【広島県】国際フェスタ2024実施報告
2025.01.06
2024年11月24日(日)に広島国際会議場にて開催された国際フェスタ2024、JICAは毎年、フェスタメインイベントであるトークショーと、体験型ブース「JICAひろしま地球ひろば」を実施しました。今年のトークショーでは、「多様性を認め合い、共存していく社会に向けて」というタイトルで、ミャンマーで生まれ育ち、小学校4年生の時に来日して現在は俳優やアーティストとして国内外で活躍されている森崎ウィンさんにご登壇いただきました。森崎さんが登壇されるということで広島や中国地方からだけでなく全国各地からお話を聞きに来てくださる方も多く、初めて国際フェスタに参加する方もいらっしゃいました。
トークショー第一部では、森崎さんご自身についてのお話です。ミャンマーから日本に来たばかりの時は、日本語もままならなかったためにいじめられることもあったようですが、周りのサポートのおかげで一年後には日本語も話せるようになり、いじめていた同級生が守ってくれる存在になったのだとか。広島に初めて来たのは修学旅行。芸能界に入ってからは仕事で広島に来ることもあったようですが、今回は改めて広島の良さ、平和の尊さを感じながら街を歩くことができたと話されていたのが印象的でした。
第二部からは、認定NPO AMDA社会開発機構(AMDA-MINDS)の白幡利雄さんとひろしまNPOセンター/多文化共生マネージャーの増田勇希さんにも登壇いただき、森崎さんと3名で話を深めました。増田さんはJICA海外協力隊としてルーマニアに派遣され、帰国後に感じた異文化理解への「違和感」を解消したいという想いがあると話されていました。森崎さんは「自分が感じている『違和感』を表現していきたい。自身が経験したからこそ伝えられることがあり、エンターテインメントだからこそ伝えられることがあると思っています。」と、日本だけでなくアジアや世界で表現していく展望をお話してくれました。また、「自分の弟と話をする時、価値観の違いを感じる。こういう時はどうしたら良いのでしょうか?」という自身が普段感じている森崎さんの疑問に、白幡さんからは「家族も異文化です。国際協力の現場では、『途上国の人に教える』と少し上から考えてしまうことがあります。ですが、価値観が違う中で日本のやり方を教えてもうまくはいきません。相手の背景を理解しながら、どうやったらそこにいる人たちがよりよく生きられるのかを考え、違いを『楽しむ』ことが大切だと思っています。」という言葉に、「兄として弟にアドバイスをしているつもりでしたが、押しつけているということに気づきました!多様性を楽しむということ、面白い!」と素直に表現されている森崎さんの言葉に、会場の皆さんもはっとしたような顔をされていました。
森崎さん自身、これまでの経歴についてお話されることはあっても「多様性」や「多文化共生」について講演としてお話されることは初めてとのことでしたが、自身の経験からお話される言葉はとても誠実でパワーがあり、来場者の皆さんにもストレートに届いているようでした。他人を理解するのは難しいですが、「違和感を放っておかず、違いを楽しむこと」が多文化共生の一助になるのではないかということを考えさせられた時間となりました。
今年のJICAひろしま地球ひろばでは民族衣装の試着や、塗り絵・缶バッジづくりの他、世界地図パズルや世界中で親しまれる遊び「マンカラ」、世界の楽器体験、JICA海外協力隊よろず相談などのコーナーを設けました。また、今年が国際協力70周年であることから、日本の国際協力について広く知っていただくべく、一般市民の方向けにわかりやすく書かれたODAについての連載コラムを展示した他、学校の先生向け、学生向け展示など、対象者別の資料配布等を行いました。また、トークショーゲストの白幡さん所属先であるAMDA-MINDSの活動紹介コーナーも設けました。
民族衣装コーナーでは、ひとつだけではなく数着を次々着替えて撮影を楽しんでいくグループが多く、マンカラも大人対子供、子供対子供と、途切れることなく次々対戦が続いていました。世界地図パズルコーナーでは高校生、大学生らも楽しんでいる様子が見られました。缶バッジコーナーでは、トークショーのテーマ「多文化理解」をイメージして準備した、世界の色々な国の子どもたちが一緒にいる絵などを思い思いに塗ったものを缶バッジにしたり、世界の民芸品、国旗柄の缶バッジを作ることも出来ました。用意していた国旗の缶バッジ用紙の中には、数年前に作成した用紙もあった為、国旗検定資格を持っているという子供の来場者に、「この国はもう国名変わったよね?」と指摘を受ける場面もありました。
また、当日の運営スタッフとして手伝ってくれた協力隊経験者(OV)の5名については、それぞれの協力隊派遣時の紹介パネルを地球ひろば内に展示。来場者は、パネルで紹介されているOV本人たちとの会話を楽しんでいました。
16時のフェスタ終了時間を迎えてもなおブース内に残っている方も多く、今年も多くの来場者に楽しんで頂けました。ご来場いただいた皆様、どうもありがとうございました。来年もまた、国際フェスタの会場でお会いしましょう。
お話しする森崎ウィンさん
ゲストのお二人
トークショー会場の様子
来場者に協力隊体験を語るOV
AMDA-MINDSさん活動紹介コーナー
缶バッジぬり絵を楽しむ来場者
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