【島根県海士町 実施報告】帰国グローカルプログラム実習生が海士町を訪問しました。
2025.02.05
カメルーンでの活動様子を発表する北川さん
島根県隠岐郡海士町では、2022年1月からJICA海外協力隊派遣前研修「グローカルプログラム」が実施されています。2022年度に活動したグローカルプログラムの第1期生と第2期生が2年間のJICA海外協力隊の活動を終え、日本に帰国後、再び海士町を訪問しました。
2024年10月14日、グローカルプログラム第1期生の北川奈々さんが海士町を訪れ、海士町役場での表敬訪問と、海士町の人たちに向けた帰国報告会を実施しました。
北川さんは、2022年1月から3月にかけて海士町のぶどう農園でグローカルプログラム実習生(以下、GP実習生)として活動を行い、イベント企画運営に携わっていました。その後、カメルーンに派遣され、幼児教育隊員として幼稚園巡回や保育士のスキルアップ指導を行いました。カメルーンでは、教員の体罰に胸を痛め、時間割通りに授業が進まないことや、休憩時間がいつ終わるかわからないことに戸惑うなど、日本とは異なる文化に直面し悩むこともあったそうです。
しかし、異文化を受け入れ、何事も物事を前向きに捉えることで、多くの人々に助けられていることに気づくことができたそうです。海士町でも沢山の人たちに支えられて活動が出来たこともあり、今度は自分が誰かを支える立場になりたいと語っていました。
帰国報告会の参加者からは、「2年ぶりに日本に戻って、何か戸惑うようなことはあったか」という質問があり、「カメルーンでは天気が悪い時は出勤する人が極端に少なくなり、自分も雨があがるまで自宅で待機することもあった。しかし日本に帰ってきて、みんな天候に左右されることなく満員電車で出勤する姿を見たときに、カメルーンと時間の流れが違うと改めて思った」と答えていました。
報告会は週末の早朝実施にも関わらず約20名の方が参加してくださり、発表後にも多くの方から様々な質問が寄せられ、北川さんの経験に対する関心の高さが伺えました。
続いて、2022年4月から6月にかけて海士町で活動を行ったグローカルプログラム第2期生、七瀬遥さんと牧野稔さんが2024年11月9日に海士町を訪れ、海士町役場での表敬訪問と海士町の人たちに向けた帰国報告会を実施しました。
七瀬さんは、海士町役場の地産地商課でGP実習生として、サツマイモの端材を使ったお菓子の開発に携わりました。その後、栄養士隊員としてグアテマラに派遣され、教育委員会で子どもたちの栄養状態の調査を行いました。七瀬さんのグアテマラでの活動に対し、大江町長から「海士町での経験がどう現地での活動に活かされたか」と質問があり、「自身が所属先唯一の栄養士であったこともあり、上司や同僚からは特に活動の指示はなく、自分で考えて動くことが多かった。海士町でも自ら動かなければ活動が始まらなかったことから、グローカルプログラムでの経験が役立ったと感じており、自分でできることを考え、行動する力が身についた」と述べました。
牧野さんは、GP実習生として通学路の整備や梅の収穫活動を行い、その後スリランカに派遣され、子どもたちにサッカー指導を行いました。スリランカは体育の授業が少ないため、運動経験が少ない子どもたちが多く、また試合の勝ち負けにこだわることもあり、日本と比べると指導が厳しく感じたとのことです。そこで、スポーツは出来るだけ楽しむものであることを実感できるよう、チーム内の連携を促進する練習メニューを作ったりしました。牧野さんが住んでいた町には日本人がおらず、よそ者として活動することが海士町での活動に似ていたことや、グローカルプログラムでは海士町のスローガンである「ないものはない」を経験していたことから、あるものを活用する意識で活動出来たそうです。帰国報告会での質疑応答では、参加者から「活動で一番難しかったことは何でしたか」との質問があり、「目標に掲げていたスポーツを楽しんでもらう、ということをコーチに伝えても文化の違いから意図がなかなか伝わらず、理解してもらうのが難しかった」と回答されました。
帰国報告会の会場には、2名の海士町での活動を支えてくれた方々や、JICAの海外協力隊活動に興味を持つ方が集まりました。終了後、久しぶりに会えたことを喜び、懐かしんで話している実習生や参加者の姿が印象的でした。
JICA海外協力隊として活動中も、派遣国(活動地)と海士町をオンラインで繋ぎ中間報告会の実施や、現地での活動状況を海士町内の回覧板に掲載し、お世話になった方々との関係を継続していたグローカルプログラム実習生たち。2年間の協力隊活動期間が有ったにも関わらず、帰国報告会はまるでついこの間まで海士町で活動していたかのような温かい雰囲気に包まれて開催されました。帰国した実習生たちの報告から、グローカルプログラムの成果を実感し、更には海士町との強いつながりが続いていることが確認できました。グローカルプログラムは、実習生が経験を通じて大きく成長出来る機会であり、またその成果が海士町と世界の双方に還元される大きな機会になっていると感じられました。
(報告:海士町 国際協力推進員 森田瞳子)
表敬訪問を行う北川さん。カメルーンの民族衣装を着てくれました。
表敬訪問でも任国での活動や生活についてたくさんの質問が飛び交いました。
七瀬さんと牧野さんの帰国報告を聞きに来てくれた参加者たちと。
scroll