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- 日本で学び、世界の現場へ 〜世界を支える、JICAナショナルスタッフ No.2〜
こんにちは。
JICA九州 研修業務課でインターンをしている満尾泰樹です。
JICAは世界各地に在外事務所を設けており、現地では「ナショナルスタッフ(NS)」と呼ばれる現地出身の職員が、日本人職員と協力しながら、各国の開発課題に応じた事業の企画・運営や関係機関との調整など、JICAの国際協力を支える重要な役割を担っています。
NSも、日本の制度や技術への理解を深めるため、日本国内で研修を行います。
今回は、NS紹介・第二弾として、JICA九州で研修を行った、JICAザンビア事務所のMwewa Katongo(カトンゴ)さんに、日本での学びや印象、そして母国への思いについてお伺いしました。
Q. あなたの出身地はどんなところ
私は、ザンビアのカッパーベルト州にあるムフリラという町で生まれ育ちました。カッパーベルト州は、豊富な銅資源に恵まれたザンビア有数の鉱業地域として知られています。鉱業はザンビアの経済発展に大きな役割を果たしてきたほか、鉱業を中心に形成された活気あるコミュニティが広がっています。
Q. あなたの出身地の有名なものを教えてください。
ザンビア文化の中でも、私が特に好きなのは食文化です。特に好きな伝統料理は、トウモロコシの粉から作るザンビアの主食「シマ(nshima)」です。シマは、さまざまな地元の野菜やカペンタ(淡水イワシ)と一緒に食べます。日本のスーパーマーケットでカペンタを見つけたときには、とても嬉しくなりました。
また、ザンビアには美しい自然が数多くあります。世界的に有名なビクトリアの滝は、世界七大自然奇観の一つとして知られる主要な観光地です。
ザンビアの主食「シマ(shima)
Q. JICAで働き始めたきっかけを教えてください。
私は長年、開発分野に携わってきました。その中で、国際協力に対する独自のアプローチを持つJICAに強く惹かれました。特に、人材育成、現地の人々が主体となって取り組むこと、長期的なパートナーシップ、そしてエビデンスに基づいた解決策を重視するJICAの姿勢に強く共感しました。
中でも私が特に魅力を感じているのは、成功した取り組みから学び、その手法を実際に試し、改善を重ね、効果が確認されたものを適切に展開していくというJICAの姿勢です。このような方法は、プロジェクトの成功につながる可能性を高めるだけでなく、持続可能な開発にもつながると考えています。
ナショナルスタッフとして働き始めてからは、すでに環境、水資源、鉱業、人材育成などの分野におけるプロジェクトを支援する機会を得ました。こうした仕事を通じて、JICAが大切にしている開発の理念が、人々の生活に意義のある、持続的な変化をもたらしていることを実感しています。
Q. 日本でどのような研修を受けましたか。
私は、日本で実施されたナショナルスタッフ向けのオン・ザ・ジョブ・トレーニング(NS OJT)プログラムに参加しました。研修では、JICAの使命や業務、今後の戦略的な方向性について学ぶ講義を受けたほか、さまざまな施設や機関を訪問し、日本の開発や公共サービスの取り組みについて理解を深めました。
視察では、日本の水資源管理、インフラ整備、防災・減災、環境の持続可能性、公共サービスの提供など、幅広いテーマについて学びました。特に、水資源管理については、日本における統合的水資源管理(IWRM)の実践について学びました。地盤沈下が問題となっていた地域において、政策や規制を連携させながら、過剰な地下水の利用から表流水の利用へと移行した事例について説明を受けました。
また、福岡市にある海水淡水化センターも訪問しました。そこでは、逆浸透法などの技術を活用した海水淡水化の仕組みや、水の安定的な確保に向けた取り組みについて学びました。さらに、海洋生態系への配慮や、濃縮海水からエネルギーを生み出す取り組みなど、環境面にも配慮した施設運営について説明を受けました。
河川情報センターへの訪問では、日本の防災・減災に関する取り組みについて学びました。降雨量や河川水位、ダムの運用状況などのリアルタイムデータを収集・分析し、早期警戒や緊急対応に活用する高度な監視システムを見学しました。
このように、講義だけでなく、実際の施設や施設を訪問することで、日本の開発や公共サービスを支える仕組みを具体的に学ぶことができました。
Q. その研修において学びは何でしたか。
研修を通じて、私は日本のさまざまな取り組みを知るだけでなく、JICAのナショナルスタッフとして、どのような視点を持って仕事に取り組むべきかについて、多くのことを学びました。
特に印象に残ったのは、ナショナルスタッフに求められる役割が変化しているということです。これまで以上に大きな責任を担い、リーダーシップを発揮し、プロジェクトの形成にも積極的に関わることが期待されています。そして、JICAの目標を達成するためには、日本人職員と対等なパートナーとして協働することが重要だと学びました。
また、JICAの仕事は、単にプロジェクトを実施することだけが目的ではないということにも気づきました。開発協力によって、相手国だけでなく、日本や国際社会にとっても価値を生み出すことが重要です。同時に、公的な資源を適切かつ効果的に活用し、その結果について説明責任を果たすことも、JICAの仕事において重要だと学びました。
プロジェクト形成について学ぶ中で、「なぜ、このプロジェクトなのか?(Why this project?)」という問いから考えることの重要性を強く感じました。プロジェクトを実施すること自体を目的とするのではなく、その背景にどのような開発課題があるのかを正しく理解し、JICAの戦略とどのようにつながるのかを考えることが必要です。このような視点を持つことが、より効果的で大きなインパクトを生み出すプロジェクトの形成につながると学びました。
視察から得た学びも多くありました。日本の水資源管理や防災・減災の事例を通して、持続可能な開発には、長期的な計画と十分な備えが重要であることを実感しました。また、河川情報センターでの取り組みからは、データを収集・分析し、データに基づいて意思決定を行うことが、公共サービスの質の向上や人々の命を守ることにつながると学びました。
さらに、技術だけでなく、それを支える制度や人材、官民連携の重要性を踏まえ、防災・減災や環境の持続可能性も含めて長期的かつ総合的に開発を考えることが重要だと学び、今回日本で得たこうした視点を、持続可能な発展を目指すザンビアをはじめとする開発途上国での今後の仕事に生かしていきたいと感じました。
Q. 日本に来て思ったこと、感じたこと
日本を訪れて最初に感じたのは、社会の高い秩序や効率性、そして人や環境を大切にする姿勢でした。先進的な技術、清潔に保たれた公共空間、信頼性の高い公共交通機関、そして一人ひとりが責任を持って行動する文化に強い印象を受けました。
中でも特に印象に残ったのは、日本がイノベーションと継続的な改善を大切にしていることです。下水の再生利用や海水淡水化技術、高度な防災システム、効率的な廃棄物管理など、さまざまな場面で、技術を活用して人々の生活の質を向上させながら、同時に環境を守るための実践的な取り組みを見ることができました。
また、滞在中に出会った人々の温かさ、親切さ、そして仕事に対するプロフェッショナルな姿勢にも心を動かされました。言語や文化の違いがある中でも、私は温かく迎え入れてもらい、多くの方々に支えていただきました。そのおかげで、今回の経験は実りあるだけでなく、心に残るものとなりました。
カトンゴさん