JICA長期研修員18名が上川町を訪問しました!

2023.09.07

8月24日と25日、JICA長期研修員として来日し、北海道大学・帯広畜産大学・北見工業大学で学位取得を目指している開発途上国からの留学生18名が、道内で培われてきた特有の開発事例を学ぶ「JICA地域理解プログラム」の一環として上川町を訪問しました。このプログラムは毎年行っていますが、今年は「持続可能な地域振興と観光開発」をテーマとして取り上げました。

はじめに、上川町役場地域魅力創造課の方から、大雪山国立公園を抱え「世界に誇る山岳リゾートタウン」を目指している上川町の取り組み(観光業の振興、自然環境の保全と活用)について話をお聞きしました。その後、将来を担う若い世代との学習会を行うため、上川高校を訪問し、自然環境・開発、そしてSDGsの観点から将来に向けて取り組むことについて、生徒と研修員が共に話し合う相互学習を行いました。翌日には、黒岳に登り、大雪山国立公園などの自然公園が直面している地球温暖化や登山客の増加による生態系への影響をどのように把握するのか、IT技術を使った取り組みについて学びました。

上川町役場担当者から町の政策について講義を聴く様子

上川高校では、全校生徒が参加しグループワークを行いました。全部で10のグループに分かれ、グループのメンバーとしてJICA研修員も参加しての相互学習でしたが、みんなで意見を出し合い、将来に向けてどのような取り組みを進めていくのが良いか一枚の紙にまとめました。

グループに分かれて高校生と意見交換をする研修員

研修員からも、自分たちの国では観光と開発に対しどのように取り組んでいるのか紹介し、上川町の将来に向けては、「こうしたらよいと思う」「ここが課題なのではないか」といった助言も出され、生徒も新たな気付きを得ることができました。

この日はたいへんな暑さの中での学習会になりましたが、生徒の皆さんにとっても、研修員にとっても、普段なかなか接する機会がない人との交流はとても新鮮なものであり、新たな気づきも得ることができました。
わずか2時間ばかりの交流でしたが、汗だくになりながらも懸命に取り組んだ皆さんは、とてもいい笑顔で活動を終えることができました。

参加した研修員と生徒のみなさん

25日は、9:30からロープウェイに乗って黒岳登山を開始しました。既に気温は25℃を超えており、前日に続き猛暑の中での登山となりました。
上川町では、北海道大学や民間企業とともに「大雪いきもの図鑑プロジェクト」を実施しています。これは、大雪山の登山者が、アプリを使って、域内のいきものを探す活動です。この活動を通じて得られたいきものの種類と居場所に関するデータをもとに、植生や地球温暖化が高山域に及ぼす影響を北海道大学の研究者が分析する取り組みで、将来の大雪山国立公園の自然環境保全に役立てることを目的の一つにしています。
今回の黒岳登山では、北海道大学地球環境科学研究院の渡邉悌二教授にも同行いただき、留学生の引率に加え、「大雪いきもの図鑑プロジェクト」の取り組みに触れつつ、山中でのアプリ利用の説明と実演を行っていただきました。研修員からも、自然公園を利用した観光がどのようなものか見分するまたとない機会になったとの声も聞かれました。

渡邉教授からアプリの説明を受ける研修員

アプリ利用の実習をする研修員

頂上では天気に恵まれました。

気温も高く、やや小雨にも見舞われた登山でしたが、研修員の皆さんは、北海道の屋根とも称される大雪山国立公園で素晴らしい大自然を満喫することができました。

上川町役場での講義や、上川高校での生徒の皆さんの将来への思いを理解した後での登山でしたから、遠くに広がる山並みに心を打たれながらもいろいろな思いがそれぞれの胸の内に駆け巡ったことでしょう。

普段、都会で勉学に励む研修員にとっては、北海道の大自然を満喫しリフレッシュすると共に、観光資源を地域振興に活かそうとする町の取り組みを学び、地域に暮らす高校生との交流もできた有意義な2日間でした。

当日の様子は北海道の夕方の報道番組でも紹介されました。
https://youtu.be/9-TCK5AJp-8

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