【広島県】第7回学校訪問 広島県立尾道商業高等学校
2025.02.07
6時間目に交流した3年生のみなさんと
2025年1月17日(金)、今年度最後となる学校訪問で、JICAのバイオマス利用技術研修で来日中の研修員7名が広島県立尾道商業高校に行ってきました。忙しい研修プログラムの合間に、自分の国を高校生に紹介するため、急いでスライドを作成し、準備万端!一路、尾道へ。
学校訪問の当日、道中に小谷サービスエリアに立ち寄り、昼食をとりました。「何がおすすめ?」「これはお土産ですね?」ほんの5日前に来日したばかりの研修員は、お店の商品に興味津々です。昼食のおにぎりやサンドイッチの他に、広島土産の定番、もみじ饅頭やレモン味のお菓子を買った人も。
尾道商業高校は、130年以上の歴史を誇り、創立当初から「世界我市場」をスローガンに掲げ、世界で通用する人づくりを目指す学校です。到着すると、LL(Language Learning)教室へご案内いただきました。3階にある教室からは、穏やかな瀬戸内海が目の前に広がり、海上保安庁の白い船が停泊しているのが見えました。これから始まる生徒との交流に少し緊張していましたが、それを忘れるほどの良い眺めです。
5時間目が始まり、英語の授業の開始です。2年生に対してお国紹介をしたのは、アルゼンチン、キューバ、パキスタン、ルワンダの研修員。キューバのジャニエルさんは、小学生時代は、野球少年だったそうで、日本のプロ野球にキューバ出身の選手が何人かいることを伝えてくれました。生徒の中に野球部員がいて「モイネロ?」と答えてくれたので、ジャニエルさんも「いいピッチャーだよね」と誇らしそうでした。この時間の最後にお国紹介してくれたルワンダのヴァレンスさん。「ここに写真はないのだけど、30年前にルワンダでジェノサイドがありました。多くの人が亡くなったことを、みんなに覚えておいてほしいです」と付け加えました。それまで美味しそうな外国の食べ物や、美しい世界の観光地などが続いていましたが、ヴァレンスさんの言葉に教室がさっと静まりました。ルワンダの虐殺と聞いてもすぐに分かった人は少なかったようでしたが、ヴァレンスさんのメッセージは届いているようでした。
4人のお国紹介の次は、アルゼンチンのマリアさんが、全員を代表して自分たちが来日し学んでいる研修テーマ、バイオマスについて説明。化石燃料を使わないバイオマスが環境に負担をかけないことを話してくれました。最後は、2年生が尾道市の見どころを英語で紹介してくれました。千光寺やしまなみ海道のサイクリングなど、おすすめスポットは沢山でした。ジャニエルさんが「おすすめのラーメンは何?」と質問。スライドですでに紹介した内容だったのですが、聞き逃したのでしょうか。生徒が、もう一度「ハンバーグラーメン!〇〇〇のお店!」と真面目な顔で自信たっぷりに答えたので笑いが起こりました。ハンバーグもラーメンも一緒に楽しめるがっつりラーメンが尾道の男子高校生の心を掴んでいるようでした。
授業が終わって、一人の女子生徒がエチオピアの女性研修員アレさんのところに「I like you!」と言ってくれたのは意外でした。「教室に入ったとき、笑顔がとってもかわいいと思ったの」とのこと。ご案内してくださった鈴木先生から授業の前に「ここの生徒はシャイな生徒が多いです」と聞いていた研修員たちは「全然恥ずかしがり屋じゃないね!」と言って、首をかしげる先生と一緒に笑っていました。
6時間目、今度は3年生に対して同様にお国紹介を行いました。お国は、ベリーズ、エチオピア、トーゴ。ベリーズのカレンさんは、豆料理の写真を見せながら、道中に小豆の入ったもみじ饅頭を食べたことを思い出して「私たちの国では、豆を甘くして食べることは絶対ない。びっくりした!」と話してくれました。トーゴ出身の研修員アシさんは、国内のお祭りとして、たき火の上を歩いたり踊ったりする動画を見せてくれました。「アシさんもやったことがあるのですか?」の質問には「僕はしていないです。」との答え。この風習は別の部族のお祭りということで、生徒たちはちょっと安心していました。他にも、病気の時に使う、ブードゥーのおまじないの人形などの写真を見せるなどして、高校生との文化交流を楽しんでいました。
放課後は図書室に立ち寄り、掲示してあった「地震地図」が目に入り、見せてもらっていました。自国では公務員という研修員が多いためか、災害に関する事柄にとても関心がある様子でした。その後は、1年生のあるクラスのショートホームルームに参加。短い時間でしたが、こちらでも大歓迎を受けました。研修員から、「学校が終わった後は、何をするの?」の質問に、プリクラやペットボトルチャレンジを教えてくれる生徒がいました。ペットボトルチャレンジとは、水などが少し入ったペットボトルをくるっと投げて、立たせる遊びです。一人の男子が、みんなの注目の中、なんとか5回目で成功!触発されたアシさん、続いてパキスタンのファスさんもチャレンジして盛り上がりました。研修員からは、おすすめのお菓子に関する質問が。生徒が次々に答えてくれたので、「絶対買う!」と喜びました。
最後に、野球部の部活動を見学させていただきました。キューバのジャニエルさん以外の研修員は、野球にはあまり馴染みがありませんが、はつらつと明るい球児に囲まれて嬉しそうでした。たくさんの高校生と交流できて、日本の学校生活を覗かせていただいたことは、研修員にとって大変貴重な経験になりました。尾道商業高校のみなさま、ありがとうございました。
お国紹介するアレさん(エチオピア)
地震地図を見せてもらうマリアさん(中央)とファスさん(中央左の男性)
ペットボトルチャレンジ成功で拍手
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