「その紅茶はどこから?」JICA海外協力隊帰国隊員による教育実践
2026.07.03
2021年度7次隊としてカンボジアに派遣された高木大作さんの授業を見学させていただきました。
高木さんが勤務する市立札幌藻岩高校では、学校独自の科目「グローバルシティズンシップ」を実施しています。
この科目では、多様な文化や考え方を認め合い、地域や世界の課題を多角的に捉えながら、自ら行動しようとする姿勢を育んでいます。
今回は、その授業の一コマである「消費の裏側~紅茶の生産工程について想いを馳せる」を見学しました。
これまでのグローバルシティズンシップの授業でさまざまな国やテーマについて学んできた生徒たち。
今回は「スリランカの紅茶の生産」をテーマに学習を進めました。
導入では、学習テーマに関連した紅茶飲料のCMを視聴。
CMに映る風景を手がかりに「スリランカはどこにある?」という問いかけから授業がスタート。生徒たちはこれまでの学びを生かし、スリランカの位置をしっかりと理解していました。
CMに映る美しい茶畑の風景に対して、「景色がきれい」という感想が上がる一方で、「スリランカの茶畑が映っているのに、スリランカ産の茶葉は20%しか使われていない」という意見もありました。
また、「おいしそう」「飲みたくなってきた」といった声も聞かれ、映像には商品を魅力的に見せる工夫があることに気づく様子が見られました。
生徒たちは、CMを通して映像表現の意図や、情報の受け取り方について多角的に考えていました。
続いて、生徒たちは紅茶の生産工程と、その背景にある人々の暮らしに目を向けました。
スリランカで実際に茶葉摘みをしている「パラムさん」の写真を見て、その心の声を想像しました。
生徒たちからは、「茶葉のかごが重そう」「こんな広い畑で摘み続けると手が痛くなりそう」といった声が挙がり、作業の大変さに目が向けられていました。また、「家庭を支えるために働いているのに、賃金が安いのかもしれない」という意見も出て、暮らしの背景にも思いを巡らせる様子が見られました。
生徒たちからの声を聞いたあと、高木さんから、紅茶が日本に届くまでに多くの人が関わっていること、そして日本での売り上げがそのまま生産者の収入になるわけではないことが伝えられました。
さらに、高木さんが実際にパラムさんへインタビューした内容も紹介されました。
CMでは美しく見えた茶畑の裏には、急な斜面での重労働や、買い物・通学の不便さ、十分ではないインフラ環境、低賃金といった現実がありました。
一杯の紅茶の裏側にある現実を知ることで、生徒たちは「見る・飲む」だけでは気づきにくい視点について考える時間となりました。
JICA海外協力隊の派遣目的の一つに、帰国後の社会還元があります。
高木さんは協力隊での経験を生かし、現地で暮らす人々の視点や国際社会とのつながりを生徒たちに伝えています。次世代を担う若者たちの学びを支える姿がとても印象的でした。
お忙しい中、授業見学にご協力いただいた高木さん、そして市立札幌藻岩高校の皆さま、ありがとうございました。
【関連リンク】
・JICA海外協力隊派遣中の高木さんによる現地レポート
・2025年度研修成果物:誰もが自分を発揮できる学校づくり~多文化共生アイデアBOOK 2025~(高木さんの取組みも掲載されております。)