ボリビア帰国研修員が主導して起草した「医療機材マネジメント国家基準」が 保健・スポーツ省により承認
2026.08.03
ボリビアの病院に勤務するフアン・エリック・ペレイラさんは、2025年8月から10月にかけて「医療機材管理・保守」の研修コース(実施機関:エア・ウォーター東日本(株)、所在:福島県郡山市)に参加。
帰国後に、医療機材管理強化のためJICAから現地に派遣されている前田恵理子専門家チームの一員として「医療機材マネジメント国家基準」の策定を進めました。
2026年3月、104ページに及ぶ同文書は、保健・スポーツ省により国の基準として承認され、公布されました。
日本の研修で学んだ5S-KAIZEN-TQMの考え方が反映されたこの基準は、ラテンアメリカ地域で初の医療機材管理に関する規則となりました。
ファン・エリックさんは、研修を振り返り、
「日本で研修に参加したことで医療従事者として取り組む際の考え方が変わりました。問題が起こってから対応するのは時間もお金もかかりますが、秩序をもって計画することで問題が起こることを回避することができます。最も優先されるべきは規律を貫くことで、5S-KAIZENの実施には大きな予算も必要ないと理解できました。それが患者ケアの質の向上につながるのです。」と語りました。また、
「国家基準の策定で苦労したのは、ボリビアの直面する大きな予算制約や、問題に事後対応する習慣がある中で、いかに日本の手法をあてはめるかでした。そのため、国家基準はボリビアの実情に合わせて、課題を分析して特定したニーズに段階的に取り組むモジュール構造とし、計画的予防保守や、日常点検、継続的カイゼン・サイクルなどを盛り込んでいます。確実に実施されていくでしょう。」と国家基準を策定にするにあたっての苦労や今後への期待も語っています。
エリックさんが参加した研修「医療機材管理・保守」は1984年から開始され、2026年3月末時点で累計参加者数が1000名以上となります。
この研修では医療機材の管理・保守に関連する幅広い内容を習得できるようになっています。医用工学や医療機材を長く使うための計画的予防保守(PPM:Planned Preventive Maintenance)の考え方、それに基づく事業計画策定の方法などの講義、医療用の機材や電子機器の仕組みを学ぶ実習、病院や医療機器メーカーの見学など、理論と実践の両方を通して学びを深めることができるようになっています。特に力を入れているのが、PPMの考え方を学んでもらうことで、講義ではPPMの背景や理論を伝えると同時に、日頃のメンテナンスについての実習を行っています。
エリックさんが策定を手掛けた国家基準にもPPMの考え方が活用されています。
この研修コースの卒業生は、病院での医療機材の管理・保守だけでなく、各国における医療機材技術者協会の設立や、機材保守・管理の国家計画や基準の策定に貢献するなど、様々に活躍しています。
【課題別研修】医療機材管理・保守A-Cコース/世界で高まる医療ニーズに応える研修の今 | 日本国内での取り組み - JICA
フアン・エリックさん
承認された国家基準文書
発表会の様子
左から、JICAボリビア事務所ナショナルスタッフのローリー・デラクルースRoly De La Cruz、保健省病院管理総局インフラ・設備・技術規制課のマリエル・ロマイMariel Romay課長、JICAボリビア事務所宮本義弘所長、前田専門家チーム・ローカルコンサルタントのニコル・モンターニョNicole Montaño、同ルイス・フェルナンド・レビージャ Luis Fernando Revilla、保健省のホセルイス・リオスJosé Luis Ríos副大臣、折原茂晴在ボリビア日本大使、前田恵理子専門家、保健省病院管理総局長のマルセロ・リオスMarcelo Ríos、前田専門家チーム・ローカルコンサルタントのフアン・エリック・ペレイラJuan Erick Pereira、JICAボリビア事務所員の山口集、保健省病院管理総局インフラ・設備・技術規制課員のフランコ・アギラルFranco Aguilar