【広島県:実施報告】「豊かな地域社会を考える-多様な人々が暮らしやすい持続可能な地域とは?-」ワークショップ



2025.03.04
2025年1月11日(土)、東広島イノベーションラボ ミライノ+にて、「豊かな地域社会を考える」ワークショップを開催しました。JICA中国が「認定特定非営利活動法人 開発教育協会(DEAR)」との共催で実施したこのワークショップには、3連休の初日にもかかわらず24名の方が参加されました。
最初に、参加者それぞれが「私にとって地域とはなにか」を考えました。自分が暮らす地域と言われて、どんな範囲を想定するか、また日々の生活で地域に支えられているなと感じることはなにか、日常を思い返しながら各自がワークシートに書き込んでいきました。
また、自分の住む地域が経済的に良い変化があると感じるかどうか、隣人や友人と地域の問題について話し合う機会があるかどうかなど、自分と地域との関わりを掘り下げ、グループで共有しました。同じ東広島市に暮らす参加者同士でも、個々が考える地域の範囲が違っていたり、市外、県外の参加者はまた異なる地域との関わり方を持っていたりと、一言で「地域」といっても多様なとらえ方をしていることが分かりました。
各自の地域への関わりや認識を整理したあとで、自分にとって「豊かな社会」とはなにか、27個の選択肢から3つ選んでいきました。便利な物品を気軽に入手できる、広い家に住めるなどの経済的豊かさ、教育の機会均等や意見表明の自由といった人権に関すること、頼れる人がいるか、居場所があるか、といったコミュニティの視点から、国防・税金といった国に関わる事項まで、あらゆる選択肢の中で自分にとって最も重要な条件はなにか、その理由も含めて考えることで、自分自身の価値観やライフスタイルを見つめ直す時間にもなったようでした。
自分の視点を掘り下げたあとは、視点をずらして考える時間を持ちました。地域には様々な人が暮らしています。性別や年齢、国籍の違い、障害の有無、性自認の多様化など、自分とは異なる立場の人を想像したとき、地域に求める豊かさの条件はどう変わるのか、グループで話し合いました。
ファシリテーターの近藤牧子さん
和やかな雰囲気ながらも真剣な意見交換が続きました
全体発表の様子
後半、グループのメンバーを変えて新たなテーマでグループディスカッションを行いました。
まず各自が、日頃モヤモヤと感じている事柄を3つ、ふせんに書き落としていき、それをグルーブ内で共有し合います。同じ事柄を同じように感じる人もいれば、「そんな場面、私は目にしたことがない!」と、住む地域が異なることで気づく事象も違うといったグループもありました。
その後、沢山のモヤモヤする事柄の中からグループで1つ選び、そのモヤモヤはどのような理由があって発生しているのか、話し合っていきました。1つのモヤモヤの背景を探る中で、個々が抱く感情は、自身の価値観だけに起因するものではなく、社会全体の構造、ひいては世界の諸問題にもつながっていることに気づいていきました。ファシリテーターを担ったDEARの近藤牧子さんからは、個人の感情を「問題」として提起した人にとっては、周囲に話し、共感を得ることでエンパワーメントされること、そしてその連帯が地域を変える力になっていく、といった解説がありました。
今回のワークショップには、年齢も国籍も職業も異なる方々が参加され、参加者からは「多種多様なバックグラウンド・業種の方と接することで多くのことを考えさせられ、学びがあった」、「参加する前とした後での視座が変わった」といった声が挙がりました。多様な参加者が同じテーマで話し合いを進めることで、すべての人にとって豊かな社会をつくることの大切さと難しさを再認識する機会となりました。
また、持続可能な社会を創るために必要な知識を獲得すること、そのために大人も学び続ける重要性を、参加者全員が改めて理解する機会となりました。
JICA中国はこれからも、様々な団体と連携し、地域の皆さんと協働で豊かな地域づくりに貢献していきます。
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