【宮城県】JOCA岩沼「"ごちゃまぜ!"になって日常的につながり合える地域づくり」に学んで海外活動へ(JICA海外協力隊グローカルプログラム@宮城)
2023.05.19
国際協力機構(JICA)は、JICA海外協力隊を開発途上国に派遣前の研修の一環として「JICA海外協力隊グローカルプログラム(※GP)」を行っています。
2023年4月より新たに岩沼市の地方創生プロジェクト "生涯活躍のまち"、子どもからお年寄りまで、障害の有無や国籍を問わず、みんな″ごちゃまぜ″ をテーマとした複合施設「JOCAジョカ東北」(HPリンク参照)にて4名が実習しています。
5月16日、JOCA、JICA関係者と共にGP実習生が岩沼市政策部まちづくり政策課を訪問しました。岩沼市のGPに参加するのは、鳥取県出身の木村猛さん(派遣国:ホンジュラス、職種:障害児・者支援)、宮城県出身の富田勝利さん(派遣国:ナミビア、職種:障害児・者支援)、埼玉県出身の飯田明彦さん(派遣国:グアテマラ、職種:小学校教育)、岐阜県出身の鈴木歌穏さん(派遣国:ベナン、職種:小学校教育)、の4名です。
実習生は、岩沼市より「まち・ひと・しごと創生総合戦略」と3.11東日本大震災の「被災概要及び復旧・復興状況」についての講義を受けました。市役所の方の当時の体験談を交えながら、途方もない量の震災ガレキを再生活用した復興シンボル「千年希望の丘」の整備をはじめとした岩沼市における様々な復旧・復興活動が紹介されました。
4月から始まったGPも中間期を迎え、それぞれが所属する担当部署のJOCAスタッフの皆さんが見守るなか、自身の活動進捗や今後の計画などを発表しました。
長年、相談支援専門員として福祉に携わった木村さんは、総務に配属。コロナ禍で外に出られない日々を過ごすうち、「何ができるかわからないが、海外で役に立つことをしたい」と思い立ち、協力隊参加に至ったといいます。元劇団四季の方々と交流もあるほど幅広い芸才をお持ちの木村さんは、舞台、将棋、歌などの特技を活かした様々なイベントを企画。「色んな人が交わる機会づくりに励みたいです」と目を輝かせています。
小学校の校長を務めた飯田さんは退職後のある日、エジプトで広がる日本式教育に関する報道を目にし、「まだまだ日本の教育が世界に必要とされているのか」と感じて協力隊参加を決めたそうです。大学で都市計画を専攻したこともあり、復興による東北のまちづくりに大きな関心をもっていた飯田さん。JOCA内では、就労継続支援A型事務所のフロアマップやイベントカレンダーづくりを通じ、「繋がり」を表現したいと話します。
左から飯田さん、鈴木さん、木村さん、富田さん
報告会に参加されたJOCA東北の方々
富田さんは2回目の協力隊派遣。「若かりし頃の初回参加では、協力する以上に得る方が多かった。じっくりと対応できる年齢となり、恩返しも兼ねて前回できなかった技術提供を今回の派遣で叶えたい」と話されました。数多くの子供たちと学校現場で触れ合ってきた富田さんは、今回配属された「やすらぎの里」で偶然にも支援学校時代の元教え子の成長がみられたことが本当にうれしかったとのこと。
最後に、岐阜の小学校で教師をしていた鈴木さんは中3の時に、宗教が理由で女性が学校に通えない国がある状況や、親から灯油を掛けられ焼死してしまった海外の女性に関するニュースを見て、「世界にはこんな国があるのか!」と衝撃を受け、海外のボランティア活動に興味を持ったそうです。岩沼GPに参加し、一人ひとりに合わせた対応をする大切さ、肯定と共感の大切さ、身近にあるものに目を向けることの大切さを学んだと語る鈴木さんは、以前からいるスタッフさんのような風格で「ここ(JOCA東北)では皆さん"ごっちゃまぜ”に前向きです」と発表を締めくくりました。
GP実習は残り1ヵ月弱となりますが、心優しい4人の皆さんをはじめ、明るく穏やかなJOCAスタッフの皆さんとともに、更なる「ごっちゃまぜ」体験が実現できるよう、JICA東北は応援しています。
※1「JICA海外協力隊グローカルプログラム」
本プログラムは、帰国後も日本国内の地域が抱える課題解決に取り組む意思を有するJICA海外協力隊が、地域の方々とともに、自治体等が実施する地方活性化や地方創生の取り組みを学び、海外での活動に活かしてもらうことを目的としています。訓練所での派遣前訓練開始前の期間(3か月間程度)に研修を行い、日本国内の地域活性化の取組みを知る事で、開発途上国での協力活動においても有益な実務経験や知見を得ることも期待されます。
(報告者:JICA東北 荒屋敷)
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