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【広島県:実施レポート】JICA中国後援「HICキッズセミナー~世界の国のことを学ぼう~」

#4 質の高い教育をみんなに
SDGs
#10 人や国の不平等をなくそう
SDGs
#17 パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs

2025.08.22

講演中の様子

セミナー概要

2025年8月16日(土)、広島クリスタルプラザにあるひろしま国際センター(HIC)にて「HICキッズセミナー」が開催されました。JICA中国が後援するこのセミナーでは、JICA海外協力隊経験者2名がそれぞれの派遣先であるマラウイとパラグアイに関することや派遣先での活動について講演されきました。
セミナーに参加した子どもたちは、協力隊経験者によるクイズに元気に手を挙げて答えたり、日本にない文化について話を聞いた際には「へぇー」と言って驚いたりと、終始、興味津々の様子でした。セミナーの途中には、パラグアイのお茶・お菓子の試食の時間もあり、話を聞くだけでなく現地の食文化を体験して、パラグアイについてより理解を深めることができました。学校では学ぶことができない国々のことを親子で楽しみながら学ぶ時間となりました。
以下では、講演をしてくださった協力隊経験者の方、セミナーの参加者、本イベントの主催者であるHICの方へのインタビューを紹介いたします。

JICA海外協力隊経験者のお話(千田成美さん)

千田成美さん(派遣国:マラウイ  職種:小学校教育(算数))

Q1 なぜJICA海外協力隊に参加しようと思ったのですか?
A1 教育系の大学に通っており、小学校の教員を目指して勉強していました。 卒業論文のテーマで平和教育に携わったことがきっかけで、海外協力隊に興味を持ち、いつか行ってみたいと思うようになりました。 ただ、知識や経験を十分に身につけてから行きたかったので、日本で小学校教員として働いてから、応募しました。

Q2 異なる言語で子どもたちに算数を教える上で、工夫したことはありますか?

A2 視覚を用いた教え方を最も重視していました。例えば、絵や図を頻繁に使用することで、言葉を十分に交わせない時でも、生徒に理解してもらいやすくしていました。 また、日本人が学習する英語と、マラウイの人々が話す英語には違いがありました。そのため、現地の子どもたちが理解できる英語を用いて、授業をすることを常に心掛けていました。

Q3 海外協力隊の経験を生かして、今後どのようなことをやっていきたいですか?
A3 まずは、日本人のアフリカに対する偏見を無くしていきたいです。よく「日本人は時間に厳しいよね」など、「何人はこうだ」という表現がされますが、私はマラウイに行って、そのようなことはないと感じました。日本人とマラウイの人々の間には、共通点も相違点も沢山あり、それをお互いに認め合える大切だということを伝えていきたいです。
また、現在は大学院で教育開発の研究をしているため、海外協力隊で培った現場での経験を、今勉強している学問に結び付けていきたいと考えています。

JICA海外協力隊経験者のお話(只野杏奈さん)

只野杏奈さん(派遣国:パラグアイ 職種:青少年活動)

Q1 なぜJICA海外協力隊に参加しようと思ったのですか?

A1 前職では、仕事と日常生活だけをこなす毎日を送っていました。海外協力隊には以前から興味があったため、説明会に参加しました。その際に、登壇されていた海外協力隊経験者の「本当に今のままでいいのか」という言葉が胸に刺さり、海外協力隊への参加を決意しました。当時の仕事を辞めることにあまり迷いはなかったです。

Q2 子どもたちに、図画工作や習字を教える上で、工夫していたことはありますか?

A2 私は日本語学校の生徒たちに教えていたので、言葉が伝わらないという問題は、あまりなかったと思います。ただ、日本語ネイティブのレベルではなかったため、やさしい日本語を用いて授業を行うことを心掛けていました。

Q3 海外協力隊の経験を生かして、今後どのようなことをやっていきたいですか?

A3 パラグアイには、第二次世界大戦後に移住をした日系の方々が多数生活されており、日系アイデンティティの根深さや日本語教育の必要性に気が付きました。今回の経験から、日本語教師を目指そうと決意し、現在資格を取るために勉強しています。日本の子どもたちにも国際協力の実態を伝えることで、誰に対しても親切な人になって欲しいなと思っています。

参加者の声

子どもたちの声:楽しかった!ほかの国の文化や学校の違いについて知ることができた。(試飲したパラグアイの)お茶はおいしかったけどちょっと苦かったです。
 
親御さん達の声:子どもが広い視野を持てたら良いなと思っているので、今回のセミナーで学校ではなかなか経験できないことを学ぶことができてよかったです。
欧米のことは学ぶ機会があると思うけれども、今回のセミナーのような普段接する機会が少なくぱっと思い浮かばない国や珍しい文化について知ることができてよかったです。

公益財団法人ひろしま国際センター(HIC)の方のお話

本イベント主催者 公益財団法人ひろしま国際センター(HIC) 交流部 交流推進課 胤森 美保さん

Q1 今回どのような思いで、JICA海外協力隊の方々のお話を聞くイベントを開催されましたか?

A1 広島県において、外国人の人口は増加しており、子どもたちが通う学校にもたくさんの外国人の子どもがいます。彼らのような外国人をより身近に感じてもらうために、子どもたちが楽しく海外に触れることのできる場として、今回のようなイベントを運営しています。
HICでは、大きく分けて二つの軸で、イベントを企画しています。一つは、国際協力分野における人材育成。もう一つは、異文化理解の推進です。これらの目標のもとで、皆で思いやりながら、海外の文化や国際協力について理解してもらいたいという思いで、今回のイベントを運営しました。

Q2 これから、広島県における国際理解教育や国際協力の人材育成に、どのような形で関わっていきたいと考えていらっしゃいますか。また、国際協力に興味のない人を取り込むためのプランなどはございますか。

A2 まず、興味のない人を取り込むということは、HICとしても課題となっています。そのような方々は、国際協力について、海外に行かないと関わることのできない仕事であるという認識を持っていることがよくあります。HICでは、様々なイベントを通して、国内で出来る国際協力について知ってもらい、そのような認識を変えることから取り組んでいきたいと考えています。そのうえで、中学生や高校生、大学生向けに、キャリア教育にフォーカスしたセミナーを開催し、国際協力分野の人材育成に取り組んでいきたいと考えています。

報告者より

今回のイベントでは、子ども向けの国際理解教育の形を知り、国際協力分野の人材育成の現場を見ることができ、このような企画の重要性を改めて実感しました。最近は、広島県のみならず、日本全国で外国人の人口が増えており、これまで以上に自分の身近なところに外国人がいるという環境に変化しています。そのようななかで、異国の習慣やJICA海外協力隊について知ることは、外国の人と関わることのハードルが下がったり、身の回りにある海外の文化についてもっと知りたいという気持ちが生まれたりするきっかけになると思います。
また、今回の企画のように、親子で参加する形のイベントは、主な対象としている子どもだけでなく、親御さんの国際理解にもつながります。そのようにして、参加した子どもから身の回りの家族や友達へと、国際理解の輪が広がっていき、地域社会における多文化共生の実現へ一歩近づくことができると感じました。私たちインターン生自身も、自分が所属するコミュニティで、このような場を積極的に設けるように取り組んでいきたいと思います。

報告:JICA中国インターン生 明治大学 政治経済学部 3年 山本百花
              広島大学 総合科学部 3年 佐藤友哉
              広島大学 教育学部 3年 前角彩花

パラグアイのお茶「テレレ」の試飲(当日はメディアの取材もありました!)

展示コーナーの様子

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