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- 長崎県地域おこし協力隊ネットワーク(NCN)×JICA長崎デスク。2つの「協力隊」で長崎の力に
長崎県地域おこし協力隊ネットワーク(NCN)と、JICA長崎デスクが対談を行い、今後の連携の可能性を探りました!
活動する地域は違えども同じ「協力隊」。様々な共通点を背景に、「参加の動機は?」「活動先での悩みは同じ?」「今後の展開は?」などお互いを知った上で、今後双方が協力して取り組んでいける可能性について考えました。
今回、対談の様子を取材していただきました!2つの「協力隊」の違いと同じを知る面白い内容となっていますので、ぜひご覧いただけたら嬉しいです!
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地域おこし協力隊にJICAの経験を 長崎で連携の可能性を探る
地域おこし協力隊と、海外協力隊事業などを手掛ける「国際協力機構」(JICA *1)が、人材育成などの面で連携を深める動きが広がりを見せています。長崎県内でも「長崎県地域おこし協力隊ネットワーク」(NCN *2)と、JICAの地域窓口「JICAデスク長崎」が連携を模索していることを背景に今回、両協力隊に共通する「地域とともに生きる」という視点をベースに、今後の展望を話し合いました。
*1 JICA…開発途上国が直面する課題を解決するため、技術協力、有償資金協力、無償資金協力など日本の政府開発援助(ODA)を一元的に担う二国間援助の実施機関 。開発途上地域などの経済・社会の開発や復興、経済の安定に寄与し、国際協力の促進や日本・国際社会の健全な発展に資することを目的としている。
*2 NCN…長崎県内の地域おこし協力隊を支援する一般社団法人。2021年に設立された。協力隊・市町担当職員向け研修や相談対応窓口、採用・定着支援などを手掛ける
<対談者プロフィール>
小田智子(おだともこ)さん
長崎県出身。JICAデスク長崎・国際協力推進員。
2018年3月~2020年3月 JICA海外協力隊員としてパラグアイで活動。
2023年2月より、JICAデスク長崎として、JICAが実施する出前講座等の実施支援やイベント等の実施を通じた国際協力の広報啓発活動などに従事。
宮田友香(みやだゆか)
福岡県出身。NCN代表理事。
2015年10月〜2018年3月 長崎県松浦市地域おこし協力隊。
組織間連携について話し合うJICAデスク長崎の小田さん(左)とNCNの宮田
はじめに ~JICA海外協力隊と地域おこし協力隊、両制度の概要確認~
JICA海外協力隊は、日本政府のODA予算によりJICAが実施する国民参加型事業。開発途上国の要請に基づき、選考・訓練を経た人材が原則2年間派遣され、教育・保健・農業などの分野で現地の課題解決に協力しています。
一方、地域おこし協力隊は、都市部の人材が地方自治体に一定期間(1〜3年間)移住し、地域資源の発掘・PRや産業支援、住民支援などを通じて地域活性化を促進しつつ定住・定着を目指す制度です。
両制度とも、任期付きで地域課題の現場に入り、「よそ者」としての視点も生かしながら伴走し、学びと実践を重ねつつ、活動を通じて得た経験を将来のキャリアや社会還元につなげるという共通点があります。
今回は、このような共通点を背景に対談を行いました。
地域住民との「すり合わせ」が大切、と訴える小田さん
対話を通じた「すり合わせ」が非常に大切
宮田:地域おこし協力隊は赴任後、まず地域行事に参加するなどし、コミュニティーに入っていくことが重要とされています。海外協力隊も同様でしょうか。
小田:そうですね。地域の人に受け入れて頂いてから、ようやく活動が進むイメージです。ただ、任期が2年間と短いので結構、タイト。地域おこし協力隊の任期は?
宮田:少し長くて最大3年間です。2年間の過ごし方は、どのような感じですか?
小田:1年目は、やはり関係づくり。最初は、どうしても「お客様」のような感じですが、現地の生活習慣やリズムに合わせていくうち単に「外から来た人」ではない、というフェーズに入ります。現地の人は隊員がやりたいことを知り、隊員は現地の人が求めているものを知る。これを踏まえ、2年目から本格的に動き出すことが多いです。
宮田:地域おこし協力隊は事前に具体的なミッションが設定されていることも多いですが、活動を始めて地域を知るうちにミッションと地域のニーズにずれを感じるようになり、試行錯誤するケースもあります。
小田:パラグアイで音楽教師として活動していた私自身の経験も元にすると、何をしてもらいたいのか、何をしてもらいたくないのか、といった「すり合わせ」が非常に大切。自分ではこれが必要だと思っても「もう足りているよ」「そこには手を加えてほしくない」ということもあります。対話を重ねながら、本当に相手が望んでいることを探り、すり合わせていくプロセスが不可欠ですね。
地域おこし協力隊として活動していた当時を振り返る宮田
時代と共に変貌する両隊員の志望動機
宮田:地域おこし協力隊への応募動機として、地域貢献だけでなく、自分の働き方や環境を変えたい、という人も現実的に多いです。海外協力隊はどうでしょうか?
小田:似ていると思います。国際協力というものが大きな土台としてありながら、今後のキャリアのために海外で経験を積みたい、自分を変えたい、という要素をプラスαとして持っている人の応募が増えている印象です。
宮田:私は約10年前に地域おこし協力隊員として活動していて、当時の地域創生ブームのなか、人の役に立ちたい、という思いを強く持っていました。ですが、結果として「もらったもの」が多くて、地域を変えるつもりが自分が変わった、という印象です。
小田:私がパラグアイに派遣される際、あるJICA職員に「(派遣される隊員は)みんな教えようと思って来るけれど、実際は教わることの方が多い」と言われたことが今も記憶に残っています。当時は、そうなのかな、という程度で聞いていましたが、2年たって帰国するころになり、本当にその通りだった、と痛感しました。
宮田:学ぶこと、教わることの方が格段に多いですよね。
小田:ほかの隊員経験者の方からも、帰国してからの自身の生活にとても役立っている、という話をよく耳にします。地域おこし協力隊と海外協力隊は、活動する地域こそ違いますが、やはり共通点が多いですね。
宮田:一方で、あまりにも自己実現に主眼を置いてしまうと、制度本来の趣旨から外れてしまうケースも出てくると思うので、この点は注意するべきだと感じています。
パラグアイで音楽教師として活動していた小田さんのレッスン風景
JICAのノウハウを生かし、異文化対応ワークショップで連携も
宮田:JICAと地域おこし協力隊の連携をめぐっては、例えば熊本県で情報交換やイベント開催などの面で取り組みが進んでいると聞きます。長崎でも、双方の活動の質を高めるために、できることはあるでしょうか?
小田:JICA海外協力隊では派遣前、2ヵ月半にわたり、海外協力隊の基礎や言語、文化などを学ぶ研修があります。価値観の違う相手とどうコミュニケーションを取るのかを学ぶ異文化対応ワークショップもあり、マインドセット形成に重要な役割を果たしています。例えば、着任間もない地域おこし協力隊員と、このようなワークショップを一緒に開催することはできそうです。
宮田:オリエンテーションで最初にインプットする情報は、元地域おこし協力隊員でつくるNCNより、小田さんなどJICA海外協力隊経験者の方にファシリテーターとなって話して頂く方が腹落ちしそうですね。
小田:オリエンテーションに「方言講座」や「地域の料理を一緒に作り楽しむ会」といった体験型プログラムを組み込むことで、隊員は楽しみながら地域理解を深めることができますし、隊員を受け入れる自治体側もまちの魅力を多角的に伝えることができる好機となりそうです。
宮田:ぜひ、やってみたいですね!
小田:JICAとしても、ぜひ地域おこし協力隊の方と、情報や体験を共有したいと考えています。昨今、このような経験を持った人材は、非常に貴重ではないでしょうか。
JICA海外協力隊のパンフレット
「還暦」を迎えた協力隊の先輩に学べ! ~取材を終えて~
地域おこし協力隊制度が設けられたのは2009年度。初年度90人に満たなかった隊員数は約8000人にまで増えました。ただ、認知度が高まった一方で、現場での支援を担うNCNの立場から見ると、より円滑な制度運用に向けて調整や改善の必要性も感じています。
1965年に発足したJICA海外協力隊は、2025年に60周年。「還暦」を迎え、延べ58,000人が参加しました。言語や文化の違いなどの面で、より厳しい環境で鍛えられた「協力隊」支援組織の先輩であるJICAからNCNが吸収できることは多いと思います。
今後、実践的な連携が実現し、NCNが目指す「すこやかで、ゆかいな」環境を整備できればと願っています。
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長崎県地域おこし協力隊ネットワーク(NCN)のHPでも記事を読むことが出来ます。
対談・取材をしていただき、ありがとうございました!!
お問い合わせ:
JICAデスク長崎 担当:小田
TEL:095-823-3931 ((公財)長崎県国際交流協会内)
Eメール:jicadpd-desk-nagasakiken@jica.go.jp