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今月は、所蔵資料から2冊をご紹介します。
『品質を追求しキルギスのブランドを世界へ 途上国支援の新たな可能性「一村一品プロジェクト」』
原口明久 著
JICAが開発途上国で行ってきた事業を振り返る「プロジェクト・ヒストリー」シリーズ。第40巻となる本書では、中央アジアの山岳国、キルギス共和国の地域経済活性化とコミュニティの再構築を目指した「一村一品プロジェクト」の軌跡をたどります。
1991年のソ連崩壊による独立後、相次ぐ政変などで経済が停滞し、貧困化が進んでいたキルギス。そこで2007年に始められたのが、大分県発祥の一村一品運動を応用したコミュニティビジネスのモデルを構築するための取り組みです。
草木染を施した良質なメリノウールで動物を形づくるフェルト製品や、マメ科の植物「エスパルセット」の花だけから採った繊細な味わいの白い蜂蜜。その強い生命力から“奇跡の果実”とも呼ばれる「シーバクソン」を搾ったジュースに美容オイルといった、地域の人たちの手によって生産される品々は、どれも自然豊かなキルギスならではの天然素材を使ったもの。商品数は700種を超え、2023年には国家プロジェクトとして採択されるまでになりました。
開発事業とビジネスとをつなげ、「持続的に地方が発展する仕組みをつくる」。2009年よりプロジェクトに携わり、チーフアドバイザーも務めたJICA専門家である著者が、試行錯誤の中で考え続けた「真に必要な支援」とはどのようなものだったのでしょうか。途上国開発における多くのヒントを得られる一冊です。
『もしぼくのかみがあおいろだったら』
ガードナー瑞穂 作・絵 H. B. Gardner 英語訳
「ねぇママ、もし、僕の髪の毛が青色だったら、ママは僕のこと好きだった?」
「それじゃあ、もし、僕が半分猫で生まれていたら?ママは僕のこと好きになった?」
「じゃあね、いつか僕がパパになって、生まれてきた赤ちゃんに障害があったら、僕はどうしたらいい?」
素朴でありながら読者の心に深く問いかける言葉と、親子のあたたかな会話、優しさあふれる絵が印象的な本書は、長男、長女、ダウン症のある次女の3児の母である著者が、自身と当時学校に通えなくなってしまっていた小学生の長男との実際のやりとりをもとに制作した、英語訳付きの絵本。多様性や障害に関するまっすぐな問いに著者は、「どんなあなたでもだいすき」と、子どもたちへの愛情を伝えます。
「あとがき」には、本書が作られる背景となった子育てのエピソードや、読者へのメッセージも。
すべての人が自分らしく生きられる、インクルーシブな社会について話し合うきっかけになる一冊です。
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