- トップページ
- 日本国内での取り組み
- JICA北海道(札幌)
- 事業の紹介
- 開発教育支援事業
- 教師海外研修
- 第36報 教室の外に広がる学び
鹿追町立鹿追小学校 川上 光陽先生
日本の支援による保健センター改修記念プレート
ザンビアでの研修を終えてから、間もなく一年半が経とうとしています。アフリカ滞在中は毎日が衝撃の連続だったことに加えて、現地研修後にも成果報告会やラジオ出演など、さまざまな情報共有の機会をいただいたことで、今も当時の体験を鮮明に思い出すことができます。
本研修に参加し、現地の医療や教育の現場で活躍される協力隊員の方々の姿を間近で見たことは、私自身のキャリア観にも大きな影響を与えました。海外の教育現場で働きたいという思いが、以前にも増して強くなったと感じています。
シンプルな生活のよさ
ザンビアの主食「シマ」作り
学校の子どもたちとの触れ合い
現地研修を終え、日本に帰国する途中で、参加者の先生が「ザンビアに戻りたいです」と話していたことが、今も心に残っています。当時はその言葉を十分に実感できていませんでしたが、時間が経った今、同じように感じている自分がいることに驚いています。
畑で作物を育て、火を起こすところから時間をかけてシマを作り、日々を懸命に生きるザンビアの人々の暮らしに触れる中で、「生きている」という実感を強く味わいました。自分の身の周りのことを自分で行うという、当たり前のことが、実は十分にできていなかったのだと気づかされました。
「アフリカの水を飲んだ者は、アフリカに帰る」という言い伝えがありますが、今ではその言葉の意味を実感をもって理解しています。学校訪問の際、裏拍が取れない私の踊りを子どもたちが真似し、やがて場が自然と一つになっていった瞬間がありました。「特別な道具がなくても、人と人とが向き合い、同じ時間を共有する中で生まれる豊かさがある」「シンプルな生活の中にこそ、大切な学びが詰まっている」のだと感じた出来事でした。
研修後の変化と授業実践
現地で見た排水路の様子
ザンビアの人たちが1日に使う水の量で手洗い体験(研究授業)
研修後、私の中で最も大きく変化したのは、日々の授業に対する意識です。現在、私は小学校で英語専科として勤務しており、これまでもオーストラリアとアメリカの留学時代のエピソードなどを通して、子どもたちが海外に関心をもてるような働きかけを行ってきました。
しかし、ザンビアでの研修を通して、同じ体験であっても、感じ方や捉え方は人それぞれであるということを、改めて実感しました。街にあふれるごみを目にした際、私はつらい気持ちしか抱くことができませんでしたが、参加者の先生が「日本も昔はこうだった。ザンビアはこれからだ。」と語った一言で、物事の見え方が大きく変わりました。一つの体験を多様な視点から捉え、伝えられるようになったことは、私にとって大きな財産であり、この気づきは子どもたちにも伝えていきたいと考えています。
帰国後は、単に出来事を伝えるのではなく、「子どもたちの心を揺さぶる授業」を意識するようになりました。現地での体験を教材として取り上げ、子どもたちが自分自身の実生活と結び付けながら世界の課題について考えたり、世界とのつながりを実感したりできるような授業づくりに取り組んでいます。
まだまだ納得のいく授業ができているとは言えず、試行錯誤の途中ではありますが、周囲の先生方や、研修を通して関わってくださった方々、そしてザンビアの人々から学んだことを胸に、教室の中だけにとらわれない学びを、これからも実践し続けていきたいと考えています。
最後に、本研修に参加するにあたり、企画・運営に携わってくださったJICA関係者の皆様、そして現地で温かく受け入れてくださったザンビアの方々に、心より感謝申し上げます。本研修で得た学びを、今後も教育実践を通して社会に還元していけるよう、努めてまいります。