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【島根県海士町:実施報告】JICA海外協力隊帰国隊員3名が海士町へ帰国報告 ~世界の課題解決で活かされる海士町での学び~

2026.09.30

右から志藤さん、鳥羽さん、永井さん

島根県隠岐郡海士町では、2022年1月より、JICA海外協力隊の派遣前訓練「グローカルプログラム」を実施しています。

2024年1月から3月まで、グローカルプログラム実習生として海士町で活動した3名がJICA海外協力隊の派遣期間を終えて、海士町を訪問しました。今回訪問したのは、カメルーン共和国で環境教育隊員として活動した鳥羽一花さん、ブラジル連邦共和国で青少年活動隊員として活動した志藤菜南さん、ミクロネシア連邦で栄養士として活動した永井久美子さんです。 3名は、実習を通じてお世話になった海士町の皆様に、それぞれの派遣国での2年間の活動成果について帰国報告を行いました。報告会では、現地での活動や暮らしの様子に加え、海士町で学んだことがどのように海外での活動に活かされたのかについて報告をいただきました。

限られた資源を「ないものはない」の精神で工夫

カメルーン共和国で小学校、幼稚園を対象に環境教育隊員として活動した鳥羽一花さんは、現地の深刻なごみ問題に対する取り組みを報告しました。
教材や活動資金が不足する中、前任者が残した教材や古い蚊帳など、身近にあるものを活用しながら環境教育を実践しました。古い蚊帳を再利用してペットボトルの回収場を作成し、ごみの分別をしやすい仕組みを整えました。また、活動期間中にすべての対象校を巡回することが難しかったため、学校新聞を発行し、直接訪問できない学校にも環境に関する情報を届けました。さらに、学校菜園の活動では、種を自ら採集して活用するなど、限られた資源の中で知恵と工夫を重ねながら持続的な環境教育の仕組みづくりに取り組みました。
報告会では、現地のごみ処理方法や食文化、井戸での水汲みや薪を使った生活など、カメルーンでの暮らしについても紹介され、参加者からは多くの質問が寄せられました。
鳥羽さんは、海士町のスローガン「ないものはない」に象徴される、限られた資源の中で工夫しながら課題解決に取り組む姿勢が、現地での活動を進める上で大きな支えになったと振り返りました。

地域とのつながりを築き、日本語を広げる

ブラジル連邦共和国のカッポンボニート文化体育協会で青少年活動隊員として活動した志藤菜南さんは、日系コミュニティの日本語学校で、現地教師とともに日本語教育や学校運営に取り組みました。
活動当初、生徒数は2名。志藤さんは、より多くの人に日本語を学んでもらうことを目標に、まず地域のイベントに積極的に参加し、地域の人々との接点を増やすことから始めました。学校の存在や活動を知ってもらい、地域との関係を築く中で口コミによって生徒数を増やし、学習意欲を高めるための工夫などにも取り組みました。 その結果、生徒数は28名まで増加し、6歳から70歳まで幅広い世代が通う学校となりました。
宮城県出身の志藤さんは、ずんだ餅作りやすずめ踊りなど、自身の地元の文化を現地で伝える活動も行い、地域との交流を深めました。
報告会では、地域住民との対話を重ねながらニーズを把握することの重要性や、文化や習慣が異なる中で人とのつながりを築き、協働することの難しさとやりがいについて報告されました。
志藤さんは、海士町で学んだ「とことん話をして関係を築く」という地域づくりの考え方が、ブラジルでの活動の糧になったと振り返り、今後は海士町や自身の地元と海外の地域をつなぎ、双方で得た経験を還元していきたいと抱負を述べました。

現地の食生活に寄り添った食育

ミクロネシア連邦コスラエ州のコスラエ州立病院で栄養士として活動した永井久美子さんは、糖尿病患者や妊婦への栄養指導のニーズを踏まえ、食育活動に取り組みました。
コスラエ州では肥満や糖尿病が深刻な課題となっています。ミクロネシアには、食生活に関する国のガイドラインはあるものの、食育の機会が少なく、健康的な食生活を意識する人がまだまだ少ない現状がありました。永井さんは、現地の食習慣を一方的に変えるのではなく、日常生活の中で無理なく取り組める方法を考え啓発に取り組みました。例えば、袋麺をやめるのではなく野菜を加える、調味料を半分にする、甘いものを控えるなど、現地の食生活に合わせて実践しやすい改善方法を提案しました。改善が難しい場合には、身近な人の事例を紹介し、生活習慣病は予防できることを伝えるなど、健康への意識を高める啓発にも取り組みました。
また、州内の学校でも食育を実施しました。子どもたちを通じて、学んだことを家庭に伝えてもらうことで、保護者の食生活への意識につながるケースもみられました。さらに、自らも人前ではジュースを飲まないなど、日々の行動でも健康的な食習慣を実践し、模範を示しました。
活動を通じて、船便の遅延による物資不足や、ゆったりとした「アイランドタイム」など、現地ならではの大らかな時間の流れや文化の違いに戸惑いつつも、日曜日の教会行事や長期間続くクリスマス行事にも積極的に参加し、地域の人々との交流を重ねながら信頼関係を築きました。
永井さんは、コスラエでの生活でも海士町の「ないものはない」の精神が大変役立ったと振り返りました。今後もさまざまな機会を通じて海士町とのつながりを続けながら、特に食をきっかけとした交流にもつなげていきたいと話しました。

海士町での学びが、世界の課題解決に活かされる

それぞれ異なる国や分野で活動した3名ですが、海士町で得た経験や学びを現地での課題解決に活かして活動されました。
限られた資源の中で知恵と工夫を重ねること。地域に入り、人との対話を重ねながら関係を築くこと。相手の暮らしや文化に寄り添い、無理なく続けられる方法をともに考えること。3名の隊員がそれぞれの派遣国で直面した課題に対し、海士町での学びや「ないものはない」の考え方を活かし、柔軟に活動に取り組みました。

グローカルプログラムをきっかけに生まれた海士町と海外協力隊員との縁は、帰国後も新たな形での地域貢献や国際交流の芽となり、広がり続けています。今後も元実習生たちのさらなる活躍と、海士町との持続的なつながりが期待されます。

報告会には多くの方々が参加してくれました。

活動中にお世話になった方々と、海士町で学ぶ後輩GP実習生たち

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