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【岡山県:実施報告】中学校数学の分野で、セネガルの研修員を岡山に受入れ

#4 質の高い教育をみんなに
SDGs
#10 人や国の不平等をなくそう
SDGs

2026.05.08

閉講式でパシャリ!研修員と岡山大学の先生方と

研修員受入事業をご存知ですか?

JICAの研修員受入事業は、ひとことで言うと開発途上国の「未来の国づくりを担う人材」を育てる取り組みです。世界各国政府からの要請に基づき、 毎年およそ130か国以上から8,000人を超える技術者や行政官などを日本に招き、日本の経験や取り組みを学んでもらっています。

JICAの研修には大きくは2つの種類があり、ひとつは「長期研修」で1年以上日本に滞在し、主に大学の学位課程(修士・博士)に就学します。

もうひとつは1年未満の「短期研修」で、特定の分野や国ごとの課題に基づいた研修があり、岡山でも毎年いくつかの研修を受け入れています。 研修期間の全てを岡山県内で行う場合もあれば、研修期間の一部を岡山県内に訪問する場合もあります。研修員に必要な知識と、受入れ環境などによりさまざまです。

今回は、短期研修で「国別研修」という枠組みで2026年2月15日から3月7日までの約3週間、セネガルを対象に実施されているJICAの技術協力プロジェクトの一環として、セネガル人のプロジェクト関係者が来日し、岡山大学にて日本の中学校での数学のノウハウを学びました!

中学校の数学に関する実践的研修!

これまでセネガルでは、初等算数に特化した基礎教育分野の技術協力プロジェクトが2期(計9年間)にわたって実施されてきました。そのプロジェクトの一環で、初等算数の研修コースを岡山大学で受け入れた実績はありましたが、今回の「中等教育数学に特化した取組み」はセネガルの基礎教育協力において今回が初めての試みです。

今回の研修は、2025年に始まった、セネガルで実施されている教育プロジェクト「基礎教育算数・数学能力向上プロジェクト(PAAME-MG/パーム・エムジー)」の一環として行われました。岡山を訪れたセネガルからの一行の目的は、「学習者が中心となる学びを目指すために、日本の体系的な教育システムを学ぶ」ことです。

研修員として、セネガルの教育分野を担うスペシャリスト9名(教育省所属)が参加。研修期間中は、岡山大学教育学部の教授陣の全面協力の下、JICA専門家(教育分野)や研修監理員(通訳)などが一貫して関わりながら研修をすすめました。研修初日は、広島県の平和記念公園を訪問し、平和の尊さについて再認識する機会をもちました。

「日本で学ぶ」という機会を最大限に生かすため、事前準備から研修期間中に至るまで、関係者間で丁寧な調整を重ねました。加えて、中等教育数学という専門性の高い分野であること、セネガルと日本で教育の背景や環境が大きく異なること、研修員の使用言語がフランス語であることなどから、お互いの理解に齟齬が生じないよう、日本人関係者によるこまめなコミュニケーションが図られながら、研修がすすめられました。

講義の様子

「生徒主体」の授業案づくりに取り組む研修員

生徒を主役にした授業づくりとは?

日本とセネガルでは、教室の環境や教育制度、指導条件は大きく異なります。しかし、「子どもたちに、より良い学びを届けたい」という想いは世界共通です。研修の中では、岡山大学の先生方の全面協力の下、次のような「日本流の授業づくり」の本質が共有されました。

・日常生活に身近な題材を取り入れ、生徒が「何のために問題を解くのか」という実感を伴う場面設定を意識すること
・答えを教え込むのではなく、生徒自身が発見や気づきを得られるような授業展開を大切にすること
・既習事項と新たに学ぶ内容を整理し、その授業で取り組むべき課題を生徒にわかりやすく示すこと
・生徒の多様な反応や思考プロセスを事前に予想し、授業では柔軟に対応できるよう計画すること

日本が世界に誇る「問題解決型授業」は、セネガルの研修員にとって驚きと新鮮な学びに満ちた経験となりました。研修では、両国の共通点と違いを比較しながら、日本の教育システムの強みをセネガルの現場でどう適用できるか、先生方と熱い議論が交わされました。

また、実践的な演習として行われた模擬授業には、岡山大学の学生7名も生徒役として参加。より教室現場に近い環境で、研修員たちは自らの指導案を磨き上げ、日本流の授業スタイルに挑戦しました。

こうした実践に加え、教科書出版社の啓林館への訪問や、岡山県内の公立中学校の授業見学も行われました。制度や文化の違いから生じる疑問については、日本人関係者がその都度丁寧にフォローアップを行いました。極めて専門的で密度の濃い研修プログラムでしたが、綿密なサポート体制により、研修員が深く集中して学べる環境が整えられ、終始活発な雰囲気に包まれていました。

模擬授業の様子。
研修員が生徒役、生徒は岡山大学の将来教員を目指す学生

「角の二等分線」を
コンパスと定規をつかって書いてみる模擬生徒

視察先の落合中学校(真庭市)で
「比例と反比例」の授業を視察。

最終日には、先生方からは、こんな激励の言葉が贈られました。

・「子どもの思考プロセスを意識した学習指導を目指すためにも、予想される発言や誤答にこそ焦点をあててほしい。子ども中心の授業において、誤答は財産です。それを大事にしながらセネガル独自の教育システムを構築してください」

・「教師が変われば、子どもが変わる。子どもの数学の力をつけるには、先生の教材研究や努力が必須です。今回の研修で得られた考え方や経験をこれからのセネガルの先生たちに伝えてください」

研修を終えて帰国した研修員が、今後のプロジェクト活動を通じて教室でどのような「学びの変化」を生み出していくのでしょうか。その挑戦が今からとても楽しみです!

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