jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

【島根県:実施報告】島根県立宍道高校「SHINJI★多文化FESTA」を共催で行いました

#4 質の高い教育をみんなに
SDGs
#11 住み続けられるまちづくりを
SDGs
#17 パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs

2024.12.25

文化の違いなどを発表している生徒の声に、みな興味を持って耳を傾けていました。

異なる文化が交錯するときに何を感じるか

2024年11月27日(水)、島根県立宍道高校にて多文化共生を考えるイベントとして、「SHINJI★多文化FESTA」が開催されました。

同校は2021年度より島根県内としては初の”外国につながる生徒(CLD生=Culturally, Linguistically Diverse、文化的・言語的に多様な背景をもつ外国につながる生徒)”の重点受入校となっており、2022年度からはJICA中国と連携し、多文化について生徒が主体となって学校全体で取り組むイベントを企画してきました。
通算3回目となった今回は学校関係者だけではなく、一般の方や地域の方々にもこのイベントを告知し、より多くの人に多文化共生について考え、共に楽しんでもらうことを目的に行われました。
多様なアクティビティが用意され、生徒、教職員、地域の方々が共に学び、貴重な体験することができた実りある一日となりました。

プログラムの中で特に注目を集めたのは、序盤に行われたCLD生たちによる発表です。ネパール、パキスタン、ブラジル等にルーツを持つ生徒が、自らの文化や経験を紹介しました。発表では、出身国の伝統行事や故郷の特徴、観光地など、普段聞くことのない様々な事柄が生徒自身によって語られました。
日本に来て驚いた経験や文化の違いもトークショー形式で行われ、笑いが起きたり驚嘆した反応が聞こえたり、当事者の視点だからこそ語ることのできる内容に参加者は非常に興味を示していました。

また、今年3月にアメリカにホームステイをした3年生の生徒の発表も行われました。自ら行動を起こす大切さや、いざ異文化に飛び込んでみて感じたギャップやその楽しさなどを語るその姿に、生徒たちは非常に関心をもって耳を傾けていました。

後半はいくつかのグループ(生徒・教職員・一般参加者含む)に分かれ、JICA スタッフやJICA海外協力隊経験者がワークショップを行いました

異文化体験ゲームが行われたグループでは、異なるルールを理解し、互いに協力する過程で、文化的な違いによってコミュニケーションの齟齬が発生するなど、実際に起こり得る課題を体感してもらいました。続く海外での長期生活体験談では、JICA海外協力隊経験者によって海外生活で直面した困難や、その中で培った異文化理解の大切さが語られ、生徒たちには世界とのつながりを意識するきっかけとなったようです。体験談の後の感想共有では「違いを受け入れることの難しさと大切さが分かった」といった声が挙がりました。

「やさしい日本語」のワークショップが行われたグループでは、参加者は日本語が母語でない人にも分かりやすい表現を学び、異文化背景を持つ人とのコミュニケーション方法を実践的に体験しました。普段使う言葉が相手にとって難しいと感じる場合や、多文化社会では、自分の言葉遣いも意識する必要がある、といった学びが得られました。このグループには一般の方も参加し、各々が自身の気づきや学びにつなげている様子が見受けられました。

各ワークショップの最後には振り返りの時間を設けましたが、「多文化共生について深く考えるきっかけになった」「異文化交流の重要性を実感した」など、ポジティブな声が多く寄せられました。

昼食の時間には「多文化ランチ」が提供され、校内にキッチンカーやブースが並びました。今年はブラジル、スリランカ、韓国などの多国籍なオプションに加え、ビーガンスイーツやフェアトレードショップなども肩を並べ、メニューに彩りを添えました。
参加者は普段なかなか食べられない料理や、目にすることの少ない商品を通じて多様な文化を感じることができました。

宍道高校のこの取り組みはJICAとの連携により異文化体験や多文化共生についてより深く学べる機会が提供され、生徒たちだけではなく教職員や地域住民も異文化に触れることができる貴重な場として、年々充実した内容となっています。イベントを通じて、生徒たちをはじめとする参加者や関係者が多様性を受け入れる重要性を実感し、地域や社会においてその価値を広めるためのきっかけを得ることができました。

(記:島根県JICAデスク 小波津 チアゴ 明)

JICA中国が貸し出しを行い、CLD生の国籍に沿った民族衣装が展示されました。興味深そうに足を止めて説明書きを読まれる参加者の姿が印象的でした。

海外生活で直面した驚きやギャップを語る経験談に、好奇心旺盛な生徒から質問が寄せられる場面も。1年生向けのグループでは、JICA日系社会研修員としてブラジルから島根県に来ているアカミネ・ファビアナ・リエさんに、日本とブラジルの生活の違い等を語ってもらいました。

関連ファイル

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ