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- 日本で学び、世界の現場へ 〜短期研修員編 No.1〜
こんにちは。
JICA九州 研修業務課でインターンをしている満尾泰樹です。
JICAの国際協力というと、「日本人を海外へ派遣する」というJICA海外協力隊のイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、JICAの役割はそれだけではありません。
世界各国の行政官や技術者などを日本へ招き、日本の技術や制度を学ぶ「日本国内で実施する研修」も、JICAの重要な国際協力の一つです。研修で得た知識や経験は、それぞれの国へ持ち帰られ、現地の課題解決や人材育成に生かされています。
JICAインターンを通じ、様々な方から話を聞く機会を持つことができました。インターンの学びとして、複数回に分けてインタビューの様子を皆さんにもご紹介できればと思います。
第1弾は短期研修員編です。JICA九州で実施された短期研修プログラム「地域の水問題を解決する実践的統合水資源管理」に参加した、ホンジュラス出身のアロンドラ(Alondra)さんに、日本での学びや研修を通して感じたことについて伺いました。
Q.現在、あなたの国でどのようなお仕事をされていますか。
現在、私はホンジュラスの南部自治体連合(La Mancomunidad de Municipios del Sur (NASMAR))において、水資源管理と地域づくりを担当するコーディネーターを務めています。
主な業務は、開発プロジェクトを進めるための資金の確保や、国際協力機関、国内外のNGO、地方自治体などと連携しながら、プロジェクトの企画から運営までを担当することです。
こうした活動を通じて、天然資源の持続可能な管理を推進するとともに、ホンジュラス南部地域の住民の生活の質の向上を目指しています。
Job Report※¹ 発表時の様子
Q. 数ある国の中で、なぜ日本で学びたいと思ったのですか。
私にとって日本は、先進的な技術力だけでなく、数々の困難を乗り越えながら長期的な視点で発展を続けてきた国として、以前から世界の模範的な存在でした。特に、計画性やイノベーションを生かした持続可能な水資源管理に関心があり、その取り組みを学びたいと考えていました。
私は現在、ホンジュラス南部で水資源管理に携わっています。しかし、ホンジュラスでは、干ばつによる水不足や水源の汚染、気候変動の影響など、水を巡るさまざまな課題を抱えています。また、雨季に降る雨を十分に貯めて活用するための施設や仕組みも整っていません。
こうした課題を解決するためのヒントを得られる国が日本だと考え、日本を研修先に選びました。川や地下水の管理、水の再利用、水害対策、水インフラの維持管理など、日本の優れた取り組みを学ぶとともに、行政や大学、企業、地域社会が連携しながら水資源を守る仕組みについても理解を深め、自国での取り組みに生かしたいと考えていました。
Q. 日本での研修で、特に印象に残ったことは何ですか。
最も印象に残ったのは、日本が水資源に関する課題に対して、さまざまな技術や仕組みを組み合わせながら取り組んでいることです。
研修では、家庭から出る排水をきれいにする「浄化槽」や、海水を飲み水に変える施設など、日本のさまざまな水資源管理の現場を視察しました。限られた水資源を有効に活用するための工夫や、環境にも配慮した技術を実際に見ることで、日本が水に関する課題をどのように解決してきたのかを学ぶことができました。
また、ダムや河川の管理などの現場視察を通して、技術だけでなく、行政や研究機関、企業が連携しながら水資源を守っている仕組みにも深く感銘を受けました。
今回の研修を通じて、持続可能な水資源管理には、優れた技術だけでなく、それを適切に活用するための仕組みや関係機関の連携が重要であることを実感しました。
今回学んだ日本の水資源管理の考え方や具体的な取り組みは、私の専門分野における知識を深めるだけでなく、今後、自国の水資源に関する課題を考える上でも大きな参考となる経験になりました。
Q. 日本で学んだことを、帰国後どのように生かしたいと考えていますか。
日本で学んだことを、帰国後は具体的な行動につなげていきたいと考えています。そのために、研修期間中に作成したアクションプラン※²をもとに、水資源をより適切に管理するための仕組みづくりを進め、データを活用した計画づくりや地域での取り組みに生かしていきたいと思っています。
この取り組みは、私が所属するNASMARの活動とも深く関わっています。NASMARでは、自治体と協力しながら、水資源や環境を守る取り組みや、持続可能な地域づくりを進めています。
また、日本で学んだ技術や考え方を地域の実情に合わせて取り入れるとともに、その経験を同僚や自治体、関係機関と共有し、より多くの人へ広げていきたいと考えています。
今回の研修を通して、持続可能な地域づくりには、技術だけでなく、人材育成や組織同士の連携、そして学んだことを共有していくことが欠かせないと実感しました。日本で得た学びをホンジュラスで生かし、地域の発展と人々の暮らしの向上につなげていきたいと考えています。
Q. 来日前に抱いていた日本のイメージと、実際に研修を受けて感じた日本に違いはありましたか。
来日前の私は、日本に対して「先進的な技術と高い発展を遂げた国」というイメージを持っていました。水資源管理の分野でも世界をリードする国として、その取り組みを学びたいと考えていました。
実際に日本で研修を受けてみて、確かに日本は高い技術力を持っていることを実感しました。しかし、実際に日本で過ごす中で、来日前には気づいていなかった日本の強みにも目を向けるようになりました。
特に印象に残ったのは、日本の発展を支えているのは技術だけではなく、社会全体に根付く価値観だということです。公共の利益を大切にし、より良いものを追求し続ける姿勢は、人々の日常生活だけでなく、水資源や社会インフラの管理にも生かされていました。
今回の研修を通じて、日本の成功は、一人ひとりが仕事に誠実に向き合い、周囲や社会全体のことを考えて行動する姿勢によって支えられていることを実感しました。
実際に日本で過ごしてみて、最も印象が変わったのは、「日本の強みは技術だけではなく、人と文化にある」ということです。 この学びは、私の専門分野だけでなく、一人の社会人として、そして一人の人間としての考え方にも大きな影響を与える、かけがえのない財産となりました。
アロンドラさん
用語説明
※¹ Job report
来日前に自国で抱えている課題を整理し、日本での研修意図を明確にするもの
※² アクションプラン
研修を通して、学んだことを帰国後にどのように活かすかを記載した帰国後活動計画