冬の高校生国際協力体験プログラムを開催しました!
2026.01.27
冬の高校生向けイベントを開催しました。
コロナ禍以降、宿泊を伴う形式での初開催となり、申込開始と同時に道内の各高校から多くのご応募をいただきました。札幌近郊に加え、千歳、苫小牧、室蘭、登別など全道各地から参加があり、最も遠方では中標津から訪れた生徒さんもおられました。
2日間のテーマは「JICA海外協力隊」。参加者には、JICA海外協力隊の立場になって考え、行動するなど、さまざまな体験をしていただきました。
「JICA海外協力隊」どんなイメージを持ってる?
多くの生徒さん達が、プログラム開始時間前から続々と集まり、お互いに自然に自己紹介を始める姿が見受けられました。
最初の公式プログラムであるアイスブレイクでは、各参加者が、各々の参加理由や、参加者それぞれが持っている「協力隊」のイメージを共有。次第に緊張もほぐれ、会場はリラックスした雰囲気に包まれました。
続いて行ったJICA海外協力隊の事業概要説明では、協力隊の制度や、実際に隊員が活躍している国・活動職種を紹介しました。
楽しい雰囲気ながら真剣な高校生たち
グループごとに課題とそのアプローチ方法を発表
海外ボランティアのあり方を考える
いよいよワークショップのスタートです。高校生たちは、JICA海外協力隊の目線に立ち、現地が抱える課題について考えていきます。
講師は、ケニアで数学教育隊員として活動してきた、札幌新陽高等学校教員の山本雅茂さんです。
「僕の後任となって、ケニアの学校現場での活動を考えてもらいます。」
このワークショップは、山本先生が実際に活動していたケニアの配属先に、高校生の皆さんが“後任の協力隊員”として配属され、活動を引き継ぐという設定で始まりました。
まず、山本先生が現地で行ってきた活動内容が紹介され、その取り組みを
そのまま引き継ぐのか(継承)
改善を加えて発展させていくのか(改善)
別の方法を取り入れるのか(改革)
という3つの方向性の中から、どれを選ぶかを考えていきます。
考えている途中に、山本先生の活動に対する現地の同僚や生徒の反応をまとめた「声カード」が提示されました。
「生徒同士が教え合うことで、教室の雰囲気が良くなっている」
「友達に教えてもらう授業はわかりやすく、質問もしやすい」
といった好意的な声がある一方で、
「同じ生徒ばかりが教えている」
「授業に時間がかかりすぎる」
といった課題を指摘する意見もあります。これらの声を受け止める中で、当初高校生たちが選んでいた「継承・改善・改革」という判断にも、迷いや変化が生まれていきました。
この活動を通して、高校生たちは多くの気づきを得たようです。
「現地の声を聞くことの大切さ」
「限られた環境の中で、できることを考える姿勢」
「限界を知ることも、活動を続けるためには重要だということ」
など、まるで実際に派遣中や派遣後のJICA海外協力隊から聞くような言葉が、高校生たちの口から自然と語られていました。
配られた要請書を読み込んでいく
どんどん出てくる課題や目標
5つのグループが挑戦した要請!
続いて行ったのは、「教育」「保健・医療」「スポーツ」「地域開発」の4つの職種をテーマにした、グループワークです。
各職種毎の計5グループ(※教育分野は2グループ)に分かれ、各国から実際に提出されたJICA海外協力隊の要請書(現地からの依頼)を、3枚ずつ配布しました。生徒たちは、「どの要請に挑戦するか」を、グループ内で話し合いながら決めていきます。
「おもしろそう」「活動のイメージができる」「知らない言語は少し不安かも」――それぞれの視点から検討が進み、さまざまな国・職種の要請書が選ばれました。
次のフェーズでは、選んだ要請書から課題や目標を整理し、それに対してどのようなアクションが考えられるかを付箋に書き出していきます。すでにワークショップ①「なりきりJICA海外協力隊」を体験していたこともあり、どのグループからも次々とアイデアが生まれていました。
最後に、各グループが取り組む要請内容とアイデアを他グループに共有し、この時間は終了となりました。
翌日には、他グループから出された意見やアイデアも踏まえて、各グループ内でポスターにまとめ、発表を行います。
ウガリの練り上げ作業
早く食べたい!
カランガとウガリ
セネガルと繋がる!
午後のワークショップでケニアについて理解を深めた後、参加者とスタッフが一緒になって夕食作りに取り組みました。メニューは、ケニアの主食であるウガリ、ビーフシチューのカランガ、そしてケール炒めのスクマウィキの3品です。
ウガリは、トウモロコシ粉を湯で練り上げて作るシンプルな料理ですが、鍋肌に生地を押し付けながら力強く練り続ける必要があり、見た目以上に体力を要します。参加者の中でも力に自信のあるメンバーが交代しながら作業を担い、協力して仕上げました。
カランガは、ケニア料理に欠かせない調味料「Royco」を再現して味付けを行い、現地の家庭料理に近い風味を目指しました。
調理中は、野菜や肉を切るたびに自然と拍手が起こるなど、終始賑やかに一体感のある雰囲気で、食事への期待も高まっていきました。
完成後は、現地の食文化にならい、ウガリを手で丸めておかずをすくいながら実食。油を多く使うケニア料理の特徴も含め、味と慣習を体感する機会となりました。ウガリが口に合わない参加者を想定して、白米も用意していたところ、「やはりご飯が落ち着く」と笑顔で話しながら、カランガとともに白米をおかわりする姿も見られるなど、食を通じた異文化理解を深める時間となりました。
ケニア料理を味わいながら、セネガルで野菜栽培隊員として活動している篠森(ささもり)圭介さんと、オンラインでつながりました。
「アッサラーム・アレイコム、ササモリサーン!」と、参加者全員で遠くセネガルに向けて呼びかけます。画面に篠森さんの姿が映し出されると、食事をしながらも参加者の視線はスクリーンに集中しました。
篠森さんとのライブ通話で特に盛り上がった話題は、現地での住居について。篠森さんはパソコンを手に、屋上や室内を歩きながら、自身の住環境を紹介してくれました。協力隊への参加を希望している生徒もいる中で、リアルな現地の生活の様子に、高校生たちは興味津々な様子でした。
あっという間の30分。名残惜しさを感じながら通話を終え、充実した交流の時間となりました。
盛りだくさんのプログラムが続いた一日目は、こうして幕を閉じました。
訓練所は2か所ある!
みんなでラジオ体操!
JICA海外協力隊は、合格後に派遣前訓練を受けることになります。この日は、その訓練の紹介からスタートしました。
語学訓練や安全管理、宿泊部屋の様子、食堂での食事など、普段なかなか知ることのできない内容が紹介される中、参加者の関心を最も集めたのは、隊員同士の人間関係にまつわる話題でした。
その後は、訓練所さながらにラジオ体操を行い、体をほぐしてから次のプログラムへと進みました。
地域、職種によって異なるエピソード
座談会は聞きたいことがありすぎてあっという間でした
ここでは、派遣国や職種の異なる元JICA海外協力隊員が集まり、パネルトークを実施しました。
パネリストは、ペルー/青少年活動の山元隆子さん、カンボジア/サッカーの滝井淳史さん、モンゴル/理学療法士の笹原理司さん、マラウイ/小学校教育の船田ひかりさん、ブラジル/文化の苅谷美紅さんの5名です。
「協力隊に応募したきっかけは?」「活動中に困ったことや、危険を感じた場面は?」「帰国後、協力隊での経験はどのように役立っている?」「現地で恋に落ちたことは?」など、次々に投げかけられる質問に、パネリストたちは自身の経験を交えながら率直に答えていきました。
「現地の歯科医院で受けた治療が想像以上に激痛だった」というエピソードでは、参加者も思わず顔をしかめながら耳を傾ける場面もありました。
続く座談会では、4つのグループに分かれ、高校生たちが話を聞いてみたいパネリストのもとへ集まる形式で進行しました。各グループでは、「一番大変だったこと」「活動の中で大切にしていたこと」など、次々と質問が飛び交い、気がつけばあっという間の30分となりました。
ポスターの仕上げ!
「ZUMBA」でパラオの人を健康に!
みんなで踊りました。
最後に、たくさんの感想を伝えてくれました!
ワークショップ「選んで挑戦!こんな活動がしたい」の続きとして、いよいよ総仕上げの時間です。
前日に出したアイデアをポスターにまとめ、グループごとに順番に発表を行いました。発表内容や伝え方には、それぞれの個性が表れており、参加者の工夫が随所に感じられました。
自身の特技を生かした活動アイデアや、協力隊員が実際に現地で行っていてもおかしくない実践的な提案、さらには経験豊富な協力隊OB・OGをも唸らせるような発想も飛び出しました。
中でも、会場にいる全員(高校生もスタッフも)を巻き込み、活動をイメージしたダンスを披露したグループの発表は、今回のプログラムを象徴するかのような、明るく活気に満ちたものとなりました。
2日間にわたって実施した高校生国際協力体験プログラムには、総勢23名の高校生と、2名の先生がオブザーバーとして参加してくださいました。将来、JICA海外協力隊として活躍する方々の中に、今回参加してくれた高校生の姿があったとしたら、これほど嬉しいことはありません。
なお今回は申込者多数で、不本意ながら抽選によって参加者を決定することとなったため、ご応募下さった半数以上の高校生のご参加が叶いませんでした。今回残念ながら参加出来なかった方々は、来年度以降、是非改めてご応募いただければと思います。
それでは、またJICAセンターや世界の何処かでお会いできる日を、心から楽しみにしています!
2日間おつかれさま!すっかり仲間だね!
scroll