11~12月に5校と異文化交流プログラムを実施しました!
2024.12.23
11~12月は5校へJICA北海道の研修員や在住外国人の皆さんが訪問しました。
各学校の工夫を凝らした個性豊かな企画プログラムと、心温まる交流の様子をご報告します。
これは経験者の技?!
巧みな剣玉さばき
うどんの足踏み体験、すすり体験!
「これでコシがでるのかなぁ~」
琴似中学校を訪問したJICA研修員の皆さん。後日、学校からメッセージカードが届き、嬉しそうな笑顔!
11月7日、札幌市立琴似中学校へ訪問したのは、アジアの5つの国々から来た研修コース「道路維持管理」の研修員。琴似中学校は、たくさんの文化紹介・文化体験を準備して研修員を歓迎してくれました。
歓迎の合唱に始まり、けん玉・折り紙・福笑いなど日本の伝統遊びを中学生の見本に倣いながら、研修員は挑戦していきます。けん玉で抜群のセンスを見せたのは、東ティモールのマリオさん。初めてとは思えない華麗な剣玉さばきに歓声が上がりました。
琴似中学校では、さらにユニークなアクティビティを用意してくれていました。【うどんの足ふみ体験】と【うどんをすすって食べてみる体験】です!
生地状態のうどんを袋に入れ、しっかりと二重に包んだ状態にして、足で踏んでいきます。
まずは生徒の皆さんが踏んで見本を見せてくれます。その様子に目を丸くして驚く研修員もいれば、納得の表情をする研修員も。中には「食べものを足で踏んではいけない」と、この体験を辞退される研修員もいました。そのような意見も尊重し、受け入れる学校の先生と生徒たち。互いの感覚や価値観を大事にする異文化理解の一幕が見られました。
笑いに包まれながら全員でうどんをすすったら、もう交流終了の時間。別れの時です。すっかり仲良くなった生徒と研修員の皆さん。研修員の中には涙をこぼす方もいました。
交流後日、研修をすべて終えた研修員に、手作りのメッセージカードが届けられました。国に帰ってもこの思い出を忘れないでいてくれたら嬉しいです。
美味しそう!
セネガルのお料理だって!
後日、届けられたメッセージカードを手に記念撮影!
11月14日に福移学園に訪問したのは、「水の衛生や管理」を学ぶ研修コース「村落給水衛生管理」のアフリカ地域6か国出身の9名の研修員の皆さんです。
「日本の学校における水回り事情を知りたい」という研修コースから学校へのリクエストがあり、交流プログラムの前に、手洗い場やトイレを中心に校内を案内していただきました。
校内を見学しているうちに、気づけば研修員の周りにはたくさんの児童の皆さんが集まってきて、交流プログラムが始まる前から、すっかりアットホームな雰囲気に!
プログラム前半の小学3年生との交流では、児童と外国人研修員がペアになり挨拶を交わしました。
一人の児童が緊張しながら挨拶をすると、微笑みを返してくれたマリ共和国の研修員。よほど嬉しさを伝えたかったのでしょう、その児童はすぐ先生の方を振り返り「感情が同じだ!!」と一言。そのまばゆい笑顔はマリの方だけでなく、周りの大人たちみんなを温かくしてくれました。
プログラム後半の6年生の質疑応答では児童から「日本で驚いたことは何ですか」という質問がありました。「交通機関が時間通りで驚いた」、「食べものの種類が多い」といったポジティブな意見がある一方で、「いつも忙しそうで大変」「せっかく人がいるのに、みんなスマホを見てる」といったハッとさせられる意見も飛び出しました。
今回の交流では日本の遊びの体験、互いの食文化や観光などの紹介、最後には合唱の贈り物までと盛りだくさんな内容となりました。学校を出発した後も車窓から下校途中の児童の皆さんが手を振ってくれる姿も!名残惜しく見送られながらの帰路となりました。
グループごとに話がはずみます
雪が舞い気温がぐっと下がった11月18日の午後、札幌北斗高等学校へ「地元資源を活用した産業振興(地域産業振興)」研修コースのカザフスタン、タジキスタン、キルギス共和国、トルクメニスタンの15名の皆さんが訪問しました。
歓迎ムードの中、研修員の出身国ごとに代表者が写真や映像を交えて紹介したり、生徒から学校の紹介や修学旅行で訪れた広島市の平和を祈るレポートなどの発表が続き、前半1時間はあっという間に終了。途中、研修員がお土産として各国の伝統的な帽子を学校へプレゼントすると、緊張していた生徒の皆さんの表情も一気に和らぎました。
後半は6グループに分かれて、生徒の皆さんが日本の伝承遊びや折り紙などを紹介したり、タブレットを利用して写真などを見せ合い交流を深めました。最初は距離感のあった研修員と生徒の皆さんでしたが、一気に打ち解けていき、交流の終わりの時間には「もっと交流したい」との声が聞かれるほどでした。
キルギス国旗の前で
この研修はロシア語を共通言語とする地域の研修のため、今回の交流にあたり、言葉が通じないことを想定して、生徒の皆さんがグループごとに翻訳アプリを活用してロシア語での資料を準備したり、事前に4か国について調べ学習をして質問を準備してくれていました。実際の交流では、生徒の皆さんの積極的なアプローチもあり、言葉に頼らずともコミュニケーションが図れることを体感する場となりました。
また、研修員が色鮮やかな民族衣装と帽子を着用しており、生徒の皆さんは民族衣装にはアイヌ文様に似た形の刺繍が施されていたことに気づきました。顔立ちも日本人に近い方もいて、日本との親和性を感じる生徒の皆さんも多かったようです。高校生の明るさと元気で、とても活気ある交流のひとときとなりました。
地域文化研究での発表の様子
11月25日に訪問したのは北海道札幌丘珠高等学校。今回訪問にご協力いただいたのは札幌市内に住むインド出身の留学生や社会人の5名の皆さん。インドの皆さんには3グループに分かれていただき、2時間に分けて全6教室240名の生徒の皆さんとの交流となりました。
インドの皆さんは、「とにかくインドを知って、好きになってほしい」と、カレーやナンなどの食文化やお祭り、民族など色鮮やかな写真をたくさん準備してくれました。生徒の皆さんは言語の多さや、インドの地域ごとに異なる食文化について新しい発見があった様子で、時々驚きの声をあげながら真剣に話を聞いていました。事前に準備した質問を投げかけるクラスもありました。今回、インドの皆さんは、実際にインド数字を書いてみたり、民族舞踊の簡単なステップを踏む体験も準備してくれました。民族音楽を流しながら、手をつないで輪になって踊る教室もあり、大いに盛り上がりました。
今回ご協力いただいたインド出身の皆さん
今回の交流に向けてインドの皆さんは事前に何度も話し合いを重ね、全クラス同じ発表内容になるよう発表資料を準備してくれました。学業やお仕事の合間に「インドを好きになってほしい」と熱意を持って準備し、当日は汗をかきながら発表をしてくれた一日が生徒の皆さんにとって心に残る交流になっていることを願います。
全員が民族衣装を着用してくださいました!華やかですね。
12月10日に札幌市立光陽小学校を訪問したのはマレーシア出身の「ICT推進によるDX実践」コースの17名の研修員。
プログラムの前半は、マレーシアの伝統や文化などについて、研修員が写真や動画を見せながら説明しました。光陽小学校6年生の皆さんは、SDGsについての学習もしていたとのことで、事前に寄せられた質問の中にはマレーシアのSDGsの達成度や女性の社会進出率についての問いかけもあり、研修員が丁寧に質問に答える姿が印象的でした。
みんなで 「よさこいソーラン」
後半は、児童の皆さんが9つの体験ブースを準備して、日本文化を体験しながら交流をしました。昔遊び、習字、折り紙、よさこいソーランなど児童の皆さんが工夫して準備して下さった様子がよく伝わってきました。マレーシアの皆さんにも楽しんでいただけた様子。時間が経つのはあっという間で体験コーナーは終了。
最後に6年生全員からの合唱曲のプレゼントがありました。透き通った歌声と気持ちのこもった児童の歌に、全員が感動し聴き入っていました。最後は児童による花道のトンネルを通る退場も児童の皆さんのおもてなしの気持ちが伝わってきました。帰りの車中では合唱曲を検索し、歌詞の意味を調べる研修員も。光陽小学校の皆さんとの交流が心に響くひとときだったことをうかがわせた光景でした。
11~12月の交流では、訪問後に写真やメッセージを通して学校と研修員・在住外国人の皆さんと交流が続く場面も多くありました。今回紡いだご縁がまた違う形での交流につながることで、海外の異文化を知ることが楽しいと感じる方が一人でも増えれば嬉しいです。
■関連リンク
2024年度JICA北海道(札幌)異文化交流プログラム
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