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【島根県海士町:実施報告】海士町発「グローバル探究」、地域と世界をつなぐ学びの実践 ~島根県立隠岐島前高校の生徒が大阪・関西万博でブータン探究の成果を発表~

2025.10.10

万博会場で発表をする隠岐島前高校の生徒たち

2025年8月1日、大阪・関西万博の国際パビリオン「Commons D」にて、島根県立隠岐島前高等学校の生徒3名が、ブータンでの探究学習の成果を発表しました。

海士町では、地域に根ざした探究学習を海外で実践する「グローバル探究」プログラムを展開しています。今回発表を行った隠岐島前高校の生徒たちは、JICAと島根県海士町が共同で実施する草の根技術協力事業「地域活性化に向けた教育魅力化プロジェクト ブータン王国における地域課題解決学習(PBL)(※)展開事業」の一環で2024年にブータンを訪れ、教育、宗教、食文化など多様な価値観に触れる体験を積みました。

※課題解決型学習(PBL: Project Based Learning)とは、知識の暗記等ではなく、生徒が自ら課題を発見し解決する能力を身に付けることを目的とした教育法で、隠岐島前高校では、島ならではの地域の資源や課題を基に実践しています。

高校生による発表

まず、ブータンの民族衣装に身を包み、登壇した高校生たちがそれぞれ以下のテーマで発表を行いました。

1.ブータン渡航の概要と印象に残った出来事
2.ブータンの仏教と人々の幸せについて
3.ブータンの食文化と現地の人々の温かさについて

会場では、通りがかった来場者から「ブータンの発表だ」という声もあがり、多くの方が足を止め、発表に耳を傾けていました。発表後、生徒たちは次のように感想を語りました。

「万博での発表は、今までで一番多くの人にブータンを知ってもらえるチャンスでした。足を止めて聞いてくださった方々の目がキラキラと輝いていたのが印象的でした」
「発表していて、こんなにもブータンに興味を持ってもらえるとは思っていなかったので嬉しかったです」

高校生たちは、万博という国際的な舞台で、自分の言葉で伝えることの難しさとやりがいを感じながら、観客とのリアルなつながりを実感する貴重な経験となりました。

日本とブータンを結ぶオンライン中継

発表の後半では、ブータンと日本をオンラインでつなぐライブ中継が実施され、会場の熱気がさらに高まりました。オンラインで登場したのは、かつて海士町で活躍していた2人のJICA海外協力隊員。海士町とブータンを結ぶ縁が、さらに広がりを見せました。

以下に、オンライン登壇した2名のJICA海外協力隊員を紹介します。

1.吉井玲香さん(チュカ県からの中継)
現在、ブータン南部のチュカ県でJICA海外協力隊員として活動している吉井さんは、かつて海士町で美術教師やカレー店経営者として地域に関わっていました。今回の中継では、活動先である学校の授業中の様子や、配属先の校長先生へのインタビューを通じ、ブータンの教育現場をリアルに紹介しました。

2.岩井厚樹さん(パロ県からの中継)
続いて登場したのは、海士町でのJICA海外協力隊派遣前訓練「グローカルプログラム」に実習生として参加していた岩井さん。中継では、ブータンの伝統建築「パロゾン」や、丘の上からパロの風景をライブで紹介し、会場の来場者たちは、まるで現地を旅しているかのような感覚を味わっていました。

参加者からは「現地の気温はどれくらい?」「生活で驚いたことは?」「JICA海外協力隊の活動はどんなもの?」など、多くの質問が寄せられ、現地との距離がぐっと縮まるひとときとなりました。

教育がつなぐ、地域と世界

今回のイベントには、出入り自由の形式でありながら、延べ約70名の来場者が参加され、発表や中継を通して、多くの方にブータンという国をより深く知っていただく機会となりました。

万博ブータンブースの担当者からは、
「実際に現地を訪れた高校生の視点からの発表は、来場者にとって非常にリアルで新鮮だった。ブータンの魅力を伝える貴重な機会になった」とのコメントをいただきました。

「遠い国」と思っていたブータンが、ぐっと近くに感じられた今回の高校生の探究発表。地域と世界を結ぶ学びの循環が、これからも広がっていくことを期待しています。

ブータンとのオンライン中継

万博担当者(左2人)と高校生(右3人)

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