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【草の根技術協力事業】ウズベキスタン共和国から革職人が来日し、皮革製品の生産技術・品質管理等について学びました。

2025.09.30

ウズベキスタン共和国で草の根技術協力事業を実施している北海道大学大学院経済学研究院 地域経済経営ネットワーク研究センターが2025年9月1日~13日の日程で本邦研修を実施しました。
研修参加者のエルドール氏(Mr. MATMUSAEV ELDORBEK)は北海道及び東京で、革製品の品質向上のための技術指導を受け、品質管理・マーケティング等について学びを深めました。
研修で学んだ技術・知識を活かし、帰国後は現地工房で職人たちに技術指導を行い、革製品の開発・品質向上に尽力します。

ウズベキスタン共和国での草の根技術協力事業とは

現地工房の様子

本草の根事業はウズベキスタン共和国フェルガナ州のマハッラ(地域コミュニティ)において、皮革生産事業への技術訓練及び金融支援を通じて、新規革製品ビジネス及び雇用を創出し、地域社会の活性化を目的とするマハッラバイ政策の成功例を生み出すことを目的としています。
フェルガナの社会保護センター内に設置されたプロジェクト工房では、ワークショップおよび縫製訓練を定期的に実施し、試作品の製作および技術向上に取り組んでいます。

本邦研修:KEETS工房で技術研修

試作品に係る意見交換

9月3日及び5日は札幌市円山のKEETS工房で技術研修を行いました。代表の後藤晃さんにご協力いただき、フェルガナ工房で製作した試作トートバッグを題材に、縫製やデザイン、革加工のポイントを確認しながら意見交換をしました。特に使用されていたウール生地は高く評価され、今後この素材を活かした新しいバッグデザインに発展させていく可能性が示されました。
さらに、後藤さんのアイデアによる新しいショルダーバッグを、工房の機材や資材を用いて共同制作しました。裁断から縫製、仕上げまでゼロから取り組み、完成は5日の夜までかかりましたが、その過程で糸や針、金具といった細かな道具の使い方まで含め、多くの実践的な技術を学ぶことができました。

縫製技術について学ぶ参加者

日本のものづくりが、ウズベキスタンの職人に新たなインスピレーションを与え、またウズベキスタンのデザイン・自由な発想が日本の職人にも刺激となったように感じた2日間でした。

本邦研修:試作バッグについて意見交換

なめし側の簡易品質試験

9月9日に株式会社マザーハウス本社を訪問しました。
持参したショルダーバッグの試作品について、鞄部門及びクオリティコントロール部門に点検をお願いしました。今回のバッグは、昨年11月に山口絵理子社長がフェルガナ工房を訪問した際にデザインされた型をもとに製作したもので、2度目の評価となります。
裁縫やなめし革の品質については前回より大きく改善したと評価していただいた一方で金具や革の染色については改良の余地があるとのご指摘もいただきました。また、製品としての魅力が高いとのコメントもあり、シリーズ化の可能性があることを示唆していただけたのは大きな収穫でした。
会合では簡易的ななめし革試験の実演も行われ、素材に対する理解を深められる実践的な学びの時間となりました。


マザーハウス訪問

こうした草の根の取り組みと国際的な技術交流が、革製品の技術と品質の向上に向けた重要な一歩となることが期待されます。

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