今月は、新着図書から2冊をご紹介します。
『中村哲 思索と行動 「ペシャワール会報」現地活動報告集成 [下] 2002~2019』
中村哲 著
戦禍と干ばつで荒廃したアフガニスタンやパキスタンの無医村において人道支援に尽力し、2019年12月、凶弾に倒れた中村哲医師。医療や農業、水源確保事業によって多くの人々の命と生活をつないだ中村医師は、どのような思いを胸に活動を続けていたのでしょうか。本書は中村医師の活動を支え、その志と事業を継ぐ国際NGO「ペシャワール会」の会報に生前中村医師が寄せた活動報告を中心に編まれたもの。下巻ではアフガニスタンの農村復興を目指した灌漑事業「緑の大地計画」が展開されます。どこにも逃げ場のない人々と希望を分かち合い、現地の実情を世に伝え続けた中村医師が考える「本当の支援」とは。「平和と共生への道」とは。深い思索と行動をたどる貴重な記録です。
『国際協力入門 平和な世界のつくりかた』
山田満 著
戦争や紛争、貧困と格差、感染症、環境破壊に自然災害。地球に暮らす私たちの安全や安心、ひいては人権をも脅かす問題が複雑化かつ深刻化するなか、本書では、長年にわたり教育に従事し、国際協力や平和構築を専門にフィールドワークを主軸とした研究を行ってきた著者が、政府開発援助(ODA)、人間の安全保障、ベーシック・ヒューマン・ニーズ(BHNs)といったキーワードを通じて、地球公共財としての「平和」を読者とともに考えます。巻末には、各章に設定された「課題研究」で求められる考え方のヒントや読書案内も。平和とは何か。平和な社会をいかに、そして「誰が」つくるのか。諸問題の解決に向けた「考える力」を磨くための一冊です。
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