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【広島県】「JICAとチョコっと考えるチョコレートの世界」実施報告

2025.03.04

JICA研修員と、お手伝いしてくださったボランティアのみなさん

バレンタインデーの翌日に考えたチョコレートの世界

2025年2月15日(土)、ひろしま国際プラザで「JICAとチョコっと考えるチョコレートの世界」を開催しました。子どもから大人まで、チョコレートは人気のおやつの一つですが、現在世界的にチョコレートの値段が高騰しています。それは、ただ原料のカカオ豆の不作だけが理由ではないようです。どうしてチョコレートの値段があがっているのか?そしてチョコレートを取り巻く問題は何なのか?主に小学校高学年の子どもたちを対象に、その歴史をさかのぼり、またチョコレートをカカオ豆から作る体験を通して考えるイベントを行いました。

「カカオ豆からチョコ作りに挑戦!」は大人気

事前申込受付開始からほどなくして満員御礼となった、カカオ豆からチョコレートを作る体験。指導してくださるのは広島大学の現役大学生梅原さんです。今は、チョコレートの流通に関することを研究していますが、もともとはチョコレートの固まり方の研究にも携わり、チョコレートに対し色々な面から情熱を注いでいます。今回は、日本でもカカオ豆の産地としておなじみのガーナのほか、南米のカカオ豆原産国のエクアドル、アジアのカカオ豆産地の代表インドネシアの3つの国のカカオ豆からチョコレートを作ってみることになりました。
チョコレートは、収穫したカカオ豆を発酵させ乾燥、チョコレートにする際に焙煎、すりつぶして作ります。子どもたちは、焙煎まで終わったカカオ豆の皮をむいたり、機械ですりつぶしたりし、最後はシリコンの型に入れて冷やします。豆が次第に、とろっとしたチョコレートになっていく姿に終始わくわくしている様子でした。梅原さんによると、カカオ豆の産地によってはもちろんのこと、発酵の仕方や、煎り方によっても味が変わるそうです。今回使った豆の中では、ガーナのものが「神焙煎」の仕上がりだったそうです。参加した子どもたちの中にも、3種類を食べ比べした結果、「ガーナのチョコが一番おいしい!」と言ってくれる人がいました。

知れば深い、「チョコレートとSDGs」のお話

チョコ作りに参加した人には、「チョコレートとSDGs」のブースにも参加してもらいました。こちらでは、チョコレート産業が抱える「児童労働」や「貧困」などについて動画を見ながら紹介していきました。小さいお子さんも予約なしで気軽に参加できるので、毎回多くの方が参加してくれました。お話の後半では、ベネズエラの留学生フアンさんがベネズエラ産のチョコレートについて紹介した後、最後にみんなにホットチョコレートをふるまってくれました。フアンさんが日本に1軒しかないというベネズエラチョコレートの専門店から直接聞いたレシピで作ったそのホットチョコレートは、クローブとシナモンが少し効いていました。日本のココアよりちょっぴり大人なテイストで、レシピを聞く保護者の方もいました。
参加者には、もう一つ、SDGsを意識して作られたチョコレートも試食してもらいました。タンザニアのカカオ豆を使ってベルギーの会社が作ったそのチョコレートには、持続可能な農業や森林管理の基準を満たしたことを示す、カエルのイラストの「レインフォレストマーク」がついています。チョコレートのことについて新しく知ったことを振り返り、はるか遠い国に思いを馳せながら、一かけらのチョコレートを味わってもらいました。

JICA研修員を囲んで

ひろしま国際プラザの正面玄関を入ってすぐのロビーでは、インドネシア、カメルーン、キリバス、ケニア、ジブチ、パキスタン、ルワンダの研修員と交流できるブースを設けました。そこでは、子どもたちが研修員の国のことを聞いたり、おすすめのチョコレートのお菓子を聞いたりします。太平洋の島国キリバスのカティコラさんは、「私たちの国ではカカオ豆はできません。オーストラリアやニュージーランドから輸入したチョコレートが人気です。」と教えてくれました。インドネシアのラッキーさんが紹介してくれたのは、ピスチョックというチョコバナナの揚げ春巻きです。聞いただけでおいしそうなそのスナックは、インドネシアの屋台おなじみのメニューだそうです。研修員の中には、民族衣装に身を包んで参加してくれた人もいて、ダンスを披露したり国歌の動画を見せてくれたりと、終始、にぎやかなコーナーになりました。
子どもたちは、カカオ生産国や、チョコレートの歴史、JICAが行っている取り組みのクイズにも挑戦しました。カカオ豆は、地球上の限られたところでしか収穫できません。おいしいチョコレートをこれからもずっと楽しむためには、カカオ生産国の人々の暮らしを支援し、生産技術を伝えることが大事で、JICAは民間企業と協同でそのサポートをしています。この日、ひろしま国際プラザは、世界各国の人たちで賑わい、チョコレートの香りと笑顔に包まれました。

カカオ豆からチョコレートを作りました。写真中央の男性が梅原さん

ベネズエラ出身のフアンさんがベネズエラのチョコレートについて紹介

ケニアのデビッドさん。子どもたちと話すのが楽しそうでした。

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