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【広島県:実施報告】「Hiroshima Peace Dialogue—全面侵略から4年、ウクライナから平和を考える」を広島YMCA国際文化センターにて開催しました。

2026.04.06

2026年3月17日、JICA中東・欧州部ウクライナ支援室主催、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン協力のもと、「Hiroshima Peace Dialogue—全面侵略から4年、ウクライナから平和を考える」を広島YMCA国際文化センターにて開催しました。ロシアによる全面侵略から丸4年が経った今、改めてウクライナの現状を知り、一人一人が出来ることを考える機会の創出を狙いとして、東京と広島の2都市でウクライナイベントを実施し、広島では特に平和について考える機会となるよう企画・実施されました。

まず第1部では、全面侵略後に日本へ避難し、2025年に帰国して現在はウクライナ経済・環境・農業省で勤務するマリヤ・ボンダレンコ氏が登壇しました。マリヤ氏は、戦争によって多くの命が失われ、若者が安全を求めて国外へ流出し、出生率の低下と併せて人口減少が深刻化している現状を紹介しました。そのうえで、「世界に変化を望むなら、まずは自分から」という信念を胸に帰国した自身の思いを語りました。「現地にいないと分からないことがある」と述べ、だからこそ「当事者の声を聞く」ことの重要性を強調しました。

ウクライナの現状と母国にかける思いを語るマリヤ・ボンダレンコ氏
(写真提供協力:特定非営利活動法人 ピースウィンズ・ジャパン)

また、マリヤ氏が日本滞在中に関わった「発行されなかった卒業証書」展についても紹介がありました。この展示は、本来であれば卒業を迎えるはずだった若者が、戦争によってその未来を奪われた現実を伝えるものであり、ウクライナの若者が置かれた状況の深刻さを共有するものとなりました。

戦争により未来を奪われた学生たちを偲ぶ「発行されなかった卒業証書」展
(写真提供協力:特定非営利活動法人 ピースウィンズ・ジャパン)

第2部では、JICA中東・欧州部ウクライナ支援室の田中耕太郎室長より、ウクライナの復旧・復興に向けたJICAの取り組みについて説明を行いました。ウクライナが抱える財政赤字、エネルギーインフラや交通網の損壊、医療体制の逼迫など、多方面に広がる課題をデータとともに紹介し、それらに対して日本がどのような支援を行っているかが共有されました。具体的には、地雷・不発弾対策、がれき処理支援、医療機材の供与、エネルギー・運輸といった基幹インフラ支援、さらに民間企業と連携した産業支援など、日本の知見を生かした多様な取り組みが紹介されました。

現地の復旧・復興ニーズを説明する田中耕太郎JICAウクライナ支援室長
(写真提供協力:特定非営利活動法人 ピースウィンズ・ジャパン)

第3部では、「平和」に関するパネルディスカッションと題し、マリヤ・ボンダレンコ氏、元駐モルドバ共和国大使で、現在はピースウィンズ・ジャパン上席顧問の片山芳宏氏(広島県出身)、JICA ウクライナ事務所で勤務する松本颯太所員(広島県出身)がゲストスピーカーとして登壇しました。3名はそれぞれ異なる立場から、戦争が人々の日常をどのように変えているのか、ウクライナの平和のために何が必要か、そして日本に住む私たちが平和のためにできることについて意見を交わしました。

パネルディスカッションの様子
(写真提供協力:特定非営利活動法人 ピースウィンズ・ジャパン)

松本所員は「ウクライナ国内で不和が生まれないようにすることが大切」と述べ、長期的な視点で平和を築くことの大切さを強調しました。片山氏は、「紛争がない状態としての平和だけでなく、より広い意味での平和を目指す必要がある」とし、ウクライナ人の身体的な苦しみだけでなく、精神的な苦しみをなくすことの重要性を語りました。一方で、マリヤ氏は「平和を叫ぶだけでは、平和を達成することは難しい」と述べ、ウクライナが直面する現実の厳しさと平和のための具体的なアクションの必要性を訴えました。

登壇者3名による議論を通じて、戦争が“遠い場所の出来事”ではなく、個人の生活や未来を一瞬で奪う現実であることを認識する重要性が示され、次世代への支援、戦争を起こさせない社会づくりの視点が共有されました。

パネルディスカッションの様子

当日は、会場参加26名、オンライン参加90名の計116名が参加しました。学生、行政関係者、市民など幅広い層が集まり、登壇者の話に熱心に耳を傾けていました。オンライン参加者からも多数の質問が寄せられ、ウクライナ支援と平和への関心の高さがうかがえました。アンケートでは、「普段聞くことがなかった戦時下の現実について、ニュースでは得られない情報を知ることができて勉強になった」「マリヤさんの話のおかげでウクライナの人々との距離が近くなったと感じた」「憎しみの連鎖をヒロシマの視座で考えることが重要という点に共感した」などの声が寄せられました。

本イベントを通じて、ウクライナの現状をより深く理解するとともに、平和や国際協力について自分ごととして考える機会となっていましたら幸いです。JICAは、今後も様々なステークホルダーとの連携を通じ、ウクライナに平和が訪れるその日まで、協力を推進してまいります。

                                   (報告:中東・欧州部ウクライナ支援室)

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