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JICA海外協力隊インタビュー企画「世界のセンパイに聞いてみた!~JICA海外協力隊のホンネ10連発~」第8弾!

 JICA海外協力隊員のリアルなホンネを、学生インタビュアーがご紹介!
 第8弾は、鹿児島情報高校在学中の江崎さんが、エルサルバドルで活動する満尾隊員へインタビューを行いました.!

<インタビュー 第8弾>
JICA海外協力隊員:満尾隊員(派遣国:エルサルバドル、職種:野球)
インタビュアー・編集:江崎さん(鹿児島情報高校)

全力だからこそ見えた国際協力の本質。~野球が繋ぐ日本とエルサルバドル~

みなさんは、中米エルサルバドルで日本の人がどのような国際協力をしているか知っていますか?今回は、現地で活動するJICA海外協力隊員の満尾泰樹隊員にインタビューを行い、現地の方との日々や、国際協力への思いについて教えていただきました。

「エルサルバドルの人々の温かさに触れて」
 まずみなさん、エルサルバドルがどんな国か知っていますか?エルサルバドルは中米にある小さな国で、温暖な気候をもち、コーヒーを主な輸出品として発展しました。1821年にスペインから独立後、20世紀までコーヒー依存の経済が続き、貧富の差が拡大してしまいます。1980年には内戦に突入し、12年間続く中で多くの犠牲者を出しました。1992年に和平合意が成立したものの、経済格差や貧困を背景にギャングが台頭し、社会問題化しました。近年は大統領の強硬な治安対策で治安は改善した一方、人権侵害や民主主義とのバランスが課題となっています。一方で、美しい自然と豊かな文化が織りなすエルサルバドルならではの雰囲気も魅力的で、温暖な気候で育ったフルーツなどもとても美味しいそうです。

 そんなエルサルバドルにJICA海外協力隊として派遣されたのが現在大学生の満尾泰樹隊員です。活動内容はエルサルバドルでの野球の普及、現地の方の健康促進など、スポーツに関することが中心です。満尾隊員が海外協力隊に参加しようと思ったきっかけは、中学時代の先生の影響が大きいそうです。先生から話を聞くうちに、自分も途上国の子どもたちと触れ合いたいと思うようになりました。そして、派遣可能年齢になった20歳(大学2年生)の時に応募し、今に至ります。満尾隊員は国際協力の面白さを一言で表すと、「交流」だと語られました。現地の人との交流はもちろん、海外協力隊の仲間との交流も大きな魅力だそうです。JICA海外協力隊では全隊員が現地に派遣される前に日本で2ヶ月の研修を行い、190以上の職種から集まった多様なバックグラウンドを持つ人たちと関わることで、視野が広がったと話していました。着任してからも現地の生活に対応できるように1ヶ月の研修があり、そこで得た経験も活動の支えになっているそうです。

 実際にエルサルバドルに派遣されるまで、満尾隊員の中には大きな不安があったとのことでした。無事に日本に戻れないかもしれない。友達にももう会えないかもしれない。さらに大学に戻っても友達はみんな卒業しているので同級生がいないという不安です。しかし、そんな不安の中でなお行動に移せたというのは、満尾隊員の中に途上国で国際協力に参加したい、という強い思いがあったからだそう。エルサルバドルに派遣されてからは、現地の人達が優しく接してくれるおかげで、ホームシックにはならなかったそうです。現地の人の温かさに触れたエピソードはあげたらきりがないらしいのですが、中でも満尾隊員がエルサルバドルに到着した日に空港で助けてもらった時や、同僚の方に仕事中にふらっとサトウキビを食べに連れていってもらったことが印象的だと話してくれました。
 しかし、活動や生活の中で言語の壁にぶつかることもあったそうです。満尾隊員の言いたいことをくみ取ってはくれるものの、上手く伝わらない時もありました。そんな時は翻訳機を使いますが、満尾隊員は翻訳した文をそのまま見せるのではなく、自分の声で相手に伝えるようにしているといいます。これはコミュニケーションをとる上でとても大事なことで、自分の声で伝えることで感情や思いをできるだけ正確に伝えられるそうです。

「共に歩む国際協力のカタチ」
 エルサルバドルはサッカーが盛んな国なので、着任当初は野球人口がほとんどいなかったそうです。そこで学校を巡回しながら少しずつ野球を広め、初めて子どもたちを集めて大会を開けたときは、とても感慨深かったと話してくれました。半年後には、子どもたちが試合で一生懸命ボールを追いかけたり、1年目の子どもが新しい子どもにルールや投げ方を教えたりする姿も見られ、活動の輪が広がっていることを実感したそうです。また、現地のインクルーシブ教育についても触れ、障がいのある子どもたちが地域の中で自然に活動している様子や、教員・保護者・地域の接し方から多くを学ぶ機会になっていると語っています。

 満尾隊員は現地での活動や生活を通して、学ばせてもらうことのほうが多いと話していました。協力隊として過ごす中で、国際協力に対する考え方も大きく変わったそうです。赴任前は「先進国が途上国に支援する」という一方的なイメージを持っていましたが、現地での経験を重ねる中で、国際協力とは互いに学び合い、支え合う関係であることを実感したとのことで、この気づきや体験の積み重ねが、自分自身の学びや成長に深く影響を与えていると感じていると話します。

「国際協力に関心のある方へ」
 満尾隊員は国際協力に興味があるみなさんが準備出来ることとして、幅広い語学に触れておくこと、世界で今何が起こっているかに興味を持っておくことをあげてくださいました。また、協力隊の活動はすぐに成果が出るものではなく、これから先もずっと巡るものだとおっしゃっていました。さらに、途上国の中には留学や旅行ではなかなか行けない地域も多く、そうした場所で活動できるのは協力隊ならではの貴重な経験だとも語っていました。この記事を通してみなさんにエルサルバドルやJICAの活動の魅力を伝えることが出来たでしょうか。
 読んでくださったみなさんに伝えたいのは、国際協力は遠い世界の出来事ではないということです。まずは世界で起きていることに関心を持つこと、自分の生活と結びつけて考えてみることが第一歩です。また、ニュースを調べてみたり、海外で暮らす人の声を聞いてみたり、学校の授業を掘り下げてみたり、できることはたくさんあります。その積み重ねが自分なりの関わり方を見つけることにつながります。今回のインタビューをきっかけに、みなさんが「自分にもできることがあるかもしれない」と感じて、行動に移してみてもらえたら嬉しいです。国際協力は決して特別なものではなく、私たちの日常や未来とつながっています。この記事を読んでくださった一人ひとりが、それぞれの場所で小さな一歩を踏み出してくれることを願っています。

「インタビューを終えて」
 満尾隊員へのインタビューを通して私は途上国への考え方が大きく変わりました。また、協力という言葉が示すように、一方的に何かを与えるのではなく、共に学び合いながら進んでいくものだという点も心に残りました。満尾隊員の話を聞いて、国際協力は相互的で対等な関係から生まれるものなんだと気づかされました。この視点は、私たちが身近な場面で誰かを助けたり、逆に助けてもらったりするときにも大事にできる考え方だと思います。そして、暗い過去があっても明るい未来に向かって生きていく現地の人々、それを支える協力隊のみなさんはとてもかっこいいです。今まで知れなかったJICAの活動内容や現地のリアルな生活を聞くことが出来てとても有意義な時間となりました。

<インタビュアープロフィール>

名前:江崎莉乃香
所属:鹿児島情報高等学校 プレップ科
 最近ジャスミン茶をよく飲んでいます。リラックス効果があるのでみなさんも疲れたときに癒されてみてくださいね。