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「6次産業と独自産業ネットワークで繋がる」 世羅町の地域づくりを学ぶ

#8 働きがいも経済成長も
SDGs
#11 住み続けられるまちづくりを
SDGs

2026.09.09

                             研修員と世羅高校農業経営学部2年の学生たち

みなさん、こんにちは。JICA中国センターインターンの田坂愛莉です。
インターンシップの一環として、2026年9月9日に実施された、課題別研修「サヘル諸国・周辺国における地方行政能力強化による強靭な地域・社会形成に同行させていただきました。今回はその様子をレポートします。

当日、研修員11名が広島県世羅町を訪問しました。
研修員はそれぞれの国や地域で行政に携わる立場から、地域の特色や資源を生かした地域づくりと、住民と行政が協力して地域課題の解決に取り組む仕組みについて理解を深めました。

今回の世羅町の訪問では、「6次産業」をキーワードに、農業を軸とした地域づくりと、生産者同士のネットワークづくりについて学びました。

           世羅ワイナリーでの研修員の様子

「1×2×3=6」 地域の農業に新たな価値を見出す

「6次産業化」とは、農林水産物を生産する1次産業に、加工を行う2次産業、販売やサービスを担う3次産業を組み合わせることで、新たな価値を生み出す取り組みです。

生産だけでなく、加工・販売を一体的に行うことで、地域で生産された農産物の付加価値を高め、地域産業の活性化や雇用の創出に繋げています。 また、「1×2×3=6」という考え方には、地域資源の価値を最大限に引き出そうという思いが込められています。

生産者の繋がりが生み出す地域の力

まずはNPO法人「がんばる農家のパートナー」理事長の向谷裕次さんから、世羅町における生産者同士の連携についてお話を伺いました。
向谷さんは、広島県職員として世羅町の農業行政を担当していた際、生産者が互いに学び、情報交換できる「世羅高原6次産業ネットワーク」を立ち上げました。
勉強会や情報交換会の開催に加え、世羅ワイナリー敷地内の「夢高原市場」の設立や、さまざまなイベントへの出店を通じて、生産者が協力しながら地域の農産物の魅力を発信する仕組みづくりを進めてきました。

続いて、せらにし特産品センターかめりあ代表の宮本眞弓さんからは、地域の女性たちによる活動についてお話を伺いました。
宮本さんは約40年前、女性の役割が主に家事や育児など家庭を支えることとされていた時代に「女性も地域産業に参加できるのではないか」という思いから、近所の女性たちと集まり、地域の農産物を活用した商品作りを始めました。
春夏秋冬の年4回、それぞれの季節に合わせて「世羅の味」を詰めた「ふるさと便」を全国へ届ける取り組みは現在も続いており、その功績が評価され、農林水産大臣賞を受賞しています。

訪問先での質疑応答では、研修員から多くの質問が寄せられました。
特に関心が集まったのは、「こうした地域の取り組みが誰によってはじめられ、どのように続けられてきたのか」という点です。
研修員からは、
「この取り組みは政府が主導して始めたのでしょうか。それとも市民や地域の人々が主体となって始めたのでしょうか」
「この仕組みを今後どのように継続しようと考えていますか」
など、地域の取り組みが生まれた経緯だけでなく、その仕組みを長く続けていくための工夫についても高い関心が寄せられました。

こうした質問から、研修員が世羅町の取り組みを単に「地域の事例」として捉えるのではなく、自分たちの国や地域でも応用できる仕組みなのか、そして持続可能な地域づくりには何が必要なのかという視点を持って学んでいることがうかがえました。

             向谷さんの講義を受ける様子

           宮本さんに研修員の国のお土産を渡す様子

「子供たちが帰ってきたい町」を目指して

続いて訪れた広島県立世羅高等学校では、農業経営科の2年生と共に、世羅町で実践されている6次産業について学びました。
農業に携わる森沢裕佳さんからは、「地域の資源をどのように仕事につなげるか」という視点や、「子供たちが将来帰ってきたいと思える街にしたい」という思いから、小学校教員を辞めて農業の道を進んだ経緯についてお話しいただきました。

また、地域社会の一員である高校生との意見交換のパートでは、研修員から高校生へ、「高校卒業後は、進学や就職など、どのような進路を考えているのか」といった質問が投げかけられる場面がありました。これに対し高校生からは、「農業経営を学べる専門学校への進学を検討しています」との回答がありました。世羅高校の農業経営科では、生産・加工・販売までの一連の活動を学ぶことが教育課程の中に組み込まれており、実践的な学びを通じて農業や地域産業への理解を深めています。今回の意見交換を通じて、教育課程での学びが高校生自身の将来の進路選択につながっていることを、生徒の生の声から感じることができました。
今回の世羅町での視察を通して、研修員は農産物の生産・加工・販売を一体的に進める6次産業だけでなく、それを支える生産者同士の連携や地域のネットワークの重要性についても学びました。
そして、地域の資源を生かしながら産業を育て、人と人とのつながりを大切にしながら次世代へ地域を受け継いでいこうとする世羅町の取り組みは、研修員にとって、自国や地域の未来を考えるきっかけになりました。

「子供たちが将来帰ってきたいと思える街をつくる」

世羅町で聞いたこの言葉を胸に、今回の学びが、研修員それぞれの地域での取り組みに生かされ、地域の人々が未来に希望を持ち、次の世代が帰ってきたいと思える地域づくりに繋がることが期待されます。

             研修員に空手を教える高校生

            高校生と意見交換をする様子

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