【実施報告】日系研修 「伝統文化(神楽)の継承による日系社会の活性化」
2026.01.09
成果発表会の様子(@神楽門前町) 研修員は左端手前(笛)、中央(白鬼)
今年度もブラジルから2名の研修員が神楽の技術を学びにやってきました。日系研修 「伝統文化(神楽)の継承による日系社会の活性化」は、今回4回目の実施です。日系研修とは、日系社会のさらなる発展と移住先国の国造りに貢献するための研修であり、今回来日の2名はブラジルで神楽団に所属をしている日系ブラジル人です。今回参加の1名は広島にルーツを持つ方で、おじいちゃんの影響で子供の時から神楽を学び始めた方でした。
本研修の受け入れ先は、安芸高田市の神楽協議会の皆様です。JICA中国が所管をしている中国地方では広島県、島根県で神楽が盛んです。今回、研修員が滞在した安芸高田市では、神楽を通じた地域活性化や観光振興に取り組んでいます。市役所の皆様にも神楽団に所属している方が多く、また神楽団には若い人たちも多く、神楽がとても身近に存在をしている地域ということが伺えます。
約1カ月に渡り、神楽団のメンバーが日中の仕事を終えた後、2名に神楽の指導をして下さいました。神楽団のメンバーの皆様に本当に感謝です。神楽は、地域ごと、その地域にあるお宮ごとに異なる神楽があり、スタイルもそれぞれ異なるそうです。今回の研修員はブラジルで学んでいたスタイルとは異なる神楽を学ぶことに習得できるか不安も大きかったようですが、神楽団の皆様の熱心な指導と「神楽は時間を経て、色々な地域に広がりながらそのスタイルを変えていっているので、ブラジルならではの神楽のスタイルを確立すれば良い」と大きな心で包み込んで下さったことで、研修員2名も安心して研修を受けることができ、最後には笑顔を見せていました。
今回、2名は技術を高めるために本研修に参加したのですが、高校の神楽部との交流や地域住民の方々とのふれあいを通じて、「神楽は小さな子供から年配の方まで一緒に楽しめることを知りました。そして地域で一生懸命に力をあわせて神楽を作っていることがわかりました。神楽は地域住民を一体化させて、コミュニティを活性化させる力があるということを学びました。ブラジルでも神楽を通じて色々な人を巻き込んでコミュニティを盛り上げることを行いたいです。」と最終発表会で話をしてくれました。
コミュニティの重要性については、本研修が、オンラインではなく、実際に中山間地域のコミュニティに滞在したからこそ、学ぶことができたと思います。地域のコミュニティで助け合って暮らす、そのような温かいコミュニティも日本文化の1つです。受け入れてくれた安芸高田市の住民の皆様、ありがとうございました。
12月17日(水)に実施された成果発表会では、2つの演目を約1時間に渡って、披露しました。1名は、笛の担当、もう1名は大蛇、鬼を担当しました。これまで受け入れた過去4回の研修で、笛を学びに来日した研修員は初めてです。研修初めには、緊張もしていたのか笛の音が出なかったそうですが、成果発表会の笛の音は、聞き手を魅了していました。また大蛇、鬼を担当した研修員は女性ですが、通常、大蛇、鬼の衣装はかなり重いので女性が担当するのは大変なのだそうです。しかしながら、最後まで繊細かつダイナミックな動きを見せ、演目を完遂していました。
送り出しのブラジル神楽団からは、2名には他団員の育成への期待をこめられて送り出されています。力を出し切った2名は演目終了時には、ほっとしたのか、涙を浮かべていました。「よく頑張った」とみんなに声をかけてもらっている2名と成果発表会に駆け付けた安芸高田市の皆様の姿を見ながら、この1ヵ月という期間は研修員のみならず研修員に関わった皆様にとってもお互いに素敵な時間を過ごした日々だったのではないかと感じました。
成果発表を終えて涙の挨拶
修了証書を受取り満面の笑み(神楽団団長さんと一緒に)
指導を受けた神楽団から扇子のプレゼント
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