アフリカからの研修員たちが広島で学ぶー戦災からの復興と地方行政の関わり方ー
2026.09.07
平和記念公園にて
皆さんこんにちは。JICA中国センターインターンの國府優花です。インターンシップの一環として、2026年9月7日と8日に実施された、課題別研修「サヘル諸国・周辺国における地方行政能力強化による強靭な地域・社会形成」に同行させていただきました。今回はその様子をレポートします。
課題別研修「サヘル諸国・周辺国における地方行政能力強化による強靭な地域・社会形成」に参加中の研修員11名が、9月7日に広島の平和記念資料館や平和記念公園、原爆ドームを訪れました。また、広島の戦後復興における地方行政官の役割と責任についての講義も受講。翌9月8日には東広島市役所の市民協働センターにて、住民組織と行政の連携や活動についての講義を受講しました。広島の戦後復興や行政と住民組織との連携について学びを深め、その経験や教訓を自国へ持ち帰り、地方行政官としてどのように活用できるかについて考えました。
当日は初めに、研修員たちは平和記念資料館を訪れました。音声ガイドを聞きながら、一つひとつの展示に足をとめ、真剣なまなざしで展示を見ている様子がとても印象的でした。被爆者の遺品とともに被爆の惨状や被爆体験を伝える写真や資料が展示されている場所では、特にじっくりと時間をかけてそれぞれの展示内容に見入っていました。
次に、平和記念公園と原爆ドームを訪れました。ある研修員は特に平和の灯が心に残ったようで、「平和の灯には、平和記念都市を作るのだという広島市民の思いが込められていると思った。」と述べていました。
講義では、元広島県庁職員で、長年にわたり国際交流や被爆者支援に携わってこられた八幡毅さんより、広島における戦災からの復興成功の秘訣についてのご講演をいただきました。広島の市民全員が平和な都市を作るという願いを持ち、同じ方向に向かっていたこと、行政リーダーがその方向性を示していたこと、そして市民と地方行政官が一つとなったことで復興への道が開けたと教えていただきました。研修員たちは皆地方行政官であり、それぞれが自分の立場に当てはめて、自国で何ができるかを考えることができました。
ある研修員は、「復興においては住民との関わりが大切ということが心に残った。多くの人が同じ方向に向いたからこそ復興できたのだと思う。」と感想を述べていました。
また、講義後にはたくさんの質問がありました。特に、住民の意見を聞くための場についての質問が多くあがり、「住民の意見を聞くための機会は具体的にどのようなものがあったのか教えてほしい。」「住民との意見交換会はどのような方式で行ったのかを詳しく知りたい。」など、今後住民の意見を取り入れていくにはどんな方法で何をしたらよいのか、積極的な質問を通してさらに学びを深めることができました。
講師の八幡さんと握手
八幡さんにニジェールの伝統的なポシェットをお渡ししました
東広島市では、市役所の市民協働センターにて、住民組織が担っている役割や行政との連携について、合同会社ひとむすびの小山歩優さんと大学生ボランティアの米田歩未さんからお話をいただきました。合同会社ひとむすびでは、住民自治組織の支援やフードバンク、炊き出しの活動など、多岐にわたって東広島市民を支援する事業を行っているそうです。研修員にとってはこのような会社の存在自体がとても目新しかったそうで、多くの質問を通して住民組織が担っている役割について深く知ることができました。ある研修員は、「このような事業をされている会社があるということにとても心が動かされた。特にフードバンクの活動が心に残った。企業などで余った食べ物を貧困層の方々に分けるということはとても有益であり、支援が必要な国でこそ、このような仕組みがより必要になると感じた。どの事業も東広島市の助けになると思った。」と感想を述べていました。また、市役所の助けもありながら事業が進められているというお話もあり、地方行政と住民組織の関わり方についても学ぶことができました。
合同会社ひとむすびの小山さんから事業についてのご説明
ホロホロチョウの置物をお渡ししました
研修員の17歳の娘さんが描いた絵もお贈りしました
今回の研修での広島の戦後復興の経験からの学びを通じて、地方行政で重要な点は、「対立する課題にとらわれず、市民が同じ方向を向ける仕組みづくりを行政がしていくこと」であると多くの観点から学ぶことができました。もちろん、国が抱える問題はそれぞれで、広島と全く同じようにはいかないかもしれません。しかしそれでも、地方行政官が責任感をもって対応したこと、市民の声を直接聞いて行政に反映させられるようにしてきたこと、そして市民と行政が共通の目標をもち一丸となって歩んできたことなど、広島の経験から様々なことを教えていただきました。
また、行政だけで動くのではなく、住民組織と行政が連携していくことも地域を作っていく大切な取り組みであると学ぶことができました。
広島での研修は、地方行政官である研修員たちがこれからに繋げられるようなお話をたくさん伺うことができた貴重な機会となりました。
講義後に講師の八幡さんと、広島の街をバックに記念撮影