jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

2024年度JICA北海道教師海外研修帰国後研修(指導案検討会・成果報告会)が終了しました。

2025.03.24

JICA北海道では、2024年6月から2025年1月までの約8ヵ月間、教員を対象に「教師海外研修」を実施しました。本研修では、ザンビアでのフィールドワークやインタビューを通し、教材づくりを行いました。

本年度はJICA東北との合同研修でもあり、北海道から8名、東北から8名、計16名の先生方にご参加いただき、地域を超えた研修・教材づくりに取り組み、それぞれの学校で授業実践を行いました。

2024年9月14日15日には指導案の検討を、2025年1月11日には北海道参加者の8名が道内の教員、道民の方々へ研修での成果を報告。翌日には長い研修の振り返りを行い、すべての帰国後研修を終えました。今回はその様子をお届けいたします。

教師海外研修帰国後研修~指導案検討会~

ザンビア研修を通じて感じたこと

2024年9月14日(土)、15日(日)、北海道立道民活動センターかでる2・7にて帰国後研修を行いました。参加者はザンビアから帰国して以来の再会です。まずは新鮮な気持ちのうちに「ザンビアへ行く前の私と行ってからの私~学びの収穫と共有~」と題したザンビアでの研修を通じて感じたことを1人5分にまとめスピーチし、全員で共有しました。
現地の学生たちとの交流、ゴミ山でゴミを集めて生きる子ども、親を亡くした象の孤児院、ザンビアの衛生環境を自分たちの手で変えていこうとする若者たち、現地の人と共に生きる日本人の姿、その一つ一つの訪問、出会いに大きく心を揺さぶられたと語る参加者たち。
参加者の1人は、人生が変わるほどの体験だったと言います。
ある先生は不平等な格差に憤り、ある先生は日本では気づけない物の大切さに着目し、各々の教材に指導案、教材を作成していきました。また、日本とまったく異なる文化に触れ、その上でなお、「心は通じ合えるはず」という自らの信念を再確認した先生もいました。
同じザンビアの現場を視察しても、感じることは様々でした。ザンビアへの思いを5分にまとめるのは難しかったようですが、全員の感想を分かち合うことができました。また、このスピーチは合同研修を行ったJICA東北メンバーにも共有しました。

「目的と手段を履き違えないこと」大切なアドバイス!

続けて、指導案検討会を行いました。参加者8名のうち1日目は3名、2日目は5名が発表を行いました。作成した指導案を共有し、全体で検討していく流れです。アドバイザーがファシリテートを行いました。ザンビアの現場を共に体験した仲間としてあらゆる角度から指導案を読み、模擬授業を体験し、検討していく作業は指導案を作った先生を悩ませてしまう場面もありました。しかし、アドバイザーをはじめ、参加者の助言や視点が、新たなアイディアを生み出すこともあったようです。より良い指導案を追い求め、頭を使い、苦しみながらも充実した1日目となったようでした。

みんなでカードゲームについて検討

2日目の検討会は、「ロールプレイ」や「カードゲーム」などの教材を準備した参加者が多く、他の参加者が児童・生徒役になって体験する場面が見られ、昨日とはまた違った雰囲気の中で行われました。「ロールプレイ」では参加者は与えられた役になりきったことで、いかにこの活動は自分の立場を理解し取り組んでいく過程が大事かを改めて感じていたようです。「カードゲーム」はザンビアの経済格差、教育格差、ジェンダー格差をゲームで体感できる仕組みになっており、とても巧妙に作られていました。またそのゲームで体感する格差に対しての問題を解決するための話し合いの場も設けられていました。児童・生徒になった参加者はゲームを楽しむと共に「もっとこのようにしたらよいかも」というアイディアもたくさん出していました。

これからが本番!
力を合わせて頑張ろう!

この2日間、参加者は常に頭をフル回転して研修を受けていました。自分自身で考えた指導案を共に検討することで「より良いものへの一歩」を踏み出しました。指導案はどんどんブラッシュアップしてきます。参加者からは、「たくさんのアイディアを出し合い、お互いに考え合うことで自分の指導案を深めることができた」といった感想がありました。帰国後研修は「共に学び、共に考える」、参加者同士の絆を深めるものになっていました。
指導案検討会で更に磨きをかけた指導案はそれぞれの職場で児童・生徒に対して実践されました。

教師海外研修帰国後研修~成果報告会~

成果報告会チラシ(表)

成果報告会チラシ(裏)

ザンビアの教育の現状が落とし込まれた
マフンジロゲーム

2024年度教師海外研修 成果報告会を2025年1月11日に開催しました。9月の指導案検討後に各所属校で実践された、小学・中学・高校・特別支援校の様々な校種の教材紹介や模擬授業を行いました。対面とオンラインを合わせて、39名の参加者にご参加いただきました。

まず、教師海外研修の概要説明を担当の参加者が、授業づくりの視点を含め発表。次に、模擬授業体験①小学校②中学校を行いました。前回の指導案検討会、授業実践を経て、成果報告会の間に内容がブラッシュアップされ、会場全体が惹きつけられ、魅力ある授業に変化していました。また、オンラインの方々からいただいたコメントも取り上げることで、対面とオンラインのハイブリッドでありながら一体感のある模擬授業体験になりました。
その後は、教師海外研修参加者6名がAとBの2つの部屋に分かれ教材紹介を行いました。オンラインでやりにくい部分もあったようですが、限られた時間のなかでそれぞれ伝えることができていたようでした。成果報告会が終わり、ホッとした様子と達成感が全参加者から伝わってきました。

振り返りで行った「他己紹介」!これでさらに内容が濃い振り返りになりました!

次の日、成果報告会の達成感と安堵のなか、これまでの研修すべてを含んだ振り返りを行いました。最初に前日の成果報告会の振り返りを、2つのグループに別れ、付箋と模造紙のワークで「学びの振り返り」行いました。4色の付箋を使って、①事前事後研修(人とのつながり)、②現地研修(ザンビア)で学んだこと、③授業づくり、それぞれ学んだことを分け、カテゴライズしていくと、それぞれどのような学びがあったのかが見えてきました。
発表の場では、参加した先生ひとりずつ「今後学んだことを現場でどう活かすか、継続していくか」を発表することで、頭の中が整理され今後のあり方が明確になったようです。次の発表者を紹介する時に行った「他己紹介」は、それぞれの魅力を改めて感じる場にもなり、参加者全員の想いが詰まった振り返りの時間を共有することができました。これで教師海外研修が終わったのではなく、これからがスタートであることを胸に、感動的な雰囲気のなか研修は終了しました。
そして突然のサプライズが!参加者の皆さんがアドバイザーやスタッフに向けて参加者・関係者の名前が入ったZAMBIAマグカップをプレゼントしてくれました!このカップを見るたびに教師海外研修を思い出す宝物となりました。

参加者から関係者へのマグカップ贈呈式

2024年度教師海外研修の研修詳細や、各先生方が作成した指導案、教材につきましては、2025年3月頃発行予定の「2024年度教師海外研修実践報告集」に掲載されます。
ご関心のある方は、既にHPにて公開しておりますので、下記URLよりご覧ください。

■関連リンク
JICA北海道 2024年度 教師海外研修について
教師海外研修 実践報告書




\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ