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【島根県海士町:実施報告】元グローカルプログラム実習生の西谷直代さん、JICA海外協力隊として日本語教育を通じた国際協力の2年間を報告

2025.10.01

西谷さんと報告会に参加していただいた皆さんと。

島根県隠岐郡海士町では、2022年1月からJICA海外協力隊派遣前研修「グローカルプログラム」が実施されています。

2023年1月から3月にかけ、海士町でグローカルプログラムの実習生として活動していた西谷直代さんが、JICA海外協力隊としての2年間の任期を終え、派遣先のベトナムから帰国しました。2025年9月19日(金)、お世話になった海士町を再訪し、町内で帰国報告を行いました。

西谷さんは、2023年8月から日本語教育隊員としてベトナム・ホーチミン市内の大学に勤務。アニメや漫画をきっかけに日本語を学び始めた学生や、就職に有利だと考え専攻した学生など約60名の生徒を対象に、教育活動を行ってきました。

海士町議会での報告 —アオザイ姿で伝えた2年間の奮闘—

先ず西谷さんは海士町議会を訪れ、大江町長や町議会議員の皆さまに向け、2年間の活動についての報告を行いました。

報告では、ベトナム・ホーチミン市の大学での日本語教育活動について紹介。学生一人ひとりが積極的に授業に参加できるよう、「発言すること」を大切にした授業づくりに取り組んだことを語りました。特に、「日本語を話すのが前よりも怖くなくなった」という学生の声は、現地での丁寧な関わりが伝わる印象的なエピソードとして紹介されました。

また、教育活動の合間にはベトナム各地を訪れ、現地の文化や暮らしにも積極的に触れたそうです。なかでも心に残ったのが、ベトナム南部にあるコンダオ島を訪れた経験。かつて流刑地としての歴史を持ち、今もその記憶を大切にしている島の姿に、海士町との多くの共通点を感じたといいます。静かな島の風景や人々の暮らしに触れる中で、海士町で過ごした日々の記憶が自然とよみがえってきたと語っていました。

議員の皆さまからは、教育現場での取り組みはもちろん、現地での暮らしぶりや食文化、休日の過ごし方など、さまざまな角度から質問が寄せられ、会場は終始和やかな雰囲気に包まれました。西谷さんは一つひとつに丁寧に答えながら、ベトナムでの生活や人々との交流の様子を共有しました。

なお、報告会では西谷さんがベトナムの伝統衣装「アオザイ」を身にまとって登壇。色鮮やかな衣装が会場に彩りを添えたほか、アオザイの歴史やデザインの変遷についての紹介もあり、参加者の関心を集めていました。

島と世界をつなぐ報告会

続いて開催された町民向けの帰国報告会には、約20名の方々が参加くださいました。参加者の中には、海士町でのグローカルプログラム実習中に西谷さんがお世話になった方々や、現在島内で日本語教育に携わる住民の姿も見られ、海外における日本語教育への関心の高さがうかがえました。

質疑応答では、「現地の学生の進路はどうなっているのか」「日本語教育を通じてどのようなキャリア形成が可能なのか」など、多くの質問が飛び交いました。西谷さんは、「日本留学を希望する学生も多いが、最終的にはベトナム国内での就職を望む声が多い」と、現地の実情を丁寧に説明。教育の現場に根ざしたリアルな声に、参加者も熱心に耳を傾けていました。報告会が終了した後も会場には人が残り、ベトナムでの生活や教育現場についての質問が続くなど、交流の輪が広がる時間となりました。

西谷さんは今後も東南アジア地域で日本語教師としてのキャリアを続ける予定とのことです。大江町長からは「海外での生活に疲れたら、いつでも海士町は歓迎する。現地での活動、がんばってください」との温かいエールをいただきました。

これで、海士町を訪れて帰国報告をしてくれた元グローカルプログラム実習生は8人目となります。次回の帰国者の訪問は2025年12月頃を予定しており、今後も、世界で得た学びを地域と分かち合う機会を大切にしていきたいと考えています。

アオザイ姿で発表をする西谷さん

報告会には多くの方たちに参加いただきました。

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