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【島根県:実施報告】 多様な背景を持つ人々が居住する島根県出雲市にて「いずも多文化ひろば」が開催されました

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SDGs
#17 パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs

2025.03.06

JICAの民族衣装体験コーナーでは老若男女問わず来場者が記念撮影をしていました!

出雲市で「いずも多文化ひろば」開催 - 多文化共生社会へ向けた地域の取り組み -

島根県出雲市には2025年1月時点で県内最多の約5千人の外国人が暮らしています。国や民族、言語や文化の違いを超えて、多様な人々や団体が互いに理解し合い、安心して共に生きることができる多文化共生社会の実現に向けた取り組みの一環として、2025年2月24日(月)、同市の斐川町にある複合型施設「アクティーひかわ」を会場に「いずも多文化ひろば」が盛大に開催されました。当日は好天にも恵まれ、約700人の来場者で賑わいました。

イベントの概要と目的

「異なる文化との共生・理解」というテーマのもと、本イベントは「多文化"結"の会」や出雲市、並びに有志による実行委員会の主催(後援:島根大学/協力:JICA中国)によって実施されました。この地域に暮らす多様な国籍・文化背景を持つ人々や異文化交流に興味を持つ市民が一堂に会し、相互理解と友好を深める貴重な機会となりました。会場内は「展示・体験」「飲食」「ステージパフォーマンス」の三つのゾーンで構成され、訪れた人々は様々な形で国際交流を体験することができました。

世界の文化を体感

展示・体験エリアでは、在住外国人(出雲市役所文化国際室所属)による母国文化紹介コーナーや販売ブース等が設けられ、ブラジル、フィンランド、アイルランドなど様々な国の伝統工芸品や手芸品の制作体験、クイズなどを行うことができました。各国の代表者たちは熱心に自国の歴史や伝統について説明し、来場者はその国の文化や生活習慣について理解を深めることができました。また、健康促進コーナーや多文化をテーマとした写真展、多言語による紙芝居なども別途設けられ、子どもから大人まで幅広い年齢層の参加者が様々なブースに足を止め、交流を楽しんでいました。
島根県JICAデスクは「世界の民族衣装体験とアフリカの民族楽器試演」をテーマにしたブースを出展。綺麗な刺繍の施されたアジアの民族衣装、彩り鮮やかな南米の防寒着や中東圏の伝統的な装いなど、普段はなかなか目にすることのない各国の衣装に袖を通して異国体験をしたり、珍しい楽器を鳴らして頬を緩ませる来場者の方々の様子がとても多く目立ちました。特に子どもたちは目を輝かせながら様々な衣装を試着してポーズをとるなどして、国際理解への第一歩を踏み出していました。

世界の味を堪能

飲食エリアでは日本、タイ、ブラジル、バングラデシュをはじめとした多彩な料理が提供され、来場者の舌を楽しませました。雲南名物の焼き鯖、タイのガパオライス、ブラジルのパステル、バングラデシュのカレーなど、様々な国の代表的な料理が並び、お昼時には長蛇の列ができるほどの人気でした。これらの料理は在住外国人自らが調理したもので、本場の味を楽しむことができる貴重な機会となりました。また、調理法や食材についての説明を通じて、食文化から各国の歴史や風土についても学ぶことができたと語る来場者もいました。

アフリカの民族楽器に興味を示す様子

多様なルーツを持つ来場者で賑わっていました!

様々な形式のマルシェやフードトラックも出店し、大変賑わっていました

多彩な文化パフォーマンス

ステージエリアでは終日、多岐に渡るパフォーマンスが繰り広げられました。日本人とブラジル人からなるバンド演奏、安来節、アンデスの笛、タヒチアンダンス、石見神楽など、各国の伝統芸能が次々と披露され、会場は国際色豊かな雰囲気に包まれました。馴染みのない国の文化を目の当たりにした来場者からは感嘆の声が上がり、終演時には惜しみない拍手が会場に響き渡りました。来場した外国人参加者からは「自分たちの文化を紹介できる場があることはとても嬉しい」との声が聞かれました。

イベントの意義

このイベントは単発的なものにとどまらず、毎年出雲市における多文化共生の取り組みを象徴する重要な行事となっています。増加する外国人住民と日本人住民が互いの文化を尊重し、共に地域社会を築いていくための基盤づくりに大きく貢献しています。また、次世代を担う子どもたちが早い段階から異文化に触れ、国際感覚を養う教育的意義も担っています。
出雲市や島根県では、今後もこのような文化交流イベントを通じた相互理解の促進が国際化の進む地域社会における平和と調和の礎となり、また地域活性化と国際化戦略の両輪となっていくことが期待されています。
「いずも多文化ひろば」は異文化理解の種を地域社会に蒔き、多様性を尊重する共生社会への第一歩を体現した意義深いイベントとなりました。今後もこうした取り組みが継続・発展し、出雲市が多文化共生のモデル都市として更なる飛躍を遂げることを願っています。

(記:島根県JICAデスク 小波津 チアゴ 明)

日本のスポーツだけでなく、色々な国の遊びなども紹介されました(画像はフィンランド発祥の投擲競技モルックのプレイ時)

多言語対応の紙芝居も!

全ての人に開かれた健康相談ブースでは普段の悩みなどを語る様子がみられました

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