガボンでの子育てはみんなで行うものであり、お母さんが孤立することはないそうです。また、延原さんが道を歩いている時も、ガボン人は知らない人でも挨拶をする習慣があり、特に、活動先から家に帰る時に「よい週末を過ごしてね」と声を掛け合う姿がとても心地よかったと言います。
講演の途中には、延原さんが普段教えているマタニティヨガのストレッチや呼吸を、会場にいる全員で体験する時間もありました。

最後に行った延原さんへの質問時間では、たくさんの手が挙がります。
「ガボンに行って良かったことは何ですか?」
「日本になくてガボンにあるものは何ですか?」
「もし、もう一度ガボンで活動するとしたら、何をしますか?」
ひとりひとりの問いに、延原さんは丁寧に答えていきました。

最後に延原さんからのメッセージです。
「今日のお話で、みなさんの発想が豊かになったり、今に感謝することにつながれば嬉しいです」。そして、最後にこの言葉で締めくくられました。
“Ca Va aller!” (うまくいくさ!)

周りに頼りながら、そのうえで自分の道を選んでいく。この国際協力出前講座が、参加された皆さんにとって、そんなひとつの道しるべのような時間になっていたら嬉しいです。
生徒・保護者のみなさん、先生方、ありがとうございました!

クイズに手を挙げて答える生徒のみなさん

全員で体験したマタニティヨガ

講演終了後、正門で撮影

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