【ボランティア事業】オンラインセミナー「東北で働こう!東北に住もう!」を開催しました

2025.08.19
JICA東北は2025年7月23日(水)に東北出身や在住、ならびに東北に興味のある派遣中隊員や帰国隊員を対象に、オンラインセミナー「東北で働こう!東北に住もう!東北で起業すること」を開催しました。東北で起業されて活躍中の2名の協力隊経験者のお話を伺いました。
1Blue(ワンブルー)株式会社役員 佐久間麻都香さんは、ブルキナファソで食用作物・稲作栽培隊員として活動。帰国後は大学院に進学し、修了後は山形県鶴岡市内で農業研修を経験。庄内柿の事業化を目指していろいろな商品開発に携わり、現在は干し柿の中で硬くて食べられない「はじき」を主原料にした100%植物由来の鶴岡産エナジーバー『SHONAI SPECIAL』を製造・販売されています。
2年間の協力隊活動を終えた後、大学院で学びながら短期派遣隊員としてブルキナファソへ再赴任。2度の海外協力活動を経て、「日本の農業について知りたい」「日本の農業を学びたい」と意識が変わったそうです。
庄内柿に出会ったのは、高齢のために柿栽培をやめると言っていたおばあちゃんを助けたい気持ちがきっかけ。「私が柿を守る!」と使命感を感じたそうです。
「鶴岡ナリワイプロジェクト」(以下の関連リンク参照)に参加し、小さな仕事を組み合わせて収入を得ていく暮らし方を学び、柿にまつわる商品を開発・販売することを目指しました。
その頃に、柿でエナジーバーを作りたいと考えていたオランダ人と出会ったことから、共同で製造を開始。マルシェで販売することから始まりました。どのマルシェでも商品は好評で売り切れ!その後、株式会社を設立され、今では8名のスタッフで製造・販売されています。
植物由来の天然素材のみで作られたエナジーバーは珍しく、また地元の特産品である庄内柿や有機発芽玄米など、伝統的な食品を新しい形に生まれ変わらせ持続させていく取り組みは地場産業を支える大切な立場となっています。
今後は国内・海外への販路拡大、有機JAS認証(農薬や化学肥料に頼らず生産された有機食品であることを国が規定した条件に基づいて認める国家規格)の獲得を目指し、新たな商品開発を行っていく予定とのこと。
なお、田舎では小さな仕事をかけ持ちすることで生活できると、佐久間さんは今でも複数の仕事を掛け持ちしています。小さな仕事×好きなこと、やりたいことで活躍中の佐久間さんの生活は、東北で仕事を見つけて暮らしていくことのヒントになりそうです。
株式会社ORANDO PLUS代表取締役 石山紗希さんは、ガボンで野菜栽培隊員として活動。地元に戻って地域社会を盛り上げたいと考え、帰国後に東京のNPO法人で経験を積み、弘前市の地域おこし協力隊としてUターンしました。地域の課題解決などに取り組む「Next Commons Lab」弘前支部の現場コーディネーターとして、弘前に移住して起業を目指す人々を支える立場となりました。さらに起業を目指す人々や地元の人々が集う拠点となる「HIROSAKI ORANDO」に設立から携わっています。
当初は施設を運営することに抵抗があったと話す石山さん。「はこもの」を作った後、それを維持して活かしていくことの難しさは、アフリカで見てきたからこそ感じていました。だからこそ、「引き受けた仕事を最後まで投げ出さない」と覚悟を決めて取り組んでこられたそうです。
現在はカフェ、ギャラリー、ゲストハウスの複合施設を運営、地域の人々や起業を目指す方々などの交流拠点となっています。
ゲストハウスでは関係人口創出事業「Entre!(アントレ)」を実施。例えば、弘前ねぷた祭りの担い手不足にアプローチし、祭り期間の前後にゲストハウスに滞在しながら祭りの準備や当日の運営に携わるといったプログラムを運営されています。また、協力隊経験者も多数宿泊に来るそうです。
「世界的に見ればマイノリティである青森に育った」とおっしゃる石山さん、「自分が青森を盛り上げなければならない!」という使命感をもって現在の活動を続けているそうです。
青森(東北)への先入観「仕事がない」「若者がいない」などに疑問をもち、さらに協力隊活動と今の仕事に親和性を感じながら、日々精力的に取組んでおられるお話は、セミナー参加者に地元活躍のきっかけとパワーを与えてくださいました。
(報告者:JICA海外協力隊南東北相談役 山本)
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