大分県別府港でJICA研修員が海図の作製に挑んでいます!
2025.10.29
製作した簡易水位計
10月14日(火)から11月13日(木)までの約1カ月、アジア・アフリカで水路測量に従事する若手技術者が、大分県別府港で港湾測量実習等に取り組んでいます。海図は海上交通の安全を確保し海上貿易を成長させるために必要不可欠なものですが、海図整備が未だ不十分な国があり、それらの国の海図作製能力向上を目的として開講しているJICA課題別研修「海図作製技術コース」の一環としてこの実習が行われます。
実習に参加しているのは、カンボジア、モルディブ、パキスタン、パラオ、フィリピン、スリランカ、ベトナム、バングラデシュ、マダガスカルの合計9か国からのJICA研修員。
本格的な測量実習を翌日に控えた10月16日(木)、別府市副市長及び大分海上保安部長への表敬訪問を実施しました。別府市の阿部万寿夫副市長は、「海と山に囲まれた、自然に恵まれた国際観光文化都市別府で、実習が実り多きものになるよう祈念いたします」とJICA研修員らを激励しました。また、大分海上保安部での表敬では、児玉徹部長より「水路測量は経済に対しても影響がある。目的意識を持って参加されているみなさんにぜひ活躍していってほしい」とJICA研修員へエールが送られました。
別府市 阿部万寿夫副市長への表敬訪問
大分海上保安部 児玉徹部長への表敬訪問
JICA研修員たちは、東京で事前に2か月ほど海図作製に必要となる理論や実務、海図データの利活用についての講義を受けてきました。その後に行われる別府港での測量実習は、港湾での測量実海図を作製する上で必要となる水深、海岸の形状や灯台の位置などの情報を把握するために、段階的に進められます。
三脚の水平を確認するJICA研修員
GNSS受信機を設置するJICA研修員
翌17日(金)からは、早速測量実習が始まりました。陸上での測量では、基準となる点(水準点)に測量機器を設置し、衛星測位システムを利用して地上の現在位置を計測します。三脚は必ず水平を保つ必要があるため、設置時にはみなさん、真剣なまなざしで水平器を覗き、正確な測量となるよう気を張って取り組んでいました。
簡易水位計を製作するJICA研修員
約4mの簡易水位計を設置場所へ運ぶ
海図は、陸上の地図とは異なり、潮の満ち引きを考慮して測量しなければなりません。
そこでこの日の午後は、潮位を測るための簡易水位計の作製と設置、潮の満ち引きをリアルタイムで観測している験潮所の見学を行いました。簡易水位計は、験潮所が無い場所で簡易的に潮の満ち引きを計測するもので、目視と器具の先端に取り付けた水圧センサーで水位を測ることが出来ます。定点で潮位を観測する施設である験潮所では、リアルタイムの測定データがテレメータで常時海上保安庁に送信されていることに、みなさん関心を寄せていました。
簡易水位計を設置し潮位を測る
験潮所内の潮位のリアルタイムデータを確認
別府港での港湾測量実習で水路測量の技術を学んだJICA研修員は、帰国後、水路測量のエキスパートとしての活躍と、我が国のパートナーとして、水路業務の国際的な連携強化と発展への寄与が期待されます!
(JICAデスク大分 担当:渡邊)
scroll