全国のJICA研修員対象 「国際平和文化都市」広島と「世界遺産」宮島を巡るツアーを実施しました
2025.09.09
宮島での集合写真。この後、グループに分かれて厳島神社を参詣しました。
毎年実施している全国のJICA研修員対象のツアーですが、今年はタイトルに「被爆80周年」を明示し、参加者には事前に折り鶴の作り方の動画を送り、各自で折り鶴を作ってきてもらいました。
地元広島大学のほか、県外からは、北海道大学、東北大学、会津大学、埼玉大学、名古屋大学、関西学院大学、神戸大学、九州大学、佐賀大学、長崎大学の研修員、合計39名が集まりました。参加を決めたのは、原爆の惨禍、平和の大切さを教えてくれる場所・人々から直接学びたいから、どのように復興したのか知りたいから、日本の文化や自然に触れたいからという人たちが多くいました。
ツアー前日、ひろしま国際プラザに泊まった研修員は4人いましたが、仲良くなった人たちもいたようです。当日の朝、彼ら、彼女らを乗せてひろしま国際プラザを出発したバスは、東広島市内で広島大学に通う研修員をピックアップしながら高速道路を使って広島駅へ向かい、そこで夜行バスや新幹線で来た研修員が合流しました。広島市内は予想以上の通勤ラッシュだったため、最初の目的地である広島平和記念資料館への到着が、予定より15分遅れとなってしまいました。
資料館に入ると研修員は急いで音声ガイドを装着し、約1時間、館内を見学しました。展示品や被爆者の物語に衝撃を受けたり、心を痛めたりした人たちもいたようです。
その後、元広島県庁職員で、国際交流や被爆者支援に長年携わった経験をお持ちの八幡毅さんを講師として、
「広島の復興の成功の秘訣、若いリーダーへのメッセージ」と題して講義を受けました。原爆のイメージをより鮮明にするために、「35万人の市民の頭上、上空600メートルに、、表面温度7,500℃の小さな太陽が突然現れたようなもの」と表現をされた後、復興への困難な道のり、自分や家族が犠牲となりながらも責任感を持って救助活動を行った人たち、世界平和を象徴する都市として広島を復興させるという市民の合意形成、そのために財源・人材・資材・公共用地のすべてが無い中で、首長たちの強いリーダーシップのもとでの区画整理による広い道路や公園の建設、高層アパートの建築による不法家屋の解消などについて説明していただきました。そして、研修員へのメッセージとして、「住民の声を聞き、ゴールを共有して、住民も目標達成に関与できるしくみを作っていくことが大切だ」と訴えました。研修員にも、広島の再建に地域社会の力が大きかったことが理解してもらえたようです。
講義終了後、研修員は2グループに分かれて、平和記念公園内の慰霊碑や原爆ドームなどを見学して回りました。各自に作ってきてもらった折り鶴は、グループごとに1つの袋に入れ、それぞれ原爆の子の像のところでお供えしました。
昼過ぎに平和記念公園を出発し、バスとフェリーで宮島へ移動しました。バスの中では宮島のマップを配り、写真パネルを使って厳島神社や大鳥居の概要、生ガキや鹿に注意すること、おすすめの食べ物、大聖院、千畳閣などの観光名所の説明をしました。宮島を横から見た形がブッダの横顔に見えることを伝えると、バスの車窓やフェリー桟橋から、「あれがおでこであれが鼻」と確認している研修員もいました。
フェリーを降りて、全員で集合写真を撮った後は自由時間です。お好み焼きの店に入ったり、焼き牡蠣を楽しんだりしました。そして、三々五々、宮島を散策し、厳島神社に参詣して、自然の美しさ、豊かさ、古くから島そのものが信仰されてきた歴史や神社の建築美に感銘を受けていた様子でした。
原爆や戦争の悲惨さ、平和の尊さを訴える原爆ドーム、多くの人々が信仰したという古式ゆかしい厳島神社、広島県を代表する2つの世界遺産を訪れて、研修員に満足していただけたようです。とても暑い日でしたが、特に体調を崩すこともなく、無事帰途につきました。
作ってきた鶴をお供え
慰霊碑の前で写真撮影
広島の復興に関する講義での質疑
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