北海道千歳高等学校の授業モニタリングに行ってきました!
2025.01.06
教師海外研修とは、開発教育/国際理解教育の実践と推進に意欲のある小中高校と特別支援学校の先生が、JICAが支援する開発途上国に赴き、現地で得た知見を活かして教材を作り、日本国内での授業実践を行う研修です。
2024年度はJICA東北と合同実施、ザンビアで現地研修を行いました。今回は、北海道千歳高等学校で行われた授業の様子をお届けします。
続々と集まってきた3年生たち
グループで話し合う一幕も
雪が降りしきる2024年12月16日(月)、北海道千歳高等学校の体育館にて田中先生の授業は行われました。卒業していく3年生への授業はこれで最後。他の先生たちもたくさん体育館に集まり、田中先生も気持ちが入ったご様子でした。
「人生が変わるほどの体験だった」という田中先生のザンビアでのお話から授業は始まりました。
田中先生は生徒さんたちに様々な問いかけをしていきます。
「ザンビアの埋立地、なぜ出火してるのだろう」「生ごみを有効に使う方法はないだろうか」生徒さんからは様々な回答が飛び出しますが、そのすべての回答を肯定的に捉え、さらに意見を引きだしていく田中先生。
ザンビアのゴミ処理の課題、日本のごみ問題の歴史、北海道での自然保護活動の事例、ザンビアと日本の埋立地比較など、たった1時間の中に詰め込まれた内容、そのひとつひとつがメインテーマとなれそうなものばかりでした。田中先生の今後の教師人生で、たくさんの授業が生まれていくのではと期待せずにはいられません。
「○○の先生が教えてくれました。」
ザンビアの人たちの日本の歌の合唱も紹介
今回、千歳高校を訪問してみて、生徒さんたちの様子から、田中先生が帰国して高校に戻られた後、お土産話をたくさんされたことは、想像に難くありませんでした。しかし、生徒さんたちにだけでなく、他の先生たちにもザンビアのことを話されていたのでしょう。この授業の中でも「○○の先生が教えてくれました」というタイトルで、商業、公民、理科の視点で、ザンビアの環境問題、衛生課題についても取り入れられていました。様々な切り口での課題解決の探りに、生徒さんから、そして先生たちからも感嘆の声が上がっていました。
JICA教師海外研修では、参加された先生に現地で得たものを周りに広めていっていただくことも大きな目的の一つですが、田中先生は学校全体を巻き込むといった形で、帰国後の短い期間でそれを実行してくださっていました。
「伝えたいことがたくさんあります」と帰国後、スタッフに語ってくれた田中先生。その思いは早くも生徒さんの心を動かしています。「アフリカで野球を広めたい」、「アフリカでバイオファブリケーション(※)を広めたい」といった大きな目標を持ちはじめた生徒さんたちがいるのです。
今後も田中先生にはその思いを、体験を伝え続けていただきたい、強くそう思わされました。教え子の皆さんの5年後、10年後が楽しみです。
※バイオファブリケーション…ips細胞を用いた、医学の最先端領域の一つで『臓器』をつくること等を目的とする。細胞を増殖させ、培養肉を製造するといった研究もされている。
■関連リンク:北海道千歳高等学校ホームページ
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