【草の根技術協力事業】実施団体の紹介&インタビュー「NPO法人「飛んでけ!車いす」の会編」

2024.05.30

 草の根技術協力事業とは、日本のNGOや地方自治体、大学、民間企業等の団体が、これまでの活動を通じて得た知見や経験に基づいて国際協力活動を提案し、JICAと協力して実施する共同事業です。今回は、カンボジアで草の根事業を実施しているNPO法人「飛んでけ!車いす」の会(所在地:北海道札幌市)についてご紹介します。

車いす整備・修理技術及び広報技術向上による女性障がい者の自立支援プロジェクト

 NPO法人「飛んでけ!車いす」の会は日本で使われなくなった車いすを集め、修理をし、海外旅行をする旅行者の手荷物として、発展途上国の病院や施設に直接送り届ける活動を行っています。草の根事業においては、2018年~2021年にインドネシアで「車いす整備・修理技術の移転in Bali」を実施し、今回はカンボジアにおいて2022年8月~2024年7月まで事業を実施しています。カンボジアでは、対象とする団体へ車いす整備のワークショップの実施に加え、収入源の1つであるハンドクラフト製品の販売拡大を狙い、ホームページでの製品宣伝を行えるよう、技術移転を行ってきました。本日は、事業に携わる5名のメンバーの皆さんにお話を伺いました。

皆さんが活動に携わろうと思ったきっかけを教えてください。

お話をうかがった「飛んでけ!車いす」の会のメンバー。右から、上杉さん、小林さん、山崎さん、浅田さん、佐藤さん

小林さん:元代表の英会話の生徒でした。リングプルの寄付に行った時に、人員の募集を見つけて団体に入り、その後団体の経理を担当しています。

山﨑さん:「飛んでけ!車いす」の会に入って15年経ちます。JICAは大きなインフラを作るイメージで、草の根をやっているとは知りませんでした。妻の友達の紹介で車いすの整備を手伝うようになったのが会に入ったきっかけになります。これまで活動を実施してきて、継続が大事なことで、現地の指導者が育つまでやれたらいいと感じています。

浅田さん:定年退職して札幌に戻り、友人だった前理事の紹介で2016年に参加しました。前職は機械系の仕事ではありませんでしたが、会に参加してから見て覚えていきました。車いす整備のマニュアル作りを担当しており、バリの事業から参加しています。現地で車いすが、使えなくなって積まれているのを見て、もったいないと思いました。再利用できることを教えたら、4回目の渡航時には積まれている車いすはほとんどなくなったんです。現地の人々主催で講座を開催してみたらうまく回ったので、このままやめるのはもったいないと思い、カンボジアでも事業継続しています。相手の団体の能力差はありましが、全5回の車いす整備ワークショップはそれなりにうまくいったと思います。

佐藤さん:前職はIT修理をしていました。会社で年間2時間の社会貢献が課されたので、ホームページで「飛んでけ!車いす」の会を見つけ、現役の頃から車いす修理に携わっていました。退職後に、途上国にも同行するようになりました。現地の人たちはモノをもらうことには慣れていても、修理することには慣れていないのですが、それができると教えてあげると喜んでやってくれました。これから数年後に、教えた技術が定着しているか、再び今回講習した団体を視察できたらいいなとも考えています。

上杉さん:元海外協力隊員でマラウイに派遣されていました。もともとこの建物には他のNPOの関係でよく訪れていて、「飛んでけ!車いす」の会の名前は以前から知っていました。協力隊の派遣後、国際協力に携わる活動に参加したいと思っていて、事務所を訪れてみたら、前代表に勧誘を受けました。自分は協力隊OBなので、JICA事業に関わるということで草の根事業を始めました。

この事業に携わる前から国際協力に興味はありましたか?

小林さん:国際協力について考えたことはなありませんでしたが、海外旅行は好きでした。国際協力としてはUNICEFへの寄付程度で、自分が直接的に貢献できるとは考えたことがなかったです。
佐藤さん:日本語しか話せないので、考えたこともなったです。
浅田さん:現役の時は仕事ばっかりでした、考えてはいませんでした。
山﨑さん:草の根の支援については、全く知らなかったです。

これまでの活動で大変だったことを教えてください。

ワークショップで車いす整を指導する 浅田さん

 山崎さん

 これと言って、大変で苦労したということは特段無いですね。強いて言うなら、事業提案時は、カンボジアについて何も知らなかったところから手探りの状況でスタートしたことです。現地団体と「飛んでけ!車いす」の会のつながりは最初は薄かったので、申請準備の時には情報把握には苦労しました。また、ワークショップでは、言葉の問題がありました。体を使う作業なので言葉がなくても見ていればわかることもあるのですが、細かいところは言葉でサポートする必要があり、現地では通訳を採用しました。車いす整備を教えるだけだと、本当に身についているのかわからないので、レベル確認の仕方を考え、スキルマップ表を作成して講師が採点する仕組みを作りました。こちら側の技術提供の体制は整ったと自負しています。あとは、技術が定着してくれれば良いですね。

カウンターパートとの関係構築はどのように行いましたか?

最初は手探りです。1,2回目はこちら側が主導でワークショップを行いましたが、3回目以降は、興味を示した現地団体に主導してもらいました。無理に押し付けたわけではないです。現地からの返事が遅い等の細々した苦労はありましたが、大枠では現地団体が何かをやらずに困るということはなかったです。カウンターパートから関連団体に声をかけてもらい、車いす整備に興味のある団体を選定したことが成功のカギだったと思います。

現地の声はどうでしたか?

 渡航中に、スラム街の支援をしている団体が、現地のスタッフに「日本人のようになれ。勤勉でありなさい。」と指導していたのを偶然目にしました。カンボジア人からは、日本人は勤勉で技術力が高いと評価されていると知りました。また、日本の車いすは軽く、コンパクトで喜ばれました。
 カンボジアの人は器用で力があります。力いっぱいやりすぎて、壊れてしまうこともありましたが、障害者でも日本では考えられないくらい明るいです。アスファルトがほとんどない、土のところを車いすで移動しているのでたくましいですね。

草の根事業に応募したい団体にメッセージをお願いします。

今回のインタビューを行ったJICAの新入職員から「飛んで!車いす」の会のメンバーにリングプルを贈呈。
「飛んでけ!車いす」の会では、リングプルを換金し、車いすの整備費用にあて、1台でも多くの車いすを世界中に人々に届けています。

チャンスがあるならどんどん挑戦してほしいです。インドネシアもカンボジアも、自分たちの組織だけではできなかったことを、JICAの支援があってこそできました。一方で、活動の展望ができている団体、何年もその国の現状を知っている団体が採択されやすいと思います。何もないところから小さい団体が応募するのは、苦労するところも多いのではないでしょうか。自分たちは前回の知見があったこと、どこに行ってもやれるような人材がそろっていたことが、「飛んでけ!車いす」の会の成功の秘訣です。自分たちの必要とする支援を提供するスキームを見極めて応募することが重要なのだと感じます。


関連リンク:
JICA草の根技術協力事業ウェブページ

車いす整備・修理技術及び広報技術向上による女性障がい者の自立支援プロジェクト(事業提案書要約)
「飛んでけ!車いす」の会ホームページ

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