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北海道での学びを生かし、アフリカの道路整備に取り組んでいます!

2025.03.05

2023年度課題別研修「道路維持管理(E)」に参加した研修員から、母国での道路整備に取り組んでいる様子が届きました。アフリカは、その面積が広大であるにも関わらず、道路網が隅々まで行き渡らず、人々や貨物が支障なく通行できるようになるための道路整備が喫緊の課題になっています。日本の中でも北海道は、近代化の過程でまず道路整備から取り組んだという歴史的経緯をもっており、現代でも道路の重要性は変わりありません。そうした北海道での学びを生かし、それぞれどのように取り組んでいるのでしょうか。

コンゴ民主共和国 公共事業省キブ州ウビラ市道路・排水公社維持管理長のパピ(BILO Papy Papy)さん

パピさんは道路整備の責任者として、道路建設・維持管理の技術者をとりまとめる立場にあります。同国東部、タンガニーカ湖に面したウビラ市では雨季の降水や洪水の発生により道路が大きな被害を受けることが課題となっています。季節の変化による道路の劣化状況は、雪解け時期に路面の劣化がよく見られる北海道とよく似ています。パピさん曰く、母国では道路の建設と修復に多くの予算がかけられているものの、維持管理については十分ではないということですが、北海道の研修を通じ、維持管理の必要性を強く感じ、帰国後は、そのための予算・体制と道路維持に必要な排水路整備を含む計画づくりに取り掛かると決意されていました。先日、パピさんからメッセージが届きました。

『日本の皆さん、こんにちは! 現在私の国では、東部で政治的武力闘争が起きており、とても大変な状況なのですが、南キブ州内の私が仕事をしているウビラ市では、国が総延長10キロにわたる道路建設工事のための予算を確保してくれました。これも日本で受けた研修のおかげです。現在工事は進行中で、基層は完全に完成し、今は排水路の工事に取り掛かっています。講師の皆さんによろしくお伝えください。現場の写真もお送りします。』

現場を見回るパピさん(左)

基層土砂の搬入の様子

ギニア インフラ公共事業省ラベ州ラベ県公共事業部長のアミナタ(KABA Aminata Hawa)さん

アミナタさんはギニアでも山がちな地域であるラベ州ラベ県での道路整備の責任者です。首都コナクリからは遠いのですが、冷涼な気候を利用して野菜栽培が盛んな他、牧畜に従事する人も多い地域です。ただ、国の幹線から離れていることもあり、道路網整備は遅れています。アミナタさんは、県内で、舗装道路のみならず未舗装道路の維持管理にも日々取り組んでいます。それぞれ別の維持管理技術が必要ですが、人員も限られている中、各地の道路の状況の把握と、損壊した路面の維持管理の対応に苦労しているようでした。帰国後はスタッフの育成と必要な資機材の手配に取り掛かりつつ、必要な資金調達に取り組みたいという決意をされていましたが、アミナタさんからは次のようなメッセージが届きました。

『こんにちは。私はラベ州では最大規模となるラベ市=マリ市間の工事を開始しました。この区間は日本の研修中に説明した工事予定区間の一部をなしますが、イスラム開発銀行の資金を得ることができました。事業では、2つの橋梁建設や15kmの未舗装道路の維持管理も含みます。2023年に研修に参加した後、首都コナクリの燃料貯蔵施設の爆発・火災(※)で多くの人々を失い、非常に厳しい年でしたが、神の恵みによって困難を克服することができました。』
(※:2023年12月、14名死亡、190名負傷)

ベナン 環境運輸省インフラ・運輸局ズ県・コリネス県インフラ課課長のモイズ(HOUNSOU Moise Sourou)さん

モイズさんはベナン中部で道路網がもっとも発達しているズ県・コリネス県の道路網管理の責任者として研修に参加しました。研修中は様々なことに強い関心を示していましたが、維持管理を効果的・効率的に行うための道路状況のデータ収集などに特に高い興味をもち、普段から道路の状況をよく見て把握しておくことの重要性を学びとっていました。帰国後はそうした状況把握を常時行うための部門の設立を組織内で要請してみたいという決意をされていましたが、モイズさんからは次のようなメッセージが届きました。

『こんにちは。日本で一緒に過ごした楽しい時間を今でも懐かしく思い出します。こちらでの仕事に関しては、その後、省内で道路保守部門から部署異動になり、現在は道路航空輸送規制局にて勤務しています。
ここでの私の役割は、各種改革のための法令・規則の起草ですが、扱う分野は道路・鉄道・航空にわたります。大きな仕事でもあり、また挑戦でもあります。日本の交通システムは多様でありながらしっかり構築されており、運営もうまくなされていると思います。
現在ベナンでは、道路輸送が日々増加しており、これまで以上の取り組みが求められています。輸送・貨物分野の管理の電子化にも取り組んでいますし、都市交通、鉄道輸送、河川・湖上輸送などもよくしていく必要があります。航空部門では、国内輸送はまだありませんが、将来の可能性も視野に入れなければなりません。
道路維持管理については、今でも、道路維持部門や道路網近代化部門の職員からいつも相談を受けています。さらに、現在、道路アセットマネジメントの専門部署が設立されました。この部署では、2024年の研修に参加した同僚であるハビブ・アドモウ職員も深くかかわっています。日本で学んだことが、こうした動きに役立っています
あらためて感謝申し上げるとともに、2025年が良いものとなるよう祈念しております。』

最後に

一口にアフリカといっても、国土の広さや地形は様々ですし、人々が生活している地域の治安も時には不安定な場合もありますが、日本で研修に参加した技術者の3名は、それぞれの持ち場で必要な役割を果たしつつ、仕事を進める際も日本で学んだことを生かしている様子が伝わってきます。皆さん、職場では影響力を持つ立場でもありますから、日本で得た知見や経験を活かし、後進の育成にも期待したいです。
また、メッセージは語られていませんが、今でも、研修で関わった講師や研修の企画に携わった関係者に連絡が届いています。日本で触れ合った人々との絆もまだ続いているようです。
JICA研修事業では、日本との懸け橋にもなる帰国した研修員との絆も大事にしています。

<関連リンク>
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