【ボランティア事業】~「繋げる力」で地域活性の輪をひろげる~JICA海外グローカルプログラム(GP)開始

2024.05.23

JICA ボランティア事業では、隊員の皆様の帰国後の活躍支援やボランティア経験の社会還元の促進にも取り組んでいます。その一環として、派遣前であるJICA海外協力隊合格者のうち、帰国後も日本国内の地域が抱える課題解決に取り組む意思を有する希望者を対象に、自治体等が実施する地域活性化、地方創生等の取組みにOJTとしての参加機会を提供する「グローカルプログラム(派遣前型)」を実施しています。東北地域では岩手県釜石市、陸前高田市、遠野市、秋田県の五城目町がその受入れ先となっています。今期は2024年度に海外へ派遣予定の16名が、各々の市の地域のパートナーと共にまちづくりや地域活性化の取り組みを学ぶべく活動中です。
(注)JICA海外協力隊グローカルプログラム:https://www.jica.go.jp/volunteer/glocal_program/

グローカルプログラム@東北

 東日本大震災の復興支援がご縁となり、JICA東北は防災や復興を軸とした地域づくりや、中高生への国際理解教育の活動等で連携を進めている岩手県の釜石市、陸前高田市、遠野市において、これまで多くのJICA海外協力隊候補生が各々の市で絆づくりに励み、学び、開発途上国へと旅立ちました。派遣後も任地からオンラインで繋いだ市民交流など、国際協力を通じた地域との繋がりを継続しています。また、「世界一子どもが育つ町」を掲げる秋田県五城目町での実習は今期で2回目となります。
JICA海外協力隊は教育や地域コミュニティの開発に取り組む職種が多いため、震災・復興から「地域課題解決」へと舵を切り挑戦する三陸地方の自治体や産官学連携による教育活動に積極的な五城目町で得られる学びは大きいと考え、実習を希望する協力隊候補生が多いのも特徴です。

JICA東北にて開始前オリエンテーション

 今期開始にあたり、5月7日、8日の二日間、16人の実習生が東北地方のJICA拠点「JICA東北(宮城県仙台市)」を訪問し、東北地域におけるJICAの取り組みや事業について理解を深めるとともに、JICA東北所長はじめ、各地域を担当するJICAスタッフや外部講師より、地域コミュニティとの関わり方について学びました。貴重な講義の内容を少しご紹介します。

JICA東北所長(左)による挨拶とJICA東北の事業概要

「地域のサステナビリティ」 講師:国際教養大学准教授 工藤尚悟氏

秋田県にある国際教養大学でサステイナビリティ学、地域研究等を専門とする工藤先生より、実習先の五城目町で起きている様々な「企て」を例に「続いていくまち」にとって大切なことを深く考える貴重な機会をいただきました。地域と国際との間で活動するGP実習生達に向けて、「地域」と対する際に大事なことは「相手の言葉を介して世界を理解すること」「小さく始めることで新しい流れをつくり、既にある流れを強くすること」を挙げられました。JICA海外協力隊活動の向き合い方そのものであり、オンライン画面越しの大きなうなずきからも多くの受講者達が感銘を受けた様子でした。

「地域に入る。〜遠野の事例をもとに考えるローカルプロジェクト論〜」 講師:株式会社富川屋 富川岳氏

JICA海外協力隊がソトの人間として地域(別世界)に入るためのコツや地域資源の活かし方を、遠野市の地域おこし協力隊を経て独立された富川さんに学びました。富川さんによると、最終的に自身もやりがいを感じ、且つ地域の方にも感謝される活動ができるための第一段階には良好な関係性の構築があるとし、関係性づくりには、地域の人が大切にしている郷土芸能や祭り、草野球などに参加して同じベクトルで共に楽しむことや「礼儀と謙虚と愛嬌」で信頼を得ることが大切だと伝授されました。実習生から「関係構築に失敗したときの対処法」について質問されると、「新しい世界に入るときのジャブは避けられない。その時は、会いに行って謝ること。相手と真摯に向き合うことが大切です。リカバリから頑張りましょう。」と実習生にエールを送りました。

オンライン講義の受講会場にて講義に熱心に耳を傾ける実習生達

東北地域で実習するJICA海外協力隊候補生(実習生)の紹介

今期はバラエティに富んだ職種の16名が各地から集まりました。ランチミーティングやグループワークでの自己紹介ではダンス、スポーツ、音楽、焼酎のジョッキ飲み!といった多彩な面を紹介し、大いに盛り上がりました。
【釜石市実習生】
 竹元 真麻さん インドネシア/アーティスティックスイミング
 土田 信一さん パラグアイ/環境教育
 森本 衣美さん モザンビーク/コミュニティ開発
【遠野市実習生】
 伊東 莉々香さん マダガスカル/小学校教育
 髙口 菜月さん ペルー/環境教育
 遠藤 かなえさん タンザニア/コミュニティ開発
 豊田 直也さん ボリビア/コミュニティ開発
 出口 楓さん 東ティモール/栄養士
 増田 藍奈さん ブラジル/ソフトボール
【陸前高田市実習生】
 加賀澤 ひかるさん エジプト/青少年活動
 佐々 古都音さん ホンジュラス/環境教育
 西村 舞さん コスタリカ/環境教育
【五城目町実習生】
 青木 舞さん ニカラグア/環境教育
 石原 優人さん ウガンダ/青少年活動
 知念 萌花さん ボリビア/看護師
 山本 涼仁さん エジプト/体育

オリエンテーション終了後の記念写真。ここから各地に配属されます。

グローカルプログラム@東北の魅力

 東北ならではの郷土芸能、方言、自然豊かな海と山に育まれた食材など、「地域に関わりながら活動し、暮らす」からこそ発見できる様々な感動が味わえるグローカルプログラム。
 地域の方々による温かい応援のもと、今後途上国を舞台に活動するGP実習生はまさに世界と東北を結ぶ「グローカル人材」。東北にはこれまで46名の実習生が様々な場面で絆づくりに励みました。東北で培った課題解決力や地域と共創する力を派遣国での活動に役立てつつ、協力隊派遣後も派遣前に培った絆をもとにさらに地域活性化に貢献されることを期待しています。

遠野まつりで披露される郷土芸能「獅子踊り」

(報告者:JICA東北 荒屋敷)

その他関連リンク

トランスローカル・ラボ - 通域的な学びの研究室(工藤尚悟氏):https://www.shogokudo.net/ 
株式会社富川屋:https://www.tomikawaya.com/

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